第13話 依頼達成
僕が意識を失ってどれくらい経っただろうか?
僕が意識を取り戻した時には戦闘が終わっていました。
結果から言うと 鬼の王との戦闘はこちらに死傷者が出ることもなく勝利した様です。
僕がルーク達の武器に施した魔力付与の効果が決め手になったそうです。
唯一魔力付与が行えなかった年長者ですが、自前で魔力付与された剣を持っていたらしく、僕が始めの 大鬼を倒した辺りから武器を持ち替えていたと後でケイトさんから知らされました。
今この場にいないルークさん達は攫われた村娘達を救出する為にゴブリンの住処である洞窟内へ探索に行っているそうです。
「おお、気が付いたかライル」
しばらくして、ルークさん達が村娘達を連れて洞窟から出て来ました。
身なりを見ると、どうやらゴブリン達から乱暴な扱いは受けていなかった様です。
服は所々破けてはいますが、これは連れ去られた時に破れた様子です。
ですが、数日間魔物の住処に監禁されていた訳ですから、いまだにその表情には恐怖の影が見えます。
「早速だがライル。この剣はどうすればいい?
このままでは鞘に収められないんだが」
ルークは僕に雷の魔法が付与された剣を見せて尋ねて来ました。
「刀身を地面に突き刺して下さい。
しばらくそうすれば元の剣に戻るはずです」
ルーク達は僕の返事を聞くと、それぞれ剣を地面に突き刺して行った。
大体2~3秒程でルーク達の剣は元の状態に戻り、ようやく皆さんは剣を鞘に収めることが出来た様だ。
「それにしてもライルの魔法には驚いたぞ。
何で今まで秘密にしていた?」
「別に秘密にしていた訳ではありません。
始めに話した通り、僕は今まで冒険者になる為に一人で鍛錬をして来ました。
実戦も今回が初めてです。
多少は自分の実力にも自信はありましたが、やはり実戦経験がない為に不安だったのです」
僕はルークの問いに素直に返答した。
「まぁ、あれだけの事が出来るんだからもう少し自信を持ってもいいんじゃないか?
最初の 大鬼を倒した時の動きなんて凄かったじゃねえか」
「あの時は身体強化魔法を使っていました。
それにあの魔法の本質は、強化と言っても本来身体に備わっているリミッターを強制的にはずすものですから今もその反動で強い筋肉痛なんですよ」
僕は身体を上手く動かせない現状を痛々しく説明した。
現在も光魔法で治療中。
「でも、今回はライルがいてくれて助かったわね。
もしもライルがいなかったら私達全滅していたわよ」
「同感」
ケイトさんの発言にマリンさんが相槌を打つ。
「ライルを連れて来た俺の判断に感謝しろよ」
ルークがここぞとばかりに主張してきた。
「僕も良い経験をさせて貰えて良かったです」
「そうだろう。そうだろう」
ルークはかなり機嫌が良い様だ。
「とにかく村へ帰りませんか?
彼女達もこのままでは安心出来ないでしょうし、正直僕もゆっくり休みたいです」
「そうだな。では村へ報告に行きましょうか?」
ルークが年長者へ言うと、僕達は村娘達を連れてメリダの村へ帰還した。




