第61節 霧の中で、ドタバタと
霧。
昼夜を問わず現れ、視界を覆う、空気中に満ちた細やかな水の粒子。
その中に人を優しく包み、先の見えないうつろいに迷い人を誘う。
確かに歩みを進めているはずなのに、実感は湧かず、このままいつまでも歩き続けるか、あるいはその内神々のおられる楽園まで辿り着いてしまうか、そんな気がしてくる。
(案外本当に続いてたりして……)
ツララはそう思い至って苦笑した。正体不明の謎の島。実在は疑わしいものだから適当に頑張って遊んで帰ってこようとたかをくくった気分でいたのに。
(まさかこんな展開が待ち受けているとはね〜、本当、世界は広いわ)
ツララの横にはコリーがいる。自分が巻き込んでしまったのだから彼女らはなんだろうと帰してやらねば。ツララは気を引き締める。
「ねぇ〜、ルルちゃ〜ん。あたし怖い〜」
「へ?」
「霧が濃くなってきたわん。足元も良く見えないし……あっ、転んじゃったん♪」
わざとらしくよろめいて、コリーが抱きついてきた。どさくさに紛れて腰に手を回し胸にほお擦りをかます。
「……あ」
ふんわりとした甘い匂いと共に、野暮ったい布地の下のやわらかい感触を堪能し、
(ああ〜ん、ルルちゃんてばイイ感じ〜。胸なんかこうムニュムニュッとして……あれ?)
ムニュムニュ。
やわらかなふくらみ。谷間をつくれる程度には盛り上がった双丘。て、そんなのルルちゃんにあったっけ?
顔を上げて見てみれば、
「……なにすんのよ。バカぁ!」
顔を赤く上気させたツララがコリーを思いっきり突き飛ばした。