第１６話 冒険者への道
僕達はギルドマスターの執務室に通され、今回のゴブリン討伐での出来事を事細かに説明した。
特に冒険者達の敵前逃亡と、僕の参戦により戦局が逆転した件の話しにギルドマスターは興味を持ってキースさんの報告を聞いていた。
「話しは判ったが、良くそのような状況で一人も死傷者を出さずに済んだものだな」
ギルドマスターはキースさんの報告を聞いて感心していた。
「それはここにいるライル君の能力があったおかげだな」
キースさんはそう言うと、僕の頭を鷲掴みしてグリグリしてきた。（少し痛いです。）
「とにかく今回敵前逃亡した者達には重い罰則を与える事にして、君達にも何か褒美を与えたいのだが、何か要望はあるかね？」
「我々蒼い牙は今回ライルによって命を救われたので、彼の願いを聞いてあげて下さい」
ルークは僕を指して言った。
「そうだな。ライルはギルドに少しでも早く入りたいらしい。
お前の権限でなんとかしてやれないか？」
キースさんもルークに続いて進言してくれた。
「話しを聞いたところ、君は後一年でギルド規定の通りに登録出来るとのことだが、そんなに早くギルドに登録したいのかね？」
「はい！」
「・・・まぁ、良いだろう。実力は申し分ない様だしね。
君の身分証明が確認出来れば私の権限で特別に処理しよう」
「ありがとうございます。僕の名前は、ライル・ド・レイン。
アルス・ド・レインの四男。１１歳です。」
「「レイン領主の御子息！」」
流石に父の名を出した事で皆一様に驚いている様だ。
「御父上は君が冒険者になることを承知しているのかね？」
「いいえ、父は今回のクエストに僕が参加したことも知りません。
ですが、ここでギルドへの入団を許可して頂ければ父を説得してみせます」
僕はギルドマスターへ力説した。
「そうか。ギルドとしても有望な若者は多いに越したことはないが、領主と敵対はしたくはないと言う事は判ってもらえるね？」
「はい！必ず父を説得してみせます！その暁には」
「私の権限で君のギルド入団を認めよう」
「ありがとうございます！」
僕はギルドマスターへ頭を下げると、キースさんとルークにも同じ様に頭を下げた。
「父上を上手く説得出来る事を祈っているよ」
僕はギルドマスターと堅く握手をすると、この場にいる皆さんの許可を得て屋敷へ帰還した。
