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『上下世界の一連の流れ』

今回は一回分ですが、少し長文です。

  ★『上の世界の流れ』★


 『巨大ミミズ事件』が1月25(水)に起こってから、2月25(土)にマーシャさんからの初めての連絡があり、3月6日(火)に二度目の連絡、3月16日(金)に三度目の連絡があり、マギーは三度目の連絡後にサームナッカ号の艦長にプライベートで連絡を入れた。


 3月26日(月)に上からジョナの時計に『115001』のプライベートナンバーを発信し、マーシャさんと一回目のやり取りがあり、二回目は4月7日(土)に電波を発信し、その時もやはりマギーたち五人の集まりだった。


 その後、メーシス艦長は特別会議を招集し一連の録音された内容を検討して、四艘の巨大艦隊に今回の事件を報告したのが『Moon暦726年4月9日(月)』であり、この『巨大ミミズ事件』からのマーシャさんの存在は、箇々の艦隊の派閥争いが少しはあったが無憂無風(むゆうむふう)状態であった上の世界を仰天させる出来事となったのだ。


 マギーが助けられた彼女たちを迎えに行くことが決定し、『ムージュ号・二世』は小型船から中型船に改造され、その担当がメーシス艦長からニッシー大尉に命じられ、木星圏外から外に出る艦隊は危険回避のために、中型船以上と『Moon憲章』で決められている上に、中型船の艦長は少佐の階級が必要であり、乗組員は最低で伍長の階級を持っていなければ乗船許可が降りない。


 マギーたちの家である『ムージュ号』の存在が瞬く間に上の世界に知れ渡り二世の建造が急がされ、すべてはサームナッカ号のシェリー・メーシス艦長の手腕であり、大将の階級である彼女の存在も大きく飛躍し、4月21日(土)にマギーは少尉の階級を正式に手に入れることができ、大人の世界とは権力争いとも言える、とマギーはそう実感し、その大人の世界に自分は足を踏み入れたのだ、とそう思ったのである。


 『ムージュ号』とジュピターシティーの存在しか考えていなかったマギーが、今度は上の世界の仲間入りを果たせ、サームナッカ号の艦長を目指すという家族の夢が現実になりつつある中で、この『巨大ミミズ事件』が勃発したことからメーシス一族の遺言を知り、マギーの家族と家族の夢を知り、彼女の将来が決定した事件であったと言える。



  ★『ムージュ号の流れ』★


 『Moon暦 721年5月1日(火)』、マギーが十学年に進級したときに初めてリリーさんと出会い、『Moon暦721年12月5日(土)』、彼女が次年度の五月一日から移動が決定した船である、正式登録名『5904』のある場所に左手にしている時計と同じ物をセッティングしたことにより、リリーさんはその船へのアクセスが可能になった。


 『Moon暦724年5月3日(土)』、二回目の十一学年の始まりからマギーはキャプテンになり、正式登録名『5904』を『Moon(月)とJupiter(木星)』の二つの言葉を組み合わせ『ムージュ号』と別名を考え出し、リリーさんの開発した腕時計を仲間に配り、巨大ミミズ事件に役だったであろうと思われる訓練を開始していたのだ。


 『Moon暦725年5月2日(月)』、仲間のコミュニケーション力を得るための第一段階のネットチャットの始まりで、第二段階は『Moon暦726年5月1日(火)』からのランチタイムの延長と続き、第三段階では学年別に週二回の自由行動の許可を出す予定で、第四段階では六桁のプライベートナンバーを利用し、個人的に通信できるシステムを教えることにしていた。


 『Moon歴725年5月9日(月)』、彼女がキャプテンになり一年後に、サームナッカ号の艦長から呼び出しがあり、亡くなられたあるドクターの遺言の話しを聞いたのと同時に、リリーさんのボディーを製造している話しと、自分自身の過去の話しも少し聞いたのだ。


 『Moon暦726年4月21日(土)』、彼女は十二学年最後のマーシャル隊の集まりで、十一学年と十二学年と共にマスクを外して皆の顔を確認させ、本格的なコミュニケーションの任務をマーシャル隊に課し、彼女はサリーと5月1日(火)に十三学年に進級し、本年度の十一学年は二世に入れ替わるので入学者は存在しないことになった。


 5月3日(木)に上の世界で本年度のオープニングセレモニーが開催され、そこでマギーは少尉の階級の授与式に出席し、そのセレモニーにマーシャル隊のサリーとジュピを同行させ、彼女が『ムージュ号』のキャプテンになりこの事件が偶発して以来、マーシャさんの存在が明らかになってから、彼女の周りが忙しく動きだし、人とのつながりが少々理解できるようになり、彼女の『?』が消えたことは喜ばしいことだが、また新たな『?』が発覚したのだ。



  ★『シティーの流れ・マギー編』★


 マギーが前回シティーを訪れたのは、昨年の『Moon暦725年6月4日(土)』で、あの時は『Moon暦』が始まる前の過去を図書館で調べ、やっとの思いで探し出した地球の姿は緑色であったが、サームナッカ号のアースルームで大尉と生まれて初めて見た地球は薄い灰色をしていたので、彼女は自分住んでいる地球を緑色に戻したいと思った。


