第27話 飛龍との邂逅
僕は昨日約束した時間に新しく注文しておいた装備を引き取ると、王都から離れて待機していてもらった黒狼を呼び出して、 飛龍討伐の依頼を出したカムル村へ向かった。
カムル村は王都の北西にある大森林の近くにある村で、王都で使用される木材の多くはカムル村で調達される。
そのカムル村に最近 飛龍が頻繁に現れて家畜を襲っているらしい。
幸い人的被害はないものの、村人は皆 飛龍の脅威がいつ我が身に降り注がれるかと脅えているとのことだ。
僕がカムルの村へ到着した時には既に夕方になっていた。
僕と黒狼を見て警戒した村人に事情を説明すると、村長の家へ案内してもらった。
「僕の名前はライルといいます。今回の依頼を受けてギルドからやってきまた」
僕は村長へ自己紹介をすると、始めは僕の年齢に不安な表情をしていた村長だったが、ギルドカードを確認すると幾らか安心してくれた様で、僕は標的になる飛龍の詳しい情報を尋ねた。(ギルドランクの信頼に感謝である)
「詳細は依頼書に認めてありましたので改めて申し上げるまでもないのですが、あの飛龍が現れたのは十日程前になります。
奴は夕暮れ時にいきなり空から現れたのですが、村で飼育していたグタン(牛のような動物)を一頭奪って大森林の方角へ飛び去って行ったのです。
それから二日に1回はやってきて、同じ様にグタンを奪って行くのです」
「今のところ被害はグタンだけなんですね」
「いえ、三回目の襲撃時に家畜の飼い主が抵抗して軽傷ですが被害を受けました。
その後は誰も抵抗することはなかったので人的被害はありません」
「そうですか。つまり相手はこちらが抵抗しなければ村人へは攻撃してこないということですね?」
僕は村長の話を聞いて気になる点を尋ねた。
「それはそうなのですが、それでもいつかは我々にも大きな被害が出るかもしれませんし、グタンの被害もこの村には十分に死活問題になりますので、出来る限り早急に解決して戴けませんでしょうか?」
村長は僕の問いに応えると、依頼の早期解決を要請してきた。
僕が村長の話を聞いて、今後の対策を思案していると、外が騒がしくなってきた。
「村長大変だ!奴が現れた!」
村長の家にいきなり入って来た村人が 飛龍の襲撃を知らせて来た。
「なんじゃと!
そろそろ現れる頃だと思ってはいたが・・・だが今回はライルさんがいらっしゃる。
いきなりで申し訳ありませんがよろしくお願い致します」
「とりあえず標的を確認させて貰います。
なにしろ飛龍を見るのは初めての事なんで、まずは相手を良く観察してから行動に移させて貰いますが、宜しいですね?」
僕は村長に了解を得ると、先程報告にきた村人に飛龍の現れた現場へ案内してくれる様に頼むと、彼に先導されて現場へ向かった。




