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聖の説教

命蓮寺は人里の近くにあるので、僕は歩いていった。

そして、墓場で驚かそうとしてきた化け傘の妖怪を適当にスルーし、ボリュームマックスの挨拶の洗礼を受けてから玄関らしき場所に向かった。

取り敢えずごめんくださいと大きな声で言い、反応を待った。

十数秒ほど待ってみたが、玄関はしんとしたままだった。

そこでもう一度呼んでみようとしたのだが、その前に背後の扉ががらがらと音をたてて開いた。

驚いて振り替えるが、そこには誰もいない。

不気味に思いながら顔を前に向けていると、今度は左側から声が聞こえてきた。


「あなたは誰?」


心臓が飛び出そうになるのを押さえて顔の向きを変えると、今度はちゃんと人がいた。

黒地に黄色いリボンの帽子を被り、灰色と緑を混ぜたような髪をした少女だった。

大きな紫色の眼球が繋がっているのだから、彼女も妖怪なのだろう。


「あ、あぁ、ちょっと、聖さんに用があってね……。き、君はここの人かい?そうだったら聖さんのところまで案内して欲しいんだけど。」


「いいえ、でもこの時間だったら多分書斎にいると思うわ。」


「書斎……そこまで案内してもらえないかな。」


「良いわよ。私も白蓮さんに会いに行くところだったの。」


少女はそう言うや否や靴を脱ぎ捨てて、奥の方へと進んでいった。

こちらも急いで靴を揃えて脱ぎ、小走りでついていった。

そんな様子で少女の後ろを歩いていると、廊下の向こうから人があるいてきた。

あの人のことは知っている。

確か名前は雲居一輪だったはずだ。


「あら、こいしじゃないか。それからあんたは……。」


「重信です。」


「あぁあぁ、そうだった。久しぶりだね。それにしてもどういった巡り合わせで二人が一緒に?」


「実はですね。」


僕は国語の記述問題の模範解答並みに的確に、簡潔に事情を説明した。


「成る程、聖さまに用があるのか。それなら案内ついでに話をつけてあげるよ。」


「ありがとうございます。」


「じゃあ、行こう……っと、こいしはもう行ってしまったか。」


言われて隣を見ると、確かに少女は消えていた。

全くもって気配がない、不思議な少女である。


「本当ですね。ところで、こいしって言うことはあの地底の妖怪のですか?」


「そう。たまに遊びに来るの。大抵気がつくとそこに居る、っていう感じだけどね。」


それだけ言うと、一輪は歩き始めた。

書斎へはそれからすぐについた。

障子の向こうからはこいしのものと思われる楽しげな声が聞こえてきた。


「聖さま、失礼いたします。」


そう言ってから一輪が障子を開ける。


「あら、来たのね。話はこいしから聞きましたよ。」


「そうですか。では私はこれで。」


書斎到着早々、一輪は戻っていってしまった。

こちらは聖さんに入ってくるよう言われたので、正座のままぎこちない動きで部屋のなかに入った。


「お久し振りですね。どうです、ここでの暮らしはどうですか?」


「まぁ、なんとかやっています。」


「良いことです。」


聖さんはニッコリと笑った。


「それで、用とはいったい何でしょうか。」


僕はやや弱めの口調で答えた。


「弾幕の修業、ですか。しかしいったい何故?」


「魔理沙から聞いた話ですと、どうもあと数ヶ月ほどで異変が起こるかもしれないそうなので、戦力になれればと……。」


取り敢えずは建前で通しておいた。


「しかし、あなたは確かつい二週間ほど前まで紅魔館で修業をされていたのでは?」


聖さんは疑問をそのまま表情に出していた。


「えぇ、まぁそうですが……。」


少し言葉がつまってしまう。


「念には念をってやつですよ。」


今度はそのままの表情でじっと見つめられた。

後退りしてしまいそうになる目で、人の心の奥深くまで見透かしてしまいそうでもあった。

その状態が十秒くらい続き、とうとう僕は折れてしまった。


「助けたい人が居るんです。」


「助けたい人ですか。」


「はい。その人はちょっとした事情で軟禁状態のようになっているんです。だから友達がいないんです。それで、僕は約束したんです。外に出してあげる、友達を作るのを手伝ってあげると。でも、今の僕では弱すぎて行く手を阻まれてしまう。だから、強くなりたいんです。」


「そうですか……。」


聖さんは目をつぶって少しの間考えたあと、話し出した。


「人のために何かをしようとするのは素晴らしいことです。ですが、もう少し考えないといけないところがあります。」


「何です?」


「あなたは今自身の直面している問題に武力だけで立ち向かおうとしています。えぇ、勿論そういったものも必要なのでしょう。ですが、それ単独ではただ危険なだけです。あなたは、心も鍛えなければいけないのです。武力の行使は最終手段です。私も仏に使える身ですからね。出来れば使ってほしくはありません。それに、使うとしても無茶苦茶なのは駄目です。正しい心が必要になってきます。」


「正しい、心。」


「はい。たとえ相手が大悪党だったとしても、正しい方向へと導いてあげる心、あまりに酷いことはしない、慈悲の心です。」


「……そうですね。少し、道を誤っていたのかもしれません。」


聖さんの言葉には何か心に直接訴えかけてくるような何かが感じられた。


「ですから、弾幕の修業ついでに、ナズーリンたちがやっているような仏の道の修行もすると良いでしょう。」


「え、良いんですか?僕が居ると場違いな雰囲気になったりしないでしょうか。」


「大丈夫ですよ。あの子達もいいこたちばかりだから、受け入れてくれます。ここでは全てを受け入れるのです。」

後書き書く気力がないので適当なこと書きます。


ねこです。よろしくお願いします。

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