第36話 BランクとAランク
第3章突入です。
ある程度話数が貯まり次第随時公開します。
僕達は新たな依頼を受ける為に冒険者ギルドへ向かっていた。
僕達の当面の課題は、活動資金を貯める事である。
王都へ来てから今日まで実はまだ一銭も稼いでいない。
それに対して出費は嵩むばかりで、この調子で行くと近い将来資金が底を着く危険があった。
「とにかく短期間で多く稼げる仕事を探そう」
「私はライル様に従います」
「私としては面白い仕事がいいわね」
と、僕の後ろから二人の美女からそれぞれの意見が聞こえてきた。
二人と言っても片方は狼、もう片方は龍が正体であって厳密には人ではないのだが、今は二人共人化しているので、事情を知らない人が見ればこの二人が魔物だなんて考えられないだろう。
僕達は雑談しながらしばらく歩いていると、冒険者ギルドへ到着した。
僕はギルドへ着くと、依頼がランク別に張り出されている掲示板の前まで移動して、自分のランクで受注出来る割の良い依頼を探した。
ちなみに僕の冒険者ランクは、先日の依頼を単独で解決したことでBランクへ昇格していた。
「隣国アムスポリスまでの要人警護Aランク・・・報酬一人当たり金貨10枚!」
僕は何度も報酬額を確認すると、覚悟を決めて受付へ依頼受領の手続きをした。
どうやら今回の依頼には僕達の他にもう一組の冒険者が同行するらしい。
「出発は五日後の正午になりますので、集合時間には遅れないようにお願いしますね。
それと今回の依頼には、この国の騎士が数名要人の身辺警護として参加する予定ですので、彼等の指示には素直に従って下さい。
多少の事は我慢して下さいね。国からのギルドの信用問題にもなりますから」
僕は受付嬢から今回の依頼の注意点を聞くとギルドを出た。
ギルドを出た僕達は、次にリザさんの店へ向かった。
僕はともかく、サキとレイアに武器を用意する必要があったからだ。
二人は一応僕の冒険者仲間という事になっている。
一先ず見た目を冒険者っぽくする為に防具は揃えたが、武器の用意がまだだった。
金銭的に余裕がなかったが、レイアの脱皮した時に回収しておいた飛龍の皮が良い値で売れたので、なんとか二人へ上等の武器を買い与える事が出来た。
俊敏性に優れたサキにはミスリル製の短剣を購入し、レイアには同じくミスリル製の長剣を購入した。
今回購入した武器はとりあえず用立てた物で、僕としては二人にはそれぞれの戦闘スタイルに合わせた武器を特注する予定だ。
構想は既に僕の頭の中では出来ていて、その為に必要な素材や資金が出来次第リザさんへ注文する予定だった。
僕達は武器の調達を済ませると拠点としている宿へ戻った。
出発は五日後、目的地は隣国アムスポリス。人間至上主義で有名な国だった。




