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極めて平穏な、修行への導入

聖さんと話し終わると、僕は二十数畳くらいの広めの部屋に案内された。


「ここがいわゆる居住区です。あなたにはこれからここで暮らしてもらいます。」


「広いんですね。」


とても素直な感想である。


「まぁ、今は広いですが直ぐに狭くなりますよ。ナズーリンたちが居るのですから。」


「……相部屋ですか?」


「そういうことです。」


さらりと恐ろしいことを言われてしまった。

皆さんはいつか僕がこんなことを言っていたことを覚えているだろうか。

"知らない人と暮らすのが苦手である。とくにオオ大人数が相手だと精神が持たない可能性がある"

つまり、今の自分はかなり、というかとてつもなく不味い状況にあるのである。

しかも相手は全員妖怪とはいえ人型の異性。

思春期の少年には辛すぎる状況だ。

ある意味死刑宣告だろう。

この状態をハーレムだと言って喜ぶ人も居るだろう。

しかし、ハーレムとは、人によって捉えられ方が百八十度変わるのである。

僕の場合は、無論のことながら、地獄である。


「どうしましたか?」


しばらく固まっていたため、聖さんが声をかけてきた。


「あ、いえ何もないです。ところで、ナズーリンさんたちは今どこに?」


「さぁ……今日は休みの日ですからどこに居るかまでは。今ここに居るのは一輪と響子くらいでしょう。」


「あぁ、休みの日だったのですか。成る程。」


どおりで人が少ないわけである。


「そのうち帰ってくるでしょうし、それまでここの修行の内容について話させていただきましょうか。」


「分かりました。」


聖さんの話には修行の内容だけでなくその目的や必要性も含まれていたが、取り敢えず内容だけを取り出すと

・座禅

・雑巾がけなど清掃

・写経、読経

・その他いろんなこと

だった。

実は、僕は仏教の修行を座禅を組んで南無阿弥陀仏と唱えるくらいだと考えていた。

しかし、実際はもっといろんなことをするようだ。

滝にうたれることは無いようだが。


「これくらいですかね。」


説明を終えた聖さんが口を開いた。


「さてこれからどうしましょうか……。」


その時、非常にちょうどよく玄関の扉が開いて複数人が入ってくる音が聞こえた。


「ただいま戻りましたー。」


続いて廊下のきしむギシギシという音。

歩いてきたのは三人の女性――僕の記憶が正しければナズーリンと虎丸星、それから村紗水密だ。


「あ、聖さま!」


村沙が口を切った。


「お帰りなさい水密、ナズーリンそれに星、あなたも一緒だったのですか。」


「えぇ、ちょっとありましてね……。」


星はなぜか口を濁した。

が、その疑問にはナズーリンが即座に答えてくれた。


「ご主人、また宝塔を無くしたんですよ。」


ナズーリンがため息混じりにそう言うと、


「ちょ、ナズーリン、言わなくったって良いじゃないですか。人には間違いだってあるでしょう。」


と星が慌てて反論した。


「そうですけど、ご主人の場合その間違いを懲りずに何度も繰り返してるじゃないですか。反省してくださいよ。」


「はい……。」


星は物凄く分かりやすくショボくれた。


「ところで聖さま。」


と村沙。


「隣に居る人は誰です?」


やはりここで指をさされた。

何時までたっても慣れないものである。


「今日からここで一緒に修行することになった、藤乃重信ですよ。」


「……初めまして。」


ほとんど初対面で今にも卒倒しそうになりつつも、なんとか挨拶を絞り出したのだがとても小さい声になってしまった。


「あ、あぁ、一ヶ月くらい前に来てたあの!」


「はい。」


ここでナズーリンが


「しかし、いったい全体どういう風の吹き回しでここに来たんだい。」


「えぇっとぉ……。」


どう答えるべきか分からず口ごもってしまったが、


「まぁ、彼にもいろいろと事情があるのですよ。」


と聖さんがフォローを入れてくれた。


「へぇ、そうなんですか。よろしく、重信。」


ナズーリンが手を差し出した。

握手を求めているのだろう。

正直、あまり知らない人の手を握るのはにがてだったが、ここで握手を拒否してしまうと少々印象が悪くなってしまうであろうので、


「こちらこそ。」


とだけ言って握手に応じた。

もうすぐ冬コミですね。たくさんの人や同人誌が集まるということでとても楽しみです。気になる本も有りますしね。ただ、一つだけ厄介な点が。今年も行けそうにないのです。

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