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前世の幸福ポイントを使用してチート冒険者やってます。  作者: サツキ コウ
第3章 不信な隣国
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第42話 噂の料理人


 今、僕はどうゆうわけか、滞在中の宿の厨房で多量の料理を作っている。


 それは、依頼主の要望に合う宿を探す事から始まった。

 条件として、厨房の使用を許されるそれ相応の宿という難題を出され、ようやく条件に合った宿が見つかり、宿の従業員へお近づきの印として振る舞った料理が原因だった。


「「「私達にご教授下さい!」」」


 どうやらこの宿に勤める料理人らしい三人の男女が、僕の前で頭を下げて懇願してきた。


「・・・・・・はい?」


 僕は突然の申し出に困惑した。


 事情を聞いたところ、やはり彼等はこの宿に勤める料理人であり、高齢の料理長の下で下働きをしながら、一人前の料理人になる為に修行中の身という事だった。

しかし師である料理長が体調を崩してからというもの、それぞれ己の身の振り方を考えよ。と、言い渡されて途方に暮れながらも宿の仕事を細々と続けていた様だ。



「お話は判りましたが、僕は冒険者であって料理人ではありません」


「ではなんでわざわざ厨房を借りてまで料理をしているのですか?」


「それは今回の依頼主が僕の料理を気に入られましたので、依頼の間だけという条件で仕方なく料理している次第です」


 僕は今の状況を彼等へ説明した。


「では、当宿に滞在している間だけでも見学させて戴けませんか?」


「・・・・見学だけですよ?」


「「「はい!」」」


 僕はあくまでも見学のみと条件を付けて、彼等の申し出を受ける事にした。

 しかし、これが間違いだった。


 僕がアリー王女の料理をしていると、他の客が僕を宿の料理人と誤解して次々と料理を注文してくるのである。

 僕は事情を説明して断るのだが、料理の匂いに食欲を刺激された客はこちらの言い分を全く聞かず、子供から大人まで厨房へと人が集まってくる状況に、仕方なく適当に料理を出してその場は治めたのだが、次の日になると、どうやら口コミで情報が広まってしまった様で、さらに多くの客が集まってきた。


 その様子を見たアリー王女は「このまま続けよ」と、僕を置いて兄達と部屋へと戻ってしまった。


 それからというもの、僕は宿に滞在中のほとんどの時間を厨房で料理を続けていた。王女からは未だに依頼の詳しい内容を聞かされず、「お前がここで料理を作り続ける事が今回の依頼達成に繋がるゆえな」と言われ、僕は今日も厨房へ顔を出した。



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