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邂逅

「もう終わったの。」


「はい。」


特訓を終えた僕はレミリアに挨拶をしに行っていた。


「流石、と言うべきかしら。やっぱり貴方の成長速度は異常ね。」


「それはどうも。」


「兎も角、特訓が完了したことはめでたいことだわ。おめでとう。」


「有り難うございます。」


「さて。貴方の特訓も終わったんだから、保護者にも連絡しておかないとね。」


「保護者?いったい誰のことです?」


思いもよらない単語をレミリアが発したので、つい声が大きくなってしまった。

レミリアはそれに驚きながらも平静を装って続けた。


「魔理沙よ。だって、貴方は魔理沙の世話になっているんでしょう?」


「え、まぁ多少は。」


「じゃあ、程度はどうあれ保護者であることには変わりないわ。」


「……。」


否めないのがなんとも情けないところである。


「呼ぶのには時間が掛かるから、しばらく館の中を歩き回っているといいわ。その間に別れも言えるでしょう。」


「はい。」


「それと、これを持っていきなさい。」


そう言って、レミリアは机からリストバンドのようなものを取りだし、僕に渡した。


「なんです、これは。」


「一種の通信装置のようなものよ。パチュリーが作ったの。それをつけていれば何処にいても直ぐに連絡がとれるわ。」


「成る程。これがあれば何処にでも行けるっていうことですね。」


「そういうこと。じゃ、行ってらっしゃい。」


「はい。」


僕は返事すると回れ右してドアから出ていった。

別れを言うと言っても、ここにいる間は余り多くの人と接しなかったので、メイド長とパチュリーのところに行くことにした。

メイド長の部屋はレミリアの部屋から非常に近いところ(廊下を数十メートルほど歩いたところ)にあるので、先に行って軽い挨拶だけをし、相手も同じく軽い返事をした。

それから、図書館へ向かった。

図書館はかなり遠いところにあったが、何しろ雨が降るたびにそこへ足を運んでいたため、場所は完璧に覚えていた。

パチュリーは、何時も通り机で、なにやら本を読んでいた。


「どうも。」


ページをめくる手を止め、ゆっくりと顔をあげた。


「あら、重信じゃない。今日は晴れてるから蔵書の整理は無いわよ。」


「あぁ、実は……。」


僕は事情を簡潔に説明した。


「へぇ、もう終わったの。それじゃあ、これはお別れの挨拶ってこと?」


「そういうことになりますね。」


「残念だわ。」


「残念?それはまたどうして。」


「手頃でしかも仕事のできる労働力が居なくなるからよ。」


「それはないですよ。」


「大丈夫、ただのジョークよ、気の効いたね。」


ひどいジョークである。


「さいですか。ま、そういうことで、お世話になりました。」


「こちらこそ、お陰さまで少しだけ仕事が楽になったわ。」


「まだ言うんですか、それ。」


僕は苦笑しながら図書館をあとにした。


さて、予想はしていたことなのだが、挨拶が終わっても腕につけたデバイスはウンともスンとも言わないのである。

なので、館をもう少し歩き回ることにした。

手始めに、図書館のすぐ横にある螺旋階段を下ってみようと思う。

図書館は地下二階にあるのだが、そのさらに下にも階段が続いているのである。

これを調べてみないてはない。

早速降りていった。

階段は異様に長く、数分間歩き続けるはめになった。

そして、ようやく一番下にたどり着いた。

そこには、一本の長い廊下と、その行き止まりに一つの扉があった。

非常に暗く、明かりと言っても頼りない蝋燭が壁に掛かっているくらいだったので、少しは恐怖心がうまれた。

しかし、今や僕の好奇心は目盛りを吹っ切っており、そんな感情は完全に無視された。

僕は躊躇なく廊下を進んでいき、そしてゆっくりと扉を開けた。

そこはどうやら子供部屋のようだった。

床には大量のぬいぐるみや玩具が散乱し、奥には小ぢんまりとしたベッドがあった。

しかし、一つだけ奇妙な点があった。

ぬいぐるみや玩具が、例外なく壊れているのである。

からくり人形は中の歯車やぜんまいが飛び出し、ぬいぐるみは千切れた頭から黄色い綿が覗いていた。

これはいったい……。


「あなた誰?」


唐突に背後から声が聞こえた。

慌てて振り向くと、一人の金髪の幼女が立っていた。

その出で立ちはレミリアによく似ていた。


「誰?」


少女は再び尋ねた。


「あぁっと、失礼。あなたの部屋だとは知らなかったんです。すみません、直ぐに出ていくので。」


「ちょっと待って。あなた、もしかして藤乃重信?」


「そ、そうです。」


「やっぱり!会えて嬉しいわ!」


余りの態度の変わりように半ば困惑していた。


「あなたは誰です。」


「私はフランドール=スカーレット。お姉様の妹よ!」


「お姉様って、レミリアさんのこと?」


「そう。あなたのことはお姉様から聞いていたの。それで、私はあなたに会いたくなった。でも、お姉様はあなたがここにいる間は自分の部屋を出ちゃいけないって。だから、あなたから会いに来てくれてすごく嬉しいの!」


「へぇ。でも、僕は今日でここを出ていくことになったんだよ。」


「え……!どうして……?」


「今日、特訓が全部終わったんだ。だから、もう帰らなくちゃいけない。」


「そんな、せっかく重信と遊べると思ったのに……。」


フランドールの目に溢れんばかりの涙が溜まっていった。

見ているこちらまで心が痛んでしまいそうである。


「あぁ、泣かないで。大丈夫、まだ出発には少し時間があるから、その間一緒に遊んであげるよ。」


「ほんとう!?」


フランドールの顔に笑顔が戻る。


「勿論。」


「ありがとう!」


フランドールは嬉しさの余りにこちらへ飛び付いてきた。

テストの順位が低くてパソコン君が粛清されるという不幸が起きました。

悲しいなぁ。


ところで、フランとコンタクトしましたね。

そして遊ぶことになりました。

どういう意味か、分かりますね?

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