 『Moon暦726年4月28日(土)=725年10月8日(土)』、前日に一年ぶりにシティーを訪れた彼女はドクターに連絡をして十四時に会う約束をしたので、午前中はマーシャル隊への買い出しと、午後は時間通りに迎えに来たドクターと二人でジュピタータワーへドライブに行った。


 その途中で3月26日(月)に聞いた家族のつながりの詳しい話しと、ドクターの名前と艦長と自分の正式名も聞いたのだが、メーシス一族の遺言である衝撃的な話しも聞き、このタワーは彼女の記憶にはないが五歳前に何度も訪れた場所だった。


 わが家に到着した彼女は『艦長=シェリー=母』に出迎えられ、驚いた彼女ではあったがタワーに行った意味と、ダイニングルームと自分の部屋に飾ってあった写真が自分であることを知り、自分の部屋に大事に保管されていた子供服を見て、母親であるシェリーの言葉も聞き、彼女は母親の愛情を感じたのだ。


 シェリーとリチャードの計らいで、彼女とニッシー大尉が内密にわが家のディナーに招待され、リチャードから四組の一族のデザインの存在を知らされ、ジュピタータワーの地下の地図を見せてもらい、ニッシー大尉からプロポーズもされ、父親の存在も明らかになった、と彼女はそう思った。


 タワーで偶然にもリサと出会い、リチャードがリリーさんに連絡させた意味も少し理解して、リリーさんから制御の意味も聞かされ、シェリーとリリーさんから聞いた話しの内容が少々食い違っていることにも気づいた。


 マギーと家族、マギーとリリーさん、マギーと大尉、マギーとリサの今後は、ジュピターシティーの存在が要であり、このシティーで生活している人たちがいるからこそであり、マギーたちのつながりが今後どう変わっていくかを知るためにも、シティーは永遠に存在しなければいけない、とマギーはそう思ったのだ。



  ★『シティーの流れ・リサ編』★


 『Moon暦725年10月1日(土)』、リサは電車の中で預けられた顧問弁護士のリンダの手紙を読み、自分の年齢、自分のバースデイ、記憶の一部の欠如と、二十歳のバースデイから両親による百万ギーの資産が振り込みされていたバンクカード、チケット、シティーカード、カーライセンスと十万ギーの現金を持っていることを確認し、それと同時にこの電車に乗り込んだ記憶がなく、夢の世界のスキー場からの記憶しかないことに気づいた。


 彼女は自分の置かれた状況が少し理解でき、ジュピターシティーに入国するときにムービングカーの運転手であるトム・アンダーに出会い、彼にシティーを案内してもらったが彼にも何かを感じ、トムと一緒に食べたランチの『チキンマース』にも閃きを感じ、手紙に書いてあったジュピター第二ホテルを十日間予約することができた。


 このホテルにもまた閃きを感じ、リンダさんの書いた手紙を読み、リンダさんと友だちとして電話で話し、バンクカードの暗証番号であるお互いのバースデイの確認と、連絡先である法律事務所の名前も聞き及んで、ここを拠点にテリングとパーコンと新しい口座を開くこともでき、北部にプライベートルームを得ることができ、今度は南部にプライベートルームを得ようとしている。


 彼女は10月7日(金)にチキンマースでマギー存在に気付き、翌日のホテルの朝食のバイキング会場で座る場所がないマギーと同席になり、初めて行ったタワーでも出会い、また翌日のバイキング会場で話したことで、彼女はマギーが発する『リーザ』の名前のインパクトが強く心に残った。


 10月9日(日)に、彼女が購入したパーコンにシティーカードの十六桁の番号を打ち込み、ナビゲーターを立ち上げとたんに『リーザ』の名前で書き込みがあり驚きはしたが、マギーは何も知らずに協力した、とリーザからそう言われ、最初は驚いた彼女だが何度も出会うマギーの存在があったからこそ、お互いの共通点としてリーザの存在を信じることができた。


 お互いに話せることと話せないこと、聞いていいことと悪いことがある事実を彼女は知り、いい間違いと悪い間違いがあったからこそリーザに出会ったと思い、それを踏まえてもマギーことがとても気になり、リサは何度も出会った彼女のことを『不思議な(えにし)』だと考え、今回のことだけでは出会いは終わらないような気がした。


 10月14日(金)に、鍵である四桁の解除番号が分からずに、暫く存在を忘れ去れていた黒いケースを開けてみようと思い、シティーカードの下八桁の変わることのない自分の生年月日の数字を工夫しそのケースを開くことができたが、ケースの中には母の遺書と思われる手紙があり、自分の『正式名』、『リッシェン一族の遺言』、『デザイン』、『西暦の書物』、『HUMAN』と意味不明の言葉が並べられ、三番目に自分と対面したこの手紙は、リンダさんの書いてくれた手紙よりもいちばん重要だ、と彼女は考えたのである。


