第35話 二人の美女
僕達は冒険者としての初依頼を無事達成して王都へ帰ってきた。
「それでは私は王都の外で控えています」
サキが王都近くの草原で話し掛けて来た。
「いや、これからは一緒に行動しよう。
そのかわり常に人化して僕の冒険者仲間という事にしておいて欲しい」
「構わないのですか?
王都に滞在するとなるとその分出費も嵩むのでは?」
「サキの言う通りだけど、一緒に行動していた方が何かあった時の対応が素早く出来るし、レイアには外の世界を楽しむ機会は多い方が良いからね」
「安心しました。
折角大森林を出たというのに野宿を命じられるものと気落ちしていた所です」
「それは良かった。けど、外の世界は楽しい事ばかりじゃないからね。
とりあえず二人は人間社会の常識から覚えていってもらうよ」
僕は初めて王都へ入る二人へ簡単な人間社会での一般常識を伝えた。
この場で伝えられなかった事は、実際に王都の中で生活して行く上で学んで貰う事にして、僕達は王都へ帰還した。
僕達が王都へ入って真っ先に寄ったのは、以前鎧を購入した防具屋だった。
なにしろサキとレイアが見た目で目立って仕方が無いかったからだ。
サキは野性味溢れる美女、レイアは竜族なだけあって気品の良い美女。
そんな二人が着ているのは、カムルの村でとりあえず調達した服なわけで、これでは王都の中を自由に歩くことが出来なかった。
僕達は防具屋へ着くと、店主へ二人に合う防具(在庫の中から)を見繕って貰って、とりあえず冒険者っぽく外見を整える事にした。
思わぬ出費に頭を抱えたが、例の鎧が思いの外人気が出て大きな利益を得たということで、今回の買い物も店主の好意により格安で済ませる事が出来た。
そう言われてみれば、店に来る間に僕と同じ様な鎧を身につけている冒険者を何人か見かける事があった。
(もしかしたら数年後にはこの王都が聖域化してしますかも)
とにかく、どうにか二人を外に連れ出しても違和感が無くなったところで、僕達は冒険者ギルドへ依頼達成の報告と、二人を僕の冒険者仲間としての登録を済ませ、三日ぶりに王都での活動拠点としている宿へ帰って来ることが出来た。
二人を連れて宿へ帰ると、看板娘のミラさんに見つかって二人との関係をしつこく聞かれたが、あくまで冒険者仲間ということで押し切ると、改めて二人の部屋を一ヶ月の期間で契約確保した。
「私達はライルと同じ部屋で構わない」
とレイアが言い出した時には、再びミラさんと一悶着あったが、元々僕の部屋は一人部屋だった為、二人には別室に泊まって貰う事が出来た。
これにて第2章終了です。
とにかくここまでの話は、ライルの冒険者デビューと仲間獲得を目指した為スムーズに進みました。
第3章は現在アルファポリスにて執筆中ですのでしばらくお待ち下さい。




