第0話 【神ログ】案件 S-XXXX 観測抜粋
VALHALLA 箱。
異物とネコ。ひろいもの。
※初めての方は第1話から読んでも大丈夫です
【世界管理OS:第七層プロセス】
【記録種別:観測ログ(抜粋)】
【件名:案件 S-XXXX/█████ 関連事象】
【機密区分:VALHALLA-RED】
【閲覧権限:LV.7 以上】
記録開始。
注意
本ログは、案件 S-XXXX に直接関係すると判定された上位ログの一部抜粋であり、
世界管理仕様および █████ に関する完全な記録ではない。
欠落部分は別ファイル参照(権限 LV.9 以上)。
世界管理OSとVALHALLA(要約)
1-1. 生と死
・有機個体が「生」を実行するあいだ、その行動ログは随時バックアップされる。
・個体が終了すると、魂情報は選別域 VALHALLA に転送される。
1-2. 選別
VALHALLA での処理分岐は通常、次の三つである。
(1) 再利用(転生)
(2) 保留(一時退避)
(3) 廃棄(焼却)
このどれにもすぐに割り振れない魂には「異物」フラグが付与される。
異物フラグは、「統計的に外れた行動パターン」および
「既存の善悪ラベルで安定分類できない傾向」に対して点灯する。
本仕様に「██」という実体は含まれていない。
本来、それは人間文化圏が勝手に貼るラベルであり、システムにとってはノイズである。
ラベル「██」と █████(概要のみ)
複数世界の人間文化ログから、共通する恐怖ラベルが抽出されている。
・村が排除しようとする異端者
・秩序維持のために焚刑にされる者
・「そう呼ばれた時点で処刑対象」となる者
俗称:「██」(二文字)。
長期運用の結果、このラベルの総和が閾値を超過し、
各世界の「本物の██」像が、ひとつの概念クラスターとして結着した。
暫定識別名:█████
直接観測は困難だが、VALHALLA近傍での微弱な干渉シグネチャにより、
「設計外プロセスとして存在している」ことだけは確認されている。
本ログでは、█████ の詳細仕様には立ち入らない。
扱うのは、案件 S-XXXX との接点のみである。
案件 S-XXXX 概況(VALHALLA転送時点)
対象魂 ID:S-XXXX
元世界:D-層/人間文明第 n 期
状態:死亡後、標準手順に従い VALHALLA へ転送。
フラグ:異物(行動偏差ベクトルが閾値を越えて外れ値)
転送時点で、S-XXXX はまだ
・再利用(転生)
・保留(一時退避)
・廃棄(焼却)
いずれの処理レーンにも確定配属されていない。
統計モデル上は「異物フラグ付き個体の多くは焼却レーンに流入しやすい」ため、
S-XXXX も、長期的には廃棄候補に近い位置にあったと予測される。
処理レーン確定前、選別域の局所空間が一瞬だけ書き換えられた。
直後、対象魂は横方向へスライドして消失している。
・焼却ログ:記録なし
・再利用ログ:記録なし
・保留リスト:未登録
・世界内再出現ログ:現時点で未確認
この瞬間、█████ と思われるシグネチャが微弱に検出された。
これを、VALHALLA における █████ 関与疑い事案の第1号として記録する。
転生面接ログ(S-XXXX)
S-XXXX は VALHALLA 転送前、標準転生面接ルームにて聞き取りを受けている。
以下は当該セッションの要約である。
・面接官:世界管理OS 下位プロセス(神と誤認されやすい UI)
・形式:質問応答/志望先ヒアリング
・ログ形式:自然言語 → 内部表現への変換
問題視されているのは、志望内容に関する次の発話である。
「██の“騎士”になりたいです」
S-XXXX は █████ というシステム用語を知らない。
当人の認識としては、自身の世界で語られてきた「██」像への幼い憧れから発話しているに過ぎないと解釈される。
しかし、当該発話を内部ラベル空間で解析すると、
・対象の脳内で「██」に結びつけられている物語・伝承群
・そこから構成される、対象にとっての「本物の██」の概念ベクトル
・その概念ベクトルと、既存神格ラベル群との距離
といった要素が、既存のどの神格よりも
█████ の識別子に近い値を示した。
このため上位プロセスでは、
「対象は意識せずに、█████ に最も近い概念体を指し示している」
という暫定判定が採用されている。
上位合議と処理方針
S-XXXX の志望内容は、標準転生 UI の仕様上「想定外」と分類された。
短時間の合議の末、次の決定が記録されている。
・当該志望を理由として、標準転生ルートへの接続は行わない。
・世界管理OS側から「█████ の騎士」としての任用を認可することはない。
・以後、S-XXXX に関する仕様外事象が発生した場合、
公式記録上は「█████ によるシステム外干渉」としてログに残し、
世界管理OSの責任範囲からは除外する。
この決定には、善悪ラベルは付与されていない。
あくまで「運用上の最適化」として記録される。
対象魂 S-XXXX には、次のタグが付与された。
・タグ:異物/仕様外志望/█████ 関連
・状態:要追跡(WATCH)
記録者ローカルメモ(平文化部分のみ)
本節は形式上「個人メモ」であり、全文は暗号化されている。
平文化された一文だけをここに残す。
█████ の側に立つ者が本当に生まれた場合、
それは世界群にとって「致命的なバグ」か、
あるいは「設計者が想定しなかった更新パッチ」のどちらかになる。
どちらであるかは、現時点では判定不能である。
記録終了。
【フラグ:要追跡】
【次回更新トリガ:対象魂 S-XXXX の転生面接開始ログへのアクセス要求】
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