日常は突然に終わる
一話一話は短いです。
ーーそれはいつもと変わらない日常だった。
「田中君、また変な本読んでるの?」
話掛けてきたのは中村愛莉。少し垂れた目に、ふわっとしたロングヘアという癒し系の彼女は、学年に必ず一人はいるアイドル的存在のクラスメイトだ。
「変な本とは何だ。これはラノベというちゃんとした小説だ」
だが、いくらアイドルだと言っても俺が読んでいる本を『変な本』と言うのはおかしいだろ。
「だって表紙に女の子が描いてあるだけなんだもん」
く…それは反論出来ない。確かにこの表紙ではただの怪しい本だ。ブックカバーでも付けてくるべきだったか。と、そんな反省をしているところにいつもの二人組がやって来た。
「どうした愛莉?コイツになんかされたのか?」
第一声から失礼な言葉をかまして来やがったのは高宮光明。茶髪の爽やかイケメン。以上。これ以上は紹介したくない。
「そんな奴に構っていると中村の成績が落ちてしまうぞ」
これまた失礼な言い草をして来やがったのは佐竹充。自称クール(笑)でメガネを掛けている小難しい小説とかが似合いそうな男だ。なにかと俺に対して嫌味などを言ってくる。コイツに嫌われるような事をした覚えは全く無いんだが。
「む、そんな事ないもん。田中君は少し変なだけだもん」
…中村、かばってくれようとしてくれたのはありがたいが、それはフォローになってないぞ。
なんて、ありきたりな会話をしている時に、『それ』は突然起こった。
「うおっ!?何だこれ!?」
なんか俺、光ってるんですけど。