第8話 戦闘開始
僕達が標的発見の狼煙の下へ到着すると、既に数組の冒険者達とゴブリンの大群による戦闘が始まっていた。
「 蒼い牙のルークだ。これより戦闘に参加する」
ルークは戦闘中の冒険者達へ声を掛けると、腰の剣を抜いて戦闘へ参加した。
ルークに続いてマイクも同様に戦闘に参加し、ケイトは負傷者の治療をしている冒険者の下へ、マリンは混戦に巻き込まれない様に距離を取って魔法で冒険者達の援護に加わった。
「僕もお手伝いします」
僕は負傷者の治療をしているケイトさんへ声を掛けた。
「貴方、光魔法が使えるの?」
僕が負傷者の患部へ手をかざして怪我の治療を始めると、隣で他の負傷者の治療をしているケイトさんが驚きの声を上げて尋ねてきた。
「はい。微力ですがこれぐらいの怪我なら治療出来ます。
ルークさん達は大丈夫でしょうか?」
僕はケイトさんへ尋ねると、視線を戦闘中のルーク達冒険者へ向けた。
ゴブリンの数は冒険者達の3倍以上で、中には他の個体よりも一回り大きなホブゴブリンの姿も何体か確認出来た。
ホブゴブリンは他のゴブリンよりも優れた戦闘力と統率力を持っている様だが、戦略と呼べる様な戦闘能力はなく、数に任せた攻撃を繰り返している。
それに対して冒険者達は他のチームの者とでも互いに連携し合って効率良くゴブリンの数を減らして行った。
「気を付けろ!洞窟から新手が出てきたぞ」
冒険者の中で一番の年長者と思われる戦士が大声で警告した。
洞窟の方へ視線を移すと、中から十体近くのゴブリンが姿を現した。
ホブゴブリンの姿は無かったが、最後にホブゴブリンよりも一際大きな個体が3体と、更に大きな姿をしたボス的なモンスターが姿を現した。
「 大鬼に、・・・・ 鬼の王だと!」
ルークが緊張した声で呟いた。
その反応からして悪い予感がする。
「ここは一時後退して距離を取る!
魔法を使える者は後退を援護してくれ!」
先程の年長者が大声で全ての冒険者へ指示を出した。
マリンさん達は大規模な魔法を使用して最前列の冒険者達の後退の援護をすると、冒険者達は一カ所へ集結した。




