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パチュリー様はお怒りのようです

美鈴と話していると、ドアを二度叩く音が聞こえた。


「どうぞ。」


美鈴の方が返事をした。

扉はレミリアが出て行ったとき同様、ガチャ、キイィ、という音がして開いた。

扉の向こうから現れたのは、紫色の髪をした顔の白い少女だった。

少し大きめで金色の三日月の付いたナイトキャップに紫の縞模様のネグリジェ、その上から淡いピンクのナイトガウンのようなものを着ている。

今していた話、タイミングからして恐らく彼女は――


「あら、目が覚めたのね。初めまして、かしら。私がパチュリーよ。ここの図書館に住んでいるわ。」


予想は的中だ。


「あ、初めまして。治療していただいて有難うございます。」


「いいのよ。病人を助けるのは治療できる人の役目なんだから。それに……。」


パチュリーはそこで少し間を開けると、美鈴の方を見た。


「どちらかと言うとこの門番に感謝してもらいたいわ。」


パチュリーが威圧感たっぷりに言うと、美鈴がビクッとなった。


「私が居なかったらこの子だけじゃなくあなたの命も無くなっていたかもしれないのよ?ちゃんと相手のことを考えて特訓しなさいよね。でないと、あなたは紅魔館の門どころか自分の弟子さえ守れないって馬鹿にされるわよ。」


グサッ、グサッとパチュリーの発した言葉が一言一言的確に美鈴の心に刺さっていくのが分かった。

さっきレミリアにも十分絞られていたようなので、彼女のライフはもうとっくにゼロであろう。

まごうことなきオーバーキルである。


それにしても、この魔法少女は実に表情筋の堅いお方である。

僕に話しかけるときはおろか、美鈴に怒っているときでさえ表情が変化しないのである。

しかし、そう言った要素が彼女の知的な雰囲気を高めているのもこれまた事実だろう。


そんなことを思っていると、パチュリーが話しかけてきた。


「あなたも、特訓だからと言って無理はしないで、疲れたときはちゃんと疲れたって言いなさいよ。私の回復魔法も習得したばかりであまりあてにならないんだから。」


「はい。気を付けます。」


「じゃあ、私はこれで。とは言っても、どうせそのうち会うことになるでしょうけどね。」


パチュリーはくるりとドアの方に向き直ると、そのまま部屋から出て行った。

その後しばらくはさっきの会話を反芻していたが、一つだけ気になる点があった。

パチュリーは「そのうち会うことになる」と言った。

また熱中症か何かで倒れて運ばれてくるだろう、という意味なのかもしれないと思ったが、会話の流れからしてそれはあり得なかった。

ならばどういう意味で言ったのか。

もう少しだけ考えてみたが、皆目見当がつかなかったので考えるのをやめた。

というわけで、この件はお蔵入りとなってしまった。


「そう言えば美鈴さん、今日の特訓はどうなりますか?」


僕が話しかけると美鈴ははっとなり、こちらを向いた。

どうやらさっきまで完全に自分の世界に入り込んでいたようだ。


「あ、今日はもう時間も遅いですし、重信さんもそんな状態なので特訓はありません。でも、明日からはまた始められますよ。」


「わかりました。あ、そういえばパチュリーさんってどんな方なんですか?」


一応パチュリーについては「引きこもりで身の回りのことはみんな使い魔の小悪魔にまかせている、所謂ダメ人間。」と聞いていたが、魔理沙のことでる。少なからずデマが混じっているだろう。


「パチュリー様はお嬢様のご友人で優秀な魔法使いです。とても本が好きな方で毎日数十冊の本を読んでいるとかなんとか。それにとっても賢いです。ただ……。」


「ただ?」


「少し表情が乏しい方なので、感情が読めない時があるんですよね。それに、パチュリー様は基本的には優しいのですが、怒ると……。」


「怖いんですね。」


「はい。ここの図書館には珍しい本が沢山あるんですが、それを狙って泥棒も入ってくるんですよ。」


「泥棒、ですか。」


「はい。」


こんな恐ろしい悪魔の館に泥棒に入るとは。

なかなか肝っ玉の据わった人である。

それともただ単に馬鹿なのか。


「それで、その泥棒は私がうっかり寝てしまった瞬間に、しかも空を飛んで入ってくるものですから、今までに何度も本が盗まれているんですよ。」


「成る程。それで怒られるんですね。」


「そうです。」


一体どのような泥棒なのだろうか。

そんなことを考えて目を瞑ってみたが、その答えは一瞬で出てきた。


「その泥棒って若しかして……。」


「あ、魔理沙さんです。」


正解である。

まさかこんなところでも盗みを働いているとはとも思ったが、流石は魔理沙である。

行動の自由度にかけてはこの幻想郷で右に出る者はいないだろう。

というより、居てほしくない。


「やっぱりですか。因みに、被害はどれほどですか?」


「ざっと数千冊、ですかねぇ。」


いくらなんでも盗まれすぎである。

これだけ盗まれたら普通警備を強化するとか門番の首を切るだとか対策するのが普通だが、これすらも幻想郷では通用しないのだろうか。

それとも――。


「実はパチュリーさんは本が盗まれることをそこまで嫌と思っていないんじゃないでしょうか。」


「いえいえ、それはさすがにないですよ。さっきも言いましたように、パチュリー様は本が大好きですから。」


「でも、それだったら対策くらいしませんか?」


「まぁ、そう言われれば……。一理ありますね。」


数分程雑談したのち、美鈴は下がっていった。

その際に、美鈴は明日の特訓の予定を教えてくれた。

内容は霧の湖をゆっくり一周し、それから腕立て、上体起こし等のトレーニングを数時間行うというものだった。

相変わらずきついことに変わりはないが、前に比べればかなり良心的なメニューになっており、休憩も何回か挟んでくれるそうだ。

有難い。


美鈴が出て行ったあと、僕はベッドから這い出て、窓のそばに立った。

外を見るともう夕日が見えていた。

本当に長い間眠っていたらしい。

その後、僕は仕事をしようと机に向かったが疲れていて全くできなかったので、もう一度寝ることにした。

僕はベッドに入り目を閉じた。

それにしても、数千冊も本を盗まれて対策をしないとは、パチュリーは魔理沙のことが好きなのだろうか。

そんな馬鹿げた考えを展開しながら、僕はゆっくり眠りについて言った。

今回はかなりグダグダになってしまいましたね。

とくにこれといった見せ場もありませんし。

タイトルはおかしいし。

大丈夫かいな。



謝罪:

前回の話で、文章が繰り返している部分がありました。

すみません。

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