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第0節 前口上
恋愛やスランプを通じて、ほんのちょっぴり登場人物たちが成長する、ドタバタ暴走コメディです。
今作は同人誌として発表されています。
ここに掲載されるのは挿絵、表紙などのイラスト要素は排除したバージョンとなります。
登場人物たちと少しでも気持ちを共有していただければ幸いです。
でも、基本的には肩の力を抜いて何も考えずにお読みください。
昔、世界があった。
現代では失われた人でない種族。世界を運営する目に見えないものたち。人の持っている不思議な力。
それらはすべて、常として存在していた。
私たちの知る現実ではなく。
誰も知らず。
誰もが知り得る。
閉ざされた世界。
けれど近くにある世界。
そんな、一つの世界の話をしよう。
クロージア。
生まれと忘却を絶え間なく繰り返すその世界には。
いまだに、怪物が潜み、自然の精霊に溢れ、人々が日々を生きていた。
たとえば、その世界にある大陸でどこよりも笑顔の花咲くエルファームという国がある。
この物語は花の国と呼ばれるその国の、二人の男の子を取り巻く、小さくて大きな、そんな話。