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「ニィーティスト」  作者: ニィーティス亭 夢★職
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第二章 曙光篇 #5-3 バイトはつらいよやめたいよ

 前日確認メール。○月×日(土曜)プラカード業務。集合場所 水神井公園駅改札を出たところ。午前九時集合。三人現場です、集合場所で内海さん(080-××××ー)に連絡してください。


 また俺が「バイトリーダー」か・・返信しながら、啓一くんはため息をつきました。これが池谷さんに連絡してくれなら、モデルルームへの移動とか、色々話せて楽しいし心強いのに。てかこれだと、残り二人がコ○ンの黒いシルエットの犯人みたいで、誰だかわからないじゃん。孫請け三流派遣会社とはいえ、俺ら現場のバイトが、中抜きさせて食わせてる。いや「飼っている」正社員ども、真面目に仕事しろよ!


 その孫請け派遣の正社員の人たちが、真面目に仕事していた平日。俺はもう「世間一般の常識」どもからとやかく罵倒される、犯罪者予備軍と悪名高い、ニートひきこもりじゃない、一角の35歳フリ-ターだ! その前がひどすぎた反動で、啓一くんは天下でも取ったようなでかい態度で、子供部屋で一人ふんぞり返り、ドヤり続け、月曜から金曜まで。結局は怠惰に、短時間バイトのお知らせもガン無視して、一円も稼がずに過ごしてしまいました。


 あのクソ感じ悪い、辰野のガキも。今頃、実家の子供部屋で、MNDのスタート練習でもしてんのかな。実際はほかの仕事をしているのかもしれない、あかの他人を。気持ちは分かるが、この俺。まーや帝国民NO1の男に対する、あの態度はないよな。捨てきれない同族嫌悪で、「マイルドニートの辰」を罵倒しながらの、「魔王咆哮芸」の稽古、練習こそ欠かしませんが。この平日の5日間。15年前の悪夢、一時間半バックレからの、リターンニートこそしませんでしたが、啓一くんは新たな罠、「マイルドニート」状態にどっぷりはまり。


 バイト行きたくねー! やめてー! じたばたしながらも、俺に出来ないバイトでもないし、リーダーの俺が集合場所にいなかったら、同じ境遇の「まだ見ぬ強豪」どもが困るだろう。パソコンのキーボードをカタカタ叩き、家から集合場所の距離。そこからモデルルームへの道順などを調べ。なんだかんだいって、アニメ柄シャツに短パン、サンダル履きより、「世間一般の常識」の俺を見る目が違うよな。


 毒母が気を利かせて、食事のとなりに置いてくれたアイロンを、えんじ色の三つ揃い、ボススーツに掛け。両親が寝静まった深夜、下駄箱から盗んできた、修二さんの靴磨きワックスを、革靴にたっぷり塗り付け。


 保夫叔父さんのせっかくの好意を無駄にしちゃいかん。駅近の市営駐輪場は100円もぼったくるから、少し歩くけど、図書館の駐輪場にチャリを置き(違法です!)、明日は電車で行こう。子供の頃は気づかなかったけど、保夫叔父さんも若い頃は苦労し。一流大学卒、一流会社勤務の肩書だけは立派だけど。その分、現実社会や人の気持ちを知らない分からない、「勉強バカ」の親父と違い。保夫叔父さんは下々の苦労がわかる人らしく、啓一くんを感涙させた義援金は、すぐに使えるように、すべてピン札の千円札で揃えられていました。


 啓一くんはその千円札を二枚、またおしいただき。ありがたく財布の納めると、スーツよし、革靴おk、リュックにポテチ、コーラ、イン、スマホ充電なう。指さし確認してベッドに入り、まーやの抱き枕にしがみついても。


 やっぱバイトいきたくねー! バイトやめてー! じたばたするのでした。


 いくら嫌でも、AVのように時をとめることは不可能です。啓一くんは明日のこと。残り二人はどんなやつだろ? 時給つくのが10時からなのに、午前9時集合って現地まで相当、歩くんだろ? マイルドニートの辰、頼むからマイルドやめて、ただのニートひきこもりになって、明日の現場くんな! 池谷さんみたいに、バイト生活30年、なんか年下の俺の胸が、激しく痛くなるようなプロフ。堂々とさらしている、話の分かる人ならいいけど。リーマンくずれのオッサンとかだったら、職歴2日と一時間半の俺は、何を話したらいいんだろ? こう考えてみると、辰野くんって理に叶ったバイト対応しているよな。でも、気の弱い俺には、あんな非情な、「ニートボイルド」な態度は取れないしな・・小心者というより、働くという行為に対する免疫がない啓一くんは、たかが看板を持って立っているだけの、それこそ「誰にでも出来る簡単なお仕事」でも。心配や杞憂が先立ち、うつらうつらしただけの寝不足で。午前七時には家を出ました。


 いじめをした輩に、いじめられた側が、復讐、仕返しをするのは、自分をいじめっ子レベルに貶める恥ずべきこと。いじめっ子目線の嘘、妄言がありますが、人同士、相手を思いやってこその同権。いじめをするような輩は、その基本的人権を自ら放棄した、人間の形をした迷惑な害獣にすぎません。人に迷惑をかける害獣に必要なのは、復讐や仕返しなどではなく、退治、駆除です。ですが害獣も、一応、人間の形をしていますから、表だって退治、駆除をすると、警察沙汰になったりして、やられ損になってしまいます。ですので害獣の退治、駆除には最新の注意を払い、綿密な計画を練らないといけません。


