(自分の力)
『Moon暦725年11月12(土)=Moon暦726年6月2日(土)』
私にはこの知識がないけど、このレアメタルとは何だろうか。メタルだから金属のことだと思うけど、金属と言えばその辺にあるものはすべて金属が使ってあるが、レアという言葉の意味が少し分からないので、マーシャさんとの通信が終わりリリーさんに聞いてみた。
「リリーさん、レアの意味が分からないけど、数が少ないということなの?」
『そうよ。数や量が超少ないということよ。分かりやすく例えで言えば、このレアメタルが大量に手に入れば新しい艦を造れる。今までの古い艦を壊すこともないし、リサイクルしていると考えればそれまでだけどね。それだけの問題ではない。色んなことに利用できるのよ。何がとは説明しきれないくらいね。それだけ貴重な金属です。マーシャさんは考えることが違うのね。マギーと同じで頭の中がパーコンなのかもね』
と、彼女はそう説明してくれたけど、私たちはどことなく思考レベルは近そうだけど、はるかにパワーの違いが存在するし、彼女はれっきとした大人だと思った。
「自分で調べる。意味不明です」
と、私が少し拗ねたようにそう言うと、
『そうしたら意味が理解できるからね。シティーの図書館で調べた方がいいかもね。連絡すれば私が見せてあげる』
と、彼女はそう言ってくれたけど、マーシャさんもこっちに来たときには色んな言葉を調べているのだとも思ったのだ。
「十五日の木曜日にリサのイベントに行くから、時間を作って図書館にも行こうと思っているよのね。その時にお願いします」
と、私はそう言ってしまった。
『了解しました!』
と、彼女の声の響きはすこぶるご機嫌のようだった。
「……話しは変わるけど、今日のランチは彼女たちと一緒に話して楽しかった。紅一点の軍曹も一緒だったし彼は話しが上手なのね。私のメンタルな部分が柔らかくなったみたいよ。少佐とは違うと思った」
『当然でしょう? 年も違うし階級も違うし、彼女たちも彼の話しを聞いて色んな立場があることが考えられる。その中には男女の違いも入っているのよ』
と、彼女がそう言ったから、男の子は最初のスクール船にいた頃にしか存在感がなく、私はニッシー大尉と出合い、そしてシティーの図書館で色んな本を読むことができたけど、彼女たちに身近に男性の存在感が薄れていると思い、この船には年代別の男女の乗務員がいるので、何か感じとってほしいと思ってしまった。
「……確かにね。五学年までは男女が一緒で少しは話しもしていたけど、それからずっと独りぼっちになっていたからね。私はリリーさんがいたから十学年からたくさん話しをすることができたけど、ここでは男性の存在もあるのね。彼女たちの心の変化も大事なことだよね。カードル軍曹はカーコン艦長が探しだしてくれたとシェリーが言ってたけど、リリーさんはそのことは知っていましたか」
『……知らなかった。艦長からではないのね。私が何でも知っていると思ってはだめだよ。マギーが話してることをすべて聞いてるわけではない。マギーが連絡を入れなくては聞けない。この前みたいにマギーから連絡してくれなくては、心拍数の管理とはそういうことよ。信じてもらえないかもしれないけど、そういうことをしてたら何も話せなくなるでしょう?』
「……なるほどね。それとね、大尉が班長は三人で一部屋にしたけど、リリーさんは何か理由は知ってるの?」
『別に聞いてないけど』
「昨日は何も言ってなくて……シェリーと何か話したのかしらね……そうだ、木曜日にリサのイベントに私たちが行くからそれで三人部屋にしたのかもね。さっきは考えられなかったよ」
と、私はそう言ったけど、私のことをすべて知られては困るような気がする。
『そうかもね。上手に理由を考えられるようにしてくれたのかもよ』
「フゥーもいるしね。私とフゥーが最初にシティーに移動し、サリーとジュピは『ムージュ号』に行くことにしたらいいのかもね。フゥーには私から部屋に行って話す。班長だものそのくらいの特典はつけるよ。彼女に話して班長の三人姉妹を誕生させるからね」
と、私はそう言ったけど、私が連絡しなくては理解できないと言ったので、彼女の言葉を信じるしかないと思った。
『そうね。三人でがっちりスクラムを組めばいいのかもね。フゥーが卒業してからの話しだからね。彼女にはその意味が理解できると思うよ。長い目で見てマギーのそばに三人いれば完璧よ』
「リリーさんは考えることがすごいのね。いつも私のためになることを考えてくれる。シェリーもそうだと思うけど……リリーさんとシェリーは双子なのね」
