第7話 探索
僕達は常に周囲を警戒しながら森の奥深くへ進んで行った。
幸い今回の日照りの為に森の中は見晴らしが良く、突然モンスターに襲われる様な危険はないと安心出来た。
捜索を続けて行く途中で他の冒険者達の姿が視界に入る事も幾度かあったが、互いに手を上げて無事を報せる仕草だけして見せて捜索を続けて行く。
「兄貴そろそろ休憩しようぜ」
先頭を行くルークへマイクが提案した。
「そうね。ここはまだ安全みたいだし、昼食にしましょうよ」
マイクの提案にケイトが同意する。
「それもそうだな。
出来ればもう少し進んでおきたい所だが、安全に食事を取れるうちに済ませてしまおう。ライル。出番だぞ」
僕はルークから言われると、肩にかけていた少し大きめな鞄から出発前に用意しておいた弁当を皆に配って行った。
「ライルこりゃなんだ?」
マイクは僕の配った弁当の中身を見て聞いて来た。
「これはおにぎりと言う物です。
この飯玉の中には様々な具材が入っていて携帯するにも便利な料理なんですよ」
この世界の携帯食と言えば干し肉や乾パンの様な物しかない為、おにぎりはルーク達にとっては未知の料理だった。
「それとこれもどうぞ」
僕は水筒の水を魔法でお湯にすると、元の世界での即席の味噌汁の様な物を皆に配った。
「これも美味いな。疲れた身体に染み渡る様だ」
どうやら皆に気に入って貰えたらしい。事前にいろいろと用意しておいて良かった。
「本当にライルを連れて来て正解だったわね。
どう、正式にうちに来ない?」
ケイトが上機嫌に食事を取りながら僕を勧誘して来た。
「賛成」
マリンも同意の様だ。
「お気持ちは嬉しいのですが、僕も自分で仲間を集めようと思っていますので遠慮させて下さい」
僕は申し訳ありません。と、ケイトへ答えた。
「残念ね。だけど今後もなにかあった時はお互いに協力しましょうね」
「はい!」
*
皆の昼食が済み、食休みをしていると、遠くに狼煙が上がっているのが見えた。
「皆、標的の発見を意味する狼煙が上がったぞ」
ルークの言葉に僕等は瞬時に現地へ向かう為に行動を開始した。(とは言っても僕が荷物を纏めるだけだが)
「現地では既に戦闘になっているかもしれないからそのつもりで行くぞ」
ルークに言われて、皆自分の得物を手に狼煙の上がっている現場へ駆け出した。
「・・・実戦・・だ」
僕は拳に力を入れて、ルーク達から少し遅れて付いて行った。




