表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LuruGeo  作者: 池田コント
41/99

第40節 それはいわゆる三角関係?

 社会科資料室の前で佇んでいるルルの姿を見つけたコリーはにこやかに彼の名を呼んだ。

「ルルちゃ〜ん♪ まだ帰ってなかったんだね」

「あ、コリーさん。うん、これから帰ろうと思っていたんだけどね」

 正面で見る、ルルの顔。席は隣同士なのだから毎日見慣れた顔のはずなのだが、それでもこの愛くるしい美貌は慣れるということを知らない。コリーは、ああもう、たまんねぇっす! ってな感じでルルの頭を撫で撫でした。

「ど、どうしたの? 急に……」

「いや、思わず……」

 色んな人に可愛がられて、いい加減慣れっこだろうにそれでも顔を赤くするルルに、

(いや、だからこそ思わず撫でちゃうんスよ)

 コリーは軽く謝った。たまったストレスが発散された気がした。

 最近ルルの周りには目障りなシュリーがうろついているので、コリーは少々いら立ちを感じていた。この間なんて最悪だった。シュリーの奴はあろうことかルルちゃんの家に押しかけて、

『結婚して』

 などと言ったのだ。コリーの大事な大事な、とっても大事なルルちゃんに向かって……。

 しかも、その出来事は翌日には尾ひれがついてクラス中に伝わっていて皆は涙を飲んで祝福したのだった。

「二人がそんなに愛し合っているのならしょうがないよな」

「ああ、まさかあーんな事やこーんなプレイまでしているなんて」

「いきつくところまでいっているって感じよね。ルルちゃんて、かわいい顔して進んでるんだから……」

 クラスメイトがなにを言っているのか、ルルはイマイチ理解していないようだが、二人の関係はクラス公認という既成事実が出来上がってしまっているのだ。

(くそ、ノートンめ。余計な事を……)

 コリーは自分が、背筋がゾクッときちゃうような表情をしている事に気付いて慌てて爽やかな表情を浮かべて尋ねた。

「で、ルルちゃんはどうしてこんなところにいるの?」

「あのね、シュリーさんが先生に呼び出されたから、戻ってくるまで待っていて欲しいんだって」

 ピキ。

 コリーはこめかみが動くのを感じた。今、一番聞きたくない名前だ。笑顔を引き攣らせながら、言う。

「ふ〜ん、ルルちゃん。彼女の言う事なんか聞かないで、一緒に帰らない?」

「う〜ん、でも、約束しちゃったし、ルルは待ってるよ。ごめんね」

「そんな約束守ることないって、後で謝ればいいじゃない。ね、一緒に帰ろう?」

「う〜ん、でも」

 と、困惑するルルと無理強いしようとするコリーに向かって迫りくる存在があった。

 なにかの破壊音などまき散らし、床を蹴破りそうな勢いで走り来る者たち。二人が振り返ると、モップを片手に持った必死の形相のジオと、ナイフと雑巾を投げっ放す憤怒の恐相のフブキがデッドヒートを繰り広げながらすぐそばまで来ていた。

 ルルとコリーは悲鳴を上げて逃げ出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