 10月17日(土)に、彼女はミランダ・ガーフィルと出会い、彼女にも『ピピピーン』と何かを感じ、彼女の持ちビルである『JPP・Office 第二ビル』の一階にあるオープンスペースを借りることになり、そこで『C&D Shop』というイベント会場を立ち上げ、それを『Jupi・Gemi Com』のブラウザの中に専用の『WP』を開設し、彼女はシティーの人たちにコメントを書いて宣伝をしたことで、彼女の第二の人生が幕を開けたのである。



  ★『シティーとタワーの隠された秘密』★


 ジュピタータワーから真南に十キロ地点がシティーの中心地点であり、もう二キロ下がると『JJエリア』の中心地点になるが、タワーの展望台から南部方面を見ると、左右四十五度の角度で九十度までの視野が広がり、『JJエリア』と『東部JJパーク』と『西部JJパーク』までがその視野に入る。


 このタワーは正三角形の底辺の中心に位置し、タワーから真北二キロ地点はシティーの最北端で、草がボーボーと生え低木の木が生い茂り、自然以外に施設は何も存在せず迷いの地点、という噂が流れる場所になり、誰もタワーより北部には行こうとはしない地域であり、シティーのドームは外壁があるのだが、シティーに住んでいる人たちにはその情報が公開されていない。


 外側のシティーの外壁部に張り巡らされたソーラーパネルからの電力供給はタワーの地下施設で集約され、パークの左右にある一方通行である道筋の地下を通り南部方面への電力が分散して放出され、そのことは隠された事実であり、すべてはタワーから南へ南へと開発が進んでいった。


 観光客はタワーの存在をエリアガイドで知っているので、そしてツアーが組まれているから訪れてはいるが、今やシティーの若者には教育の立場からタワーの言葉は出てこずに、シティーの住民にはタワーの存在を忘れさせようとしているみたいだった。


 シティーは『Moon歴』が始まり725年も時が経ち、月日が経つにつれて『五組の選ばれし一族』がシティーを管理していたが、その子孫たちはシティーが上の世界と余りにもかけ離れた存在になり、上のマザーパーコンの恐ろしさを懸念したのである。


 この五組はパーコンが暴れ出す前に食い止める『使命』を自らに課し、それを知るのは一族の子孫でも長男か長女と一人に限られそれ以外の子供たちには知らせず代々引き継ぎをし、名前の間に女性は『ジュピマール』、男性は『ジュピトール』という称号を付け『人類を守る』という重要な任務が課されていたのだ。


 自分の命よりも『大事な使命』として守り通さなくてはいけないことを徹底していったのだが、シティーの崩壊を案じ始めてからその子孫たちも月日が経つにつれ子孫も枝分かれを繰り返し、すでに自分たちも崩壊しつつある状況に陥ってはいたが、何事も起こらず『時』だけが過ぎ去った、とそう思っている。


 ジュピターシティーは『地球の縮小版』ではあるが、地上の人類が生き残りをかけた城砦でもあり、五艘の巨大艦隊のマザーパーコンと戦いが始まるかもしれないと危惧し、シティーのファミリーパーコンは巨大になりすぎないように最初から制御をされていた。


 五艘の巨大艦隊のマザーパーコンが一致団結して人間を支配しようとした場合に、もしもシティーのファミリーパーコンがそれに太刀打ちできないと本人及び人間が判断すれば、人類はお互いのパーコンを制御する言葉をファミリーパーコンに組み込み、それは人類を助けるためであり、過去の人間は将来の人類の存亡のために唯一の方法だと考えたが、時が流れて人間の意識が少し変わり、シティーのファミリーパーコンの今ある制御を解除する手がかりを残したのだった。


 両方のパーコンの制御の組み込みをしたのが、正式名を持つ真琥燈(まこと)・ジュピトール・錦車(にしきぐるま)の祖先であり、彼のスペシャルスキルは先祖代々から彼の遺伝子の中に組み込まれていた技術であり、マギーと同じく制御の言葉を受け継いだもう一組の一族は滅びてしまい、この『西暦の書物』を解き放す使命を受け継いだのは『リサ』であり、それともう一組、マギーのそばにいる『?・ジュピマール・?』もリサと同じ使命を受け継いだが、この時点では本人は何も知らない。


 初期の子孫たちは、この二つのパーコンが制御され力が押さえられることしか考えておらず、人類が危うくなることは考えてもないようで、今、それを食い止めようとしているのが『リリーさん』なのであり、自分の制御がなくなれば上のファミリーパーコンと対等になると考え、彼女はリサの消えた記憶の中に言葉以外の何かがあると思っていたので、そのために彼女の記憶の回復を手助けするのである。


 マギーの近辺にこの称号を持った子孫たちが偶然にも集まり、彼女は今の時点ではその事実に気づいていないが、それが時間と共に紐解かれていくのである。


今回も読んでいただき、ありがとうございました。

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