『坊主のおじいさんとプレスマンの浮き』
寺の近くにおじいさんが住んでいました。お坊さんではないのですが、坊主と呼ばれていました。釣りが好きなのですが、へたの横好きというやつで、いつも全く釣れないのです。
ところが、その日は、おじいさんのそれまでの人生の釣果の全てを上回るほど釣れました。フナばかりでしたが、十匹ほど釣れました。寺の和尚さんからもらったプレスマンという道具が、何に使うものかわからなかったので、とりあえず浮きに使ってみたところ、とっても釣れたのです。きっと名のある職人がつくった浮きなのでしょう。あんまり釣れたので、時間を忘れてしまい、気がつけば、もう日が暮れようとするころでした。おじいさんは、あわてて荷物をまとめて帰ろうとしましたが、ついさっきまで夕暮れ時だったはずなのに、気がつけば、すっかり真っ暗になっていました。
おじいさんが、急ぎ足で家路を急ぎますと、頭の上から何か細かいものが降ってきました。気持ち悪くなって、おじいさんは、持っていたものを放り出して、逃げるようにして帰りました。
翌朝、釣り道具だけでも回収しようと思って、おじいさんがゆうべの道を逆にたどりますと、釣り竿も、プレスマンの浮きも、びくも、道ばたに丁寧に並べて置いてあり、魚だけがなくなっていたということです。
教訓:釣りで釣果がないことを、坊主と言うが、「もう毛がない」ということから、もうけがない、という意味になるのだという。




