第26話 下準備 2
リザさんの店を出た僕が次に向かった店は、鎧や盾等の防具を専門に扱う店だった。ここもジェイクさんに聞いていた店だ。
「失礼します」
僕は店に入ると、リザさんの店で行った説明と同じような事を店主に話して、防具の購入(今回は鎧)がしたいと相談した。
「鎧ですか。失礼ですが、貴方の身体に合う様な物は取り扱っていませんね」
店主は僕の容姿を見てから話し出した。
「誤解のない様に説明させて戴きますと、貴方に合うサイズの鎧はありますが、問題は重量なんですよ。
なにしろ貴方が必要とされる鎧となると素材は全て金属です。それも鎧となると仕様されている金属にもよりますが、ほぼ全身を覆う訳ですから必然的にかなりの重量になる訳です」
僕も店主の言う事は予想出来ていた。
なにしろ僕の身体は成長期の為、まだ全身を覆う鎧を着こなせる身体が出来ていないのも事実。
しかし、今後冒険者として依頼をこなして行くのに一般人が着ている様な服では流石に防御に不安がある。
そこで今回僕は店主にある依頼を持ってきていた。
「おっしゃることは判りました。
そこで相談なのですが、このような鎧を作成して貰う事は可能でしょうか?」
僕は店主に用意してきた図面を見せて話しを持ちかけた。
「拝見しましょう。
・・・これはまた面白い。これは貴方が考えたデザインですか?
これなら材料次第では貴方様の様な方でも鎧を着こなせますね」
僕が用意した図面は、僕の前世でみたアニメ(星座をモチーフにした鎧を着た主人公の少年が女神を守護する話)に出て来る主人公が着ていた鎧を参考にした物だった。
「材質はミスリルを使用しましょう。
とにかくこの鎧の発想コンセプトは面白い。
様々なデザインで展開すればヒット商品になる可能性がありますね」
店主が若干興奮した調子で話し出した。
「僕としては出来るだけ早く必要なので、急いで作成して戴けるのであればその鎧の今後の販売における権利は差し上げますがどうでしょうか?」
僕は店主が乗り気になっている事を見定めて提案した。
「本当ですか?それが本当でしたら職人に今晩中にでも作らせます。
今回は代金も材料費のみで結構です」
「それは助かります。
では明日のこの時間にまた来ますのでよろしくお願いします」
僕は店主と挨拶を済ますと、最後に雑貨屋に寄って、必要と思われるアイテムを購入してから宿へ帰還した。




