ようこそ、幻想の世界へ!
目を開けると、知らない天井が見えた。
ここはどこなのだろうか。
意識はまだハッキリとはしておらず、何故自分がこうなっているのかも理解できなかった。
しかし、すぐに全てを思い出した。
事の重大さに気づき、慌てて起き上がる。
生きているのだろうか。
真っ先にそのような疑問が湧いた。
恐る恐る自分の体を触ってみるが、特に変なところはなかった。
どうやら生きているようだ。
そうして安堵していると、一人の少女がやって来た。
「目が覚めたみたいだな。」
彼女は、僕が意識を失う寸前に見たあの少女だった。
「助けてもらったみたいですね。有難うございます。」
僕は取り敢えず礼を言った。
「なぁに、当たり前の事をしただけさ。ところで、あんたの名前は?」
「藤乃重信です。」
「そうか。私は霧雨魔理沙だぜ。見たところ、外から来たみたいだな。」
何故わかるのか少し気になったが、恐らく似たようなことがよくあるのであろう。
「はい。」
「とすると、やはり紫の仕業か。」
紫。
あの八雲紫のことであろう。
僕の中では彼女は恩人に位置する。
なにせあの退屈な日常から救ってくれた、いわば救済者なのだから。
「紫さんを知っているのですか?」
「あぁ、あいつは結構有名な大妖怪だからな。よく会うし。」
「大妖怪?あんなに若いのにですか?」
そう言った途端、魔理沙は笑いだした。
「あはははは、そうか、確かに若くは見えるからな。」
「若く見える?」
「あぁ、あいつはああ見えても超高齢なんだぜ。少なくとも1000歳、中には100000歳を超えている、ていう噂もあるぐらいだからな。」
これにはさすがに驚いてしまった。
こちら側の世界でも若く見えることはあるが、それでもせいぜい10歳や20歳のことだ。
「それは凄いですね。言うなれば"スーパーばあちゃん"でしょうか。」
僕は半分ジョークのようなつもりでこう言ってみたが、その瞬間に場が固まってしまった。
横溝正史の言い方を借りるなら、"その言葉はその場に爆弾を投げつけたも同様の効果があった"と言えるだろう。
と、後ろから急にとんでもない殺気を感じた。
恐れながらもゆっくり後ろを向くと、そこにはいつの間にか紫がいた。
一応微笑んではいるのだが、その笑顔が怖いどころの騒ぎじゃない。
「あ、いや、その…」
「あなた、今私のことを"ばあちゃん"って言ったわよね?」
駄目だ。
完全に怒っている。
それでも僕は必死に弁解した。
「いや、あれはジョークでして…」
しかし、相手は聞く気が全く無いようで、
「よろしい、ならば戦争よ。」
と言うと共に、攻撃の準備を始めた。
紫から禍々しい気が溢れ出す。
またもやまずってしまったようだ。
「まあまあ、落ち着けよ紫。別にこいつも悪気があって言った訳じゃないんだからさ。」
紫の動きが止まる。
「それにこいつはこっちのことを何も知らないんだ。仕方がないだろう?」
「わかったわよ。ただし、また同じよう事をしたら、次はないからね。」
そう言うと、紫は空間に穴をあけ、その中に消えていった。
「さて、それじゃあここ、幻想郷の話をするか。」
魔理沙の話が始まった。
もうすぐGWですね。
巷では10連休になると騒いでいますが、こちらは課題と部活のオンパレードになる気しかしません。
連休とは一体...




