第八話 論争 〜dispute〜
前回の魔軍創成は?
無限ループは怖い
「だから、なんで俺が母胎役なんだよ⁈」
俺が叫ぶ。
「適任者だから仕方ないわ?」
エルが口元に指を当てて、どうしてそんな事を今更聞くの?みたいな仕草をする。
「母胎なら、それこそエルが、する・・・・べ・・き・・・」
エルのオーラが変わりそれ以上言うのを躊躇わせる。
フィリーとドーゴが、諦めろと目で合図する。
隠れ里で閃いた、ガンじぃのアイディアは、無茶苦茶なものだった。
生体母胎を創り、その中に種子を埋め込み、魔素を供給して、強力な魔物を産み出す。
頭で、理解はできる。
現代知識にも、似たような話しはあるさ
だが、俺が母胎になるのに納得がいかない。
「試験管なり、培養槽の中で造ればいいじゃないか?」
機械を使う場合、魔素の供給時にどうしても無駄が多くなる、今の枯渇状態を考えるなら少しでも無駄に出来ない。
「魂を別の身体に移すなんて出来ないぞ?」
ガンじぃの秘術や禁呪を使えば造作もない、ナビィのサポートも付いてくるので大丈夫、心配無いとの事。
「別に俺で無くても良いじゃ?」
【ゆかり】の魂は、この世界の影響を受けない、母胎に組み込む事で世界の法則を無視して強力な魔物が産み出せる。
「普通の人間の俺に魔素を創り出せるのか?」
この質問を投げかけた時に、4人が「何を言ってるんだ?」と言う顔をした。
「ゆかり?おぬし忘れ取るみたいじゃがわし達は、おぬしから魔素を供給されとるぞ?」
「はい?」
ん〜、あぁ、そう言えば思念の共有時に言われたような?
(『魔魂炉は、魔力増幅器であり、変換器であり、蓄電池でもあります。本体にある程度の魔力を預かっています。今までの魔法や配下への供給に使用しています。』)
おお、何気に働き者のナビィ、色々と仕事をしてくれていた。
(そういえば、魔力とかその辺の自分の事って、何にも知らないなぁ?)
そこで俺はファンタジー世界の定番、ある機能を思い出す。
(ナビィ、ステータスを数値化して、見れないか?)
“コマンド”や“ウィンドウ”、ゲームではおなじみの機能、
自分の能力をDATAとして、客観的にみる力
(『可能です、ゆかりの記憶にあるゲームに準じて目の前の空間に表示しますか?』)
(あ、はい・・・、お願いします。)
すると俺の周りから淡く光る粒子が舞い上がり、目の前に立体映像として形成される。
そこに、開示された驚くべき能力、
俺は言葉を失った。
主人公の秘密が、
今明かされる。
その驚くべき真実とは?
次回、
能力 〜capacity〜