第11話 ライル参戦
ようやく主人公の参戦ですが、本人11歳ですのであまり期待しないでやって下さい。(笑)
僕は、修行中に開発した魔法を武器に付与しながら、大鬼を相手に一番苦戦しているマイクの下へ向かった。
僕が今手にしている剣は、父が僕用に用意してくれた得物で、一般の冒険者が持つ物と比べると小振りの為にモンスターを相手にするには切れ味に不安があった。
そう考えた僕が前世で見た漫画やゲームの知識で編み出したのが付与魔法の応用による一時的な武器への魔法付与だ。
永続的な魔法付与ともなれば制作時に魔法を施さなければならないし、一度付与した魔法は変更出来ない。
それに比べて僕の開発した一時的な魔法付与は、使用時間は限られるが様々な魔法効果を武器や防具に与える事が出来る。
そもそも付与魔法の使い手は制作側の人間が大半を統べる為にこういった魔法が今まで使われなかった様だ。
今回僕が武器に付与した魔法は雷系統の魔法で剣の切れ味を格段に向上させていた。
修行中に出した結論として雷系統の魔法付与が一番使い勝手が良かったからだ。
次に水・氷・火の順になった。火系統の場合破壊力は上がるが、森で使用した際にちょっとした山火事になり掛けて大変だった為、使用を控えることにしたのだ。
修行中の出来事を思い出しているうちに武器への付与魔法が完成した。
刀身は雷の魔法を纏って黄色に輝いている。その刀身の周囲には一回り分の雷の魔力がバチバチと音を立てて形成されている。放出されている魔力に触れるだけでも大きなダメージを与える事が出来るし、その為に切れ味も本来の性能からは考えられない程に上昇していた。
「ライル下がってろって・・・なんだその剣は?」
マイクが僕に気が付いて声を掛けてきた。
「お手伝いします。少し下がっていて下さい」
僕はマイクに言うと、簡単な身体強化の魔法を使用してから 大鬼へ斬り掛かった。
僕の瞬間的に強化された脚力で 大鬼の眼前へ迫ると、その首筋へ刃を下ろした。
すると、殆ど抵抗なく 大鬼の頭部は身体から切り離された。
「なっ!」
隣にいるマイクがあまりの出来事に驚愕の表情を浮かべ、周りの戦闘も一瞬停止した。
「ライル。お前。今、何したんだ?」
大鬼が絶命したことを確認すると、マイクが僕へ尋ねて来た。
「武器への魔法付与で剣を強化しただけです。
マイクさんの剣にも魔法を施しますから剣を貸して頂けませんか?」
僕は簡単に説明すると、マイクへ右手を差し出した。
「判った!だけど必ず後で詳しく話しを聞かせろよ」
マイクは僕にそう言ってから剣を差し出した。
僕は「判りました」と言ってからマイクの剣へ自分の剣に施した物と同じ魔法を使用した。
「出来ました。マイクさんはルークさんの助力をお願いします。
この剣を使えば 大鬼は簡単に倒せるはずです。僕は別の 大鬼を相手にしている方を助力します」
僕はマイクに言うと年長者の相棒が相手している 大鬼を標的にして、「後でルークさんの剣にも魔力付与しますので僕の所に来る様に言って下さい」と、マイクへ言い残してから行動に移った。




