第十六話 枯渇 〜become exhausted〜
前回の魔軍創成は?
災厄の襲来、
ジョロキア
俺が存在価値に自信を無くしかけていた頃、戦いは熾烈を極めていた。
間を置かずに炸裂する火花、巧みな連携で【門番】を翻弄する鎧騎士達、
だが、【門番】も負けていなかった。
無数にある触手で魔法を、騎士を、薙ぎ払い、叩き落とし、掴み潰す、
神話の中に語られる様な神秘的な戦いが繰り広げられていた。
「三大花火祭りとかの中継の方がよほど綺麗だよな」
全てが台無しだ。
(『ゆかり、何いじけてるんです?』)
(別にいじけてないや、ただ、使えないのが、悔しいなと・・・)
(『悔しいのでは無く、羨ましいでしょう?それに全く使えないわけでは無いですよ?』)
(どう言う事だ?)
(『大型機械や自動車の運転をする様に魔法も技術です。知識を得て、理を理解し、応用を学び、技術を研鑽すれば、ゆかりでも十分魔法を使えます。』)
(おぉ、それでどれぐらい掛かる?)
(『初級、中級、上級魔術を学ぶだけで12年、そこから才能のある者がそれらの知識に応用を効かせたり、高等技術を組み込んだり出来る様になるのが8〜16年程掛かります。』)
(・・・うん・・・)
(『更にゆかりは理の制約がある為、10倍程努力しないと修得できないでしょう。』)
(待ってろよ魔王、必ず助けるからな!)
俺は決意を新たに戦いに目を向けた。
ナビィとのやり取りをしている間に、戦いに変化があった。
大規模魔術の発動の間隔が広がり、連続で発生していた攻撃魔術の発動も疎らになる、更には騎士達の数も少しづつ減っていく、
「魔力切れを起こし出したな」
俺の言葉に、
「長い間の平穏で、自分のペースを読み間違ったんじゃろ・・・、愚か者達め、魔術師が魔力切れなど万死に値するわ!」
ガンじぃが何故か憤慨した
「いや、嗾けたのは、お前だろ?」
「この時代の魔術師の実力を見極めたかったのじゃ」
その割りには、なぎ払えって言っていた様な・・・、
魔術師達の抵抗が弱まったのを本能が感じとったのか、【門番】が再び都市の中心部へと動き出す。
とりあえず、この後こいつをどうするか・・・、
(ナビィ、なんか良い方法は無いか?)
(『只今、ガンブルドフと対策を検討中です。最悪、個体情報と魂の回収だけになるかもしれません。』)
俺の知らない所で対策を立ててる事に少し驚いたが、頑張ってくれている事に感謝した。
モニターに映る【門番】が突然体を捻る様な不可解な動きをした。
その直後、側面部分が切り裂かれる。
続いて2撃目3撃目と見えない刃が飛んだのだろう、触手でガードするが切り裂かれ中心部分が露わになる。
俺が事の展開に付いて行けないのに対し、四人が落ち着きながら
「剣聖か・・・」
「随分タイミングが、宜しいのね」
「本人じゃ、無いよな?」
「人の限界を超えたと言うても、600年を生きるなら人間をやめんとな?」
「「お前が言えた義理か?」」
と、訳知り顏で話し合ってる。
あぁ、何かのフラグが立つんだなと思いながら、俺は声を掛けた。
英雄は皆を助ける為
一人脅威に立ち向かう。
その姿に主人公は何を見るのか?
次回、
回帰 〜recursion〜