友に引かれて幻想郷巡り
幻想郷に来てから一週間、僕は特に何事もなく暮らしていた。
朝起きて、朝食をとり、後は弾幕の練習をしたり本を読んだり音楽を聴いたりして暮らしていた。
しかし、そうやって暮らしているうちに問題が見つかった。
お金が無いのである。
最初のうちはお金が無くても大丈夫、というよりお金のことなど一ミリも考えていなかった。
だが、あかねは必要であると分かった。
用途は幾らかあるのだが、なかでも食糧補とても大事だ。
今は魔理沙から食料を貰っているが、いつまでも他人に依存しているのはあまり良いこととは言えない。
だからこそ、必要なのだ。
お金は自然には湧いてこない。
何か、仕事が必要である。
とは言っても、僕ができるような仕事があるのだろうか。
考えてみて一番最初に思い浮かんだのはやはり力仕事だったが、これはすぐに却下された。
一応体力には自信があるのだが、筋力はというとほとんどないのである。
その後もいろいろ考えてみたが、なかなか思いつかない。
気が付くと、考え始めてからすでに一時間ほどが経過していた。
これだけ考えても出てこなければ、もう自力で思いつくのは不可能と考えても良いだろう。
ならばどうするか。
そうやって頭を抱えていると、"コンコンッ"というドアをノックする音が聞こえてきた。
それに続いて、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「いるか、重信?」
魔理沙だった。
「今開けるよ。」
僕は返事をして立ち上がると、ドアを開けに行った。
「有難う。どうだ、ここでの生活には慣れたか?」
「あぁ。外に居た頃は都会で暮らしていたんだが、どうやらこういった自然に囲まれた所の方が僕には向いているらしい。五右衛門風呂も直ぐに慣れたよ。」
「そうか、それは良かったぜ。ところで、この後暇か?」
「まぁ、これと言ってすることもないしな。何かあるのか?」
「この前、幻想郷の地理について話しただろ?で、どうせなら今から色んな所に実際に行って、ついでに何人かに挨拶しに行こうかというわけだ。どうだ?」
僕は取り敢えず考えるようなそぶりを見せたが、心の中では大声で「イエス!」と叫んでいた。
挨拶をしに行くということは、実際にいろんな妖怪に会ったり、その住処に行くということである。
それこそが僕の望んでいたことだ。
人見知りの問題も一瞬頭をよぎったが、前にも話した通り一人や二人とだったら普通に話すことができるし、何より今回は魔理沙という心強い知り合いが居るのだ。
だからこそ、答えは「イエス」。
「うん、それじゃあ行かせてもらおう。この世界についてはもっとよく知っておく必要もあるだろうしね。」
「決まりだな。じゃあ、さっそく出掛けるか。そういえば、重信は飛べるのか?」
僕は咄嗟に「ノー」と答えそうになっていたが、よく考えたら(少なくとも理論上は)飛べるということが分かった。
僕の、”重力と質量を操る程度の能力”を使って自分にかかる重力の方向をいじれば空を飛ぶことも可能なはずだ。
「多分飛べると思うよ。」
「よし、ならOKだな。」
「じゃあ、少しだけ準備をするから待っていてくれ。」
「分かった。」
僕は直ぐに家の中に引き返したが、その十分後には、魔理沙と共に青空に浮かんでいた。
今日、幾らか見たい映画があったのでレンタル屋に借りに行ったのですが、一番見たかった「メトロポリス」がありませんでした。
すごく見たかったのに……。
というわけで、その後amazonでDVDをポチリました。
映画はいいぞ。