と、私は昨日の言葉を思い出しついそう言ってしまった。
『えっ、どういう意味なの?』
「二人とも私の母親ということよ。リサとリンダはリチャードの孫の長女であり双子なのよ。私は一気に二人のお姉さんができた。フゥーも入れて妹も三人いるし、こんなに姉妹が多いとお付き合いが大変になる。この話しは聞いてたの?」
『私はマギーが連絡してくれてからリチャードの話しを聞いて、リサのプレゼントを開けたときまでは聞いてたけど、それ以外は聞いてない』
と、彼女からそうはっきり言われたけど、こういうことを疑っている自分が惨めになってきた。
「分かりました。リチャードの話しは聞いたでしょう? 私はビックリした。リサが助けてくれて感謝していると言ったからね。リサは二度とこの会話には触れないと思います」
『私もそう思う。過去のことは考えても終わったことだから、マギーもリサも未来を見つめて生きていけばいい。私はそう思いますよ』
と、彼女がそう言ってくれたから、私は少佐の話しは触れたくないと思ったので、リチャードの話しを強調して話したつもりで、知っているとは思ったけど、リリーさんはそのことには触れなかった。
「分かりました。シェリーが五艘の巨大艦隊を一つにまとめる話しは聞きましたか?」
『それも聞いてないけど……この前ドライク・カーコン艦長とプライベートで話したときに、私に連絡して会話を削除してくれと言われたのよ。それから……艦長が許可すれば、マギーに話してほしいと言われたけど……そのことなのね』
と、彼女はそういう話しまで教えてくれ、私はまったく知らないことだった。
「リサが上下を統一したいと私に話し、私もそのことを考えていたからね。お互いに話したことをシェリーが知って話してくれたのよ。シェリーはずっと前から考えてたみたいで、私のことも何か言ってたでしょう?」
『それをマギーに譲ってと言ってた。カーコン艦長は了解しましたと言ったけど、その前の二人の話しを聞いてないから理由が分からないの』
と、彼女はそこまで私に話してくれたら、やはり知らないこともあるのだとはっきり実感してしまった。
「……そうしたら……私はこれから何をすればいいの? 二世の艦長を目指しサームナッカ号の艦長にもならなくてはいけない。私も頑張るけどリチャードやシェリーの夢は……私には大きすぎるのよね」
『そういうことはない。いずれマギーがサームナッカ号の艦長になり、上でマギーが一つにまとめ、下でリサが一つにまとめればお互いに統一の夢が可能になるのでは、それは何十年も先の話よ。今は目の前の目標に向かって進めばいい。それが積もり積もって経歴として残っていけば、最終的にはその地位にマギーが存在すると思う。今は遠い夢よりも近い夢を可能にすればいいのよ』
と、今度の彼女の言葉は、私にはシェリーの言葉のように聞こえてしまう。
「……なるほどね。私は近い夢を一つずつ現実にすればいいのね。パワー全開の話しみたいにね。焦ってはだめですね。冷静沈着にね」
『そういうことです。一つ一つの積み重ねです』
「分かりました。昨日はリチャードもシェリーも私に家族の表情を見せてくれた。私はそう思ったのよ。私には少佐もそばにいて周りにはたくさんの人がいるからさ、その人たちのためにも……その場その場で自分の力を出し切ればいいのね」
と、やっと私は少佐の言葉が使えたと思ったのだ。
『そういうことです。今日は疲れたと思うからもう寝なさいね。おやすみなさい』
と、彼女からそう言われてしまった。
「やっぱりリリーさんはシェリーみたいですね。おやすみなさい」
と、私はそう言ったけど、彼女がどこまで聞いていたのかは知らないが、私の気持ちが少しだけ離れてしまった、と思った瞬間だった。
それは私の心の叫びなのだろうか。すべてを聞いていてもそのことを私には話さなかったみたいだし、それもほんとうかどうかも分からないけど、リチャードもマコートも同じ時計をしているいし、聞こうと思えば聞けるということだけど、そこまで疑ったらやっていけないな、やはりそれ以上は聞いてないのだ、と今日中にそう思うことに決めた。
今の私は副艦長の部屋にいるので、パーコンルームに行けないのが残年であり、リリーさんは軍曹の部屋にいつ移動するのだろうか……明日も忙しそうだからリリーさんには会えそうもにない……私は早く顔を見ながら二人で会いたい……リリーさんとも少佐とも…………眠れた。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。




