5話 解決
「お父さんはいないでしょ」
という発言に異議を伊里奈が唱える。
「父さんはいつも家にいて家族を守ってくれているのだよ」
無垢な伊里奈の発言にお母さんはそうだね、と頭を撫でた。
もう一人の犯人がお母さんに良く見られていることが許せず犯人の僕は仲間を売ることにした。
「あ、伊里奈も食べていたよ」
その発言で伊里奈とお母さんの表情が変わった。
「おにぃちゃん」
そう言った目は何で言ったの、と告げていた。
「伊里奈、食べたの、それに慧も」
僕は素直にうなずいた。
「伊里奈と美味しく食べたよ」
伊里奈は完全に諦めてうなだれていた。
「じゃあ、このプリンは、お母さんが食べるね」
朝食を食べ終えたお母さんがお父さんの仏壇の前にあるプリンを手に取る。
伊里奈はうなだれていた顔を上げ、食べたそうな目でお母さんを見つめる。しかしそれはプリンがお母さんの口に入っていくのを見ることになっただけだった。
「ところでお楽しみだったバケツプリンはおいしかった?」
今、目の前でプリンを食べられた兄妹は笑顔で皮肉を込めて答えた。
「おいしかったよ、そのプリンと同じくらい」
今回で最後話です!
ここまで読んで頂きありがとうございました!