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3話 悪い二人組の影

「できたよ」


お母さんの声で伊里奈が食卓に着く。


「ご褒美ちょうだい」


席に着くなり伊里奈が興奮気味にご褒美をおねだりする。


「デザートだからその前にしっかりご飯食べようね」


「デザート!」


デザートと聞き、伊里奈がさらに興奮する。僕も伊里奈ほどではなかったが胸が躍る。


「今日も何もなかった?」


仕事で家を空けていたお母さんが箸を動かしながら僕に質問する。

しかし答えたのは伊里奈だった。


「うん、お父さんもお兄ちゃんもいたから大丈夫だったよ」


僕は正直、お父さんはずっと家にいて何をしているか分からない。しかし家を守ってくれているということは信じたい。


「ごちそうさま」


ご褒美があったため少し急いで食べた伊里奈がお母さんに視線を送る。


それを見たお母さんは冷蔵庫から箱を持ってきた。


「プリンだ!」


箱を開けた瞬間伊里奈が歓喜する。僕も顔が綻んでいた。

その反応にお母さんはご満悦だった。


「わたし、これね」


伊里奈は味も大きさもどれも同じプリンから一つを選ぶ。僕もその中から適当に一つを選んだ。


「じゃあ、残ったこれはお父さんのだね」


そう言って自分のプリンをしっかり確保しつつお母さんは、お父さんの前にプリンを置いた。


いただきますと、もう一度言い、一口目を口にする。


 「ぅんまーい」

「おいしー」


兄妹が同時に感想を述べる。

そして二口、三口と間を空けずに食べる。


 「実はもう一個あるけどそれは明日のお楽しみね」


「明日のお楽しみ!」


また、手をあげそうな勢いで伊里奈が喜ぶ。


空になったプリンのカップを捨てた母さんは気になることを口にして片付けに入った。


このとき、お母さんは悪い二人組が夜、そのお楽しみを食べちゃうことを考えもしなかった。

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