 啓一くんが自転車に乗って家の前に出ると、ただ道を歩いていただけの啓一くんを。「アニメ柄シャツを着た不審者」。勝手に決めつけ、あろうことか警察に相談したり、回覧板で名誉棄損したり。「ニートひきこもり」は何も言い返せないだろう。醜い子供頭発想で啓一くんをいじめ、啓一くんから「害獣認定」で退治された殿塚夫妻が、朝の散歩から帰宅し、ばったりと啓一くんと鉢合わせしました。


 害獣の迷惑行為を、人として細心の注意、計画を練り、駆除、退治した。啓一くんを犯人だと証明する証拠は何もありませんし、左翼嫌いの修二さんが逆ギレし、怒鳴りつけてくれたことで、啓一くんの害獣駆除、退治行動は一件落着、というより、うやむやの迷宮入りにになりました。


 ボススーツに身を固め、自転車に乗った啓一くんは、以前の「何も言い返せないニートひきこもり」と見下した、子供頭オバサンの殿塚冬子さんをにらみつけ。


「おいババア、今度、俺を名誉棄損したら、裁判所に訴えて、最高裁まで争うから覚悟しとけ!」


 啓一くんが、そう男らしく殿塚夫妻を超上から、「心の中」で怒鳴りつけると、殿塚夫妻は啓一くんと目も合わさず、急いで家の中に入って行きました。


 こういう心の卑しさが外見の醜さな輩は、本当に知能が猿以下で、反省することすら出来ないから、俺のような善人が心を鬼にして、これからも「しつけ」してやらんといかんな。


 それにしても、キモ禿げと狐ばあさんのクソ老害夫婦。人の道に外れた悪行を働きながら、よく平気で太陽の下を堂々と歩けるもんだ。啓一くんは、いまだ憤懣やるかたない。ぷんぷんしながらも、俺は立派に人の道を外れた外道を正し、吐いた唾を飲ませてやってえらい。自分で自分をほめてあげながら、図書館の駐輪場に違法駐輪して少し歩き、知らずに往復10円損しながら切符を買い。水神井公園駅に向かいました。


 もし人身事故などの遅延で、集合時間に間に合わなかったら? そのような理由で遅れます。「内海さんに連絡してください」にかけても意味ないし、緊急連絡先の社員にかけるのも気が重い。小心者の啓一くんは「バイトリーダー」としての責任もある。前倒しで、1時間前の午前8時には集合場所に到着し。えんじ色の三つ揃い、ボススーツ姿で、改札をガン見しますが、そんなに早い時間から待機している、熱心なバイトなどいません。


 ひょっとしたら、池谷さん来るかも? 一緒に、ウルトラニィト! Hi! の矢野くんも。コンビニに行って無料Wi-Fiに接続し、池谷氏のツイッターを確認しましたが、こういう時に限って更新しておらず、矢野くんのアカウントは鍵アカですので見れません。


 また戻って改札をガン見し、集合時間5分前になっても、それらしき人は現れませんでしたが・・


「うわっ!」


 ふと寒気を感じて振り向くと、そこには。


「・・・・」


 見間違えることのない、無表情な顔。マイルドニートの辰こと、完黙の不愉快な仲間、辰野くんがどこか遠くを見て立っていました。


「え、なに?」


 辰野くんはおはようございますでもなく、無言、無表情のまま、どこかを指さしました。啓一くんがその方向を見ると。そこには白いひらひらのついた、青のスーツ。かかとにヒールのついた茶色の靴、昭和の男性アイドルみたいな、眼鏡をかけた若者が。


「・・・・」


 遠目にも辰野くん同様の、「完黙属性」を匂わせる空気で、一人ぽつんと立っているのです。でも、何か雰囲気が違います。それは行きかう女性や、駅中コンビニの女性店員さんなどが。女性が男性イケメンアイドルなどを見る時、特有の、上気して目を剥いた顔で、そのド派手な格好の若者を遠巻きに、うっとり見ていることでもわかります。


「か、陰形満・・まさか」


 ゲーマンプロジェクトの、登録説明会で一緒だった、30分遅刻無反省の完黙の男。陰形満、またの名を知る人ぞ知る、ダイナマイトコミ障ソウルの第一人者とかの、ドリームジャンボ満! お前、コミニケーション障害者の社会復帰を助ける、「バイトチャレンジ」で登録しただけで、げ、現場には・・


 その発想はなかった・・度肝をぬかれた啓一を見た、陰形くんは。コツコツコツ。かかとのヒールをリズミカルに鳴らしながら、光の屈折の仕方が特注なのか。まったく目の色が見えない、謎の銀縁眼鏡を光らせ、啓一くんの方に来て、辰野くんの隣に並びました。


「・・・・」


「・・・・」


 おはようございますでも、今日はよろしくお願いしますでもなく。三人揃ったんじゃね? 二人は啓一くんに「無言の圧力」をかけます。


「お、おはようございます。水神井公園、プラカードの内海です。今日は内海、辰野さん、陰形さんの三人でいいですか? はい、じゃあ三人揃いましたんで、これから現場にむかいます」


 電話を切って振りむくと、ロケットMNDで階段を駆け下りていく辰野くんの背中。横を向くと、


「・・・・」


 表情の見えない謎眼鏡の陰形くんが、話しかけるな! ではなく。話しかけても返事できない。コミュ障オーラ全開で、無駄にに姿勢よく立っていました。


                        (^O^)/

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