第21話 冒険者の入口
僕は、ミラさんに教わった通りの道順で冒険者ギルドへ向かった。
ギルドへ行く途中様々な店があったが、それらはまたの機会に訪れる事にして、当初の目的である王都の冒険者ギルド支部を目指した。
目的のギルドには宿を出てから十数分歩くと到着した。
レイン領にある支部と比べると、建物だけでも二倍以上ある。
恐らく冒険者の数もそれに見合うだけいるのだろう。
僕は気持ちを落ち着かせてからギルドに入った。
中に入ってみると、想像した通り冒険者で溢れていた。
レイン領では見られなかった亜人種の冒険者も数多くいる。
ちなみに受付にも亜人種の女性が二人いて、そのほかには人間の男女一人づつ計4人が受付業務をしていた。
僕は他と比べて空いている男性の受付の列に並んだ。(他の列の冒険者は皆、受付嬢とダラダラと話し込んでいて時間が掛かると思ったからだ。)
僕の思惑通り数分して僕の番が来た。
(ちなみに他の列はあれから全然進んでいなかった。)
「坊主の番だが、お前一人か?」
「はい。僕の名前はライルと言います。
昨日王都に着いたばかりで、冒険者にもなったばかりですのでご指導お願いします」
僕は受付の男性へギルドカードを提示して頭を下げた。
「どれどれ」
男性は僕からギルドカードを受け取って確認すると、門番の時と同様に僕の顔とカードを交互に見てから話し出した。
「坊主が噂のルーキーだったか。
話には聞いていたが本当に11歳でCランクとはね。
とはいえ、今回が初めてなら昼から始まる初心者向けの講習に参加してみるかい?」
「そんなものがあるんですか?」
「本当に何も知らねえんだな。
だったら尚のこと講習を受けておいた方が良いな。
実力はあっても冒険者としての心構えがなってなきゃ先はないぜ」
「判りました。この場で講習の受付は出来ますか?」
僕は受付の男性の提案を受けることにした。
「ああ、俺がお前さんの名前を講習名簿に加えておいてやるよ」
「よろしくお願いします。
ところで、貴方のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「そういや名乗ってなかったな。
俺の名はジェイク。ギルドマスターが留守にしている現在はマスター代理をしている者だ。何かあったら俺を頼りな」
「判りました。今後共よろしくお願いします。
では、講習の正確な時間と場所を教えてくれますか?」
僕はジェイクさんに講習の説明を受けると、しばらく時間があるのでそれまで王都を見て廻ることにしてギルドを後にした。




