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今は無き良き文化

博麗神社を発った後、かなりの時間をかけて幻想郷の大部分を回った。

まず守矢に行き二柱にあいさつ、その後紅魔館(門番が寝ていて良いのだろうか)や妙蓮寺(門前での威勢のいいあいさつに腰を抜かしかけてしまった)などに行った。

何よりも驚かされたのが、外の世界の文化、技術がこちらにも流れてきている点である。

天狗たちはそれぞれが新聞を作ってその発行部数を競ったり、河童は現代の最先端の技術をもってしても作れないであろうもの、例えば光学迷彩や巨大ロボなどを作ったりと、ずっと昔に外の世界と切り離されたとは思えないほどだった。


そして今は人里に向かっていた。

これだけ多くの場所に行っていたので、もう日が傾きかけていた。

つまりはそれだけ長時間飛行していたわけだが、飛ぶのが初めての僕にとってはかなりの苦行となった。

しかし、その分飛ぶのに慣れたのは良いことだろう。


「もうすぐ着くぞ。」


その魔理沙の声ではっとなった。

あまりに疲れていたので気づかなかったが、いつの間にか人里が目前に迫っていた。

魔理沙が降下を始めたのにならい、こちらも降下した。

数分後、僕たちは人里を歩いていた。


人里は景観の良い小さな町といったところだった。

いくつもの長屋と二つほどの屋敷、それと数本の小川で出来ていた。

無駄に華やかでなく、自然と文明が程よく調和しており、歩いていてとても気分が良かった。

そして何より驚かされたのが、ゴミが一つも落ちていなかったことである。

江戸時代の日本ではリサイクルという概念がとても発達しており、生活廃棄物のほとんどが回収され、再利用されていたという。

幻想郷の成立をその頃と考えると、ここにはその精神が今も受け継がれているということになる。

少しはこの精神を今の日本人も見習ってほしいものだと思った。


「そういえば、普通の人はここにしか住んでいないのか?」


「ん?ああ、ここだけだ。里を出てしまうと妖怪の標的になりやすいし、そもそも立地的にも危ないところが多いからな。」


「へぇ。」


「でも、生活に困ることはないぜ。八百屋も雑貨屋も医者も何もかも揃ってるからな。貸本屋もあるぞ。」


「貸本屋?」


「鈴奈庵っていうところがあってだな。とても良いところだぜ。本が好きなのか?」


「まぁ、そうでもあるが、こっちでは貸本屋なんて当の昔に無くなったからな。」


「そうか。行ってみるか?」


「行ってみよう。」


そう決まると、魔理沙は一番近くの十字路を左に曲がり、大通り(店が沢山有ったのでそう思われた)をしばらく歩いて行った。

数分ほどで、その「鈴奈庵」に着いた。

魔理沙が暖簾を潜りながら


「よう、小鈴。居るか?」


するとすぐに


「あら、魔理沙さん。こんにちは。」


と返ってきた。

それに続いて僕も入っていった。

小鈴と呼ばれたのは、オレンジ色の髪をした女性だった。


「あ、その方ですか?例の新しく来た外来の人というのは。」


「ああ。今日はちょっと幻想郷の案内をしていてな。」


「そうだったんですか。」


そして、小鈴さんはこちらに向いた。


「どうも初めまして。鈴奈庵の店主の本居小鈴です。」


こちらもそれに応じた。


「あ、初めまして。藤乃重信です。」


「ところで重信さん、ここで働きませんか?」


「え?」


いきなりの質問に、少々戸惑ってしまった。

何の脈絡もない、チャ〇研もあらびっくりの無説明展開にはさすがの僕も驚いてしまう。


「何故いきなりそんなことを?」


「実はですね、今外来本がとても人気なのですよ。本当に多くの人が借りていくんです。でも、そこで生じてくる問題があるんです。」


「何ですか?」


「外来本に乗っている単語の意味が分からないのですよ。昔は宇佐見さんという外来の方がいらっしゃったんですが、十年ほど前に来なくなってしまったんです。」


「だから僕に?」


理由を説明されても少し腑に落ちないところがあった。

初対面の相手に対していきなり仕事を依頼することなどあるだろうか。

常識に捕らわれるなと言われたが、これはさすがに予想外だった。


「ええ。それに聞きましたよ。あなた、今仕事を探しているんでしょう?」


「え、誰からそれを?」


「魔理沙さんですよ。数日前にあなたの家の前を通ったらそのことについて独り言をしているのが聞こえたらしいんです。」


ほぼ反射的に魔理沙の方を向くと、いたずらっぽく笑っていた。


「成る程。」


そういった後、僕は少しだけ考えた。

が、直ぐに結論は出た。

これは外来人である僕にしかできないことであり、それをする義務のようなものがあると思われた。

それに、僕は単語の説明を書けばいいだけであり、それだけで給料がもらえるのならば美味しい話である。


「どうです?」


「分かりました。やりましょう。」


その途端、彼女の顔がぱぁっと明るくなった。


「有難うございます!」


「ところで、筆記用具って何がありますか?」


「ここにあるのは筆くらいですね。苦手ですか?」


「まあ。でも、それしかないのなら仕方ないでしょう。」


そこで魔理沙が入ってきた。


「それならいい案があるぜ。」


「なんだ?」


「幻想郷にも外の道具を売っているところがあるんだ。そこならいいものが見つかるはずだぜ。」

この前メトロポリスを見たんですが、とても面白かったです。

無声映画でセリフ(画面に表示される)もほんの少ししかないのですが、それでもしっかりとストーリーが伝わってきました。

やっぱり映画っていいですね。

それではさような……なに?博麗神社と人里以外の案内が適当すぎる?書くのが面倒になったんじゃないかって?

君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

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