漫才「百メートル走金メダルインタビュー」
笑ってもらえるとうれしいです。文化祭、学園祭、会社の余興などで使ってもらえたら、なおうれしいです。
登場人物 二人
インタビュアー(40歳、男) スポーツ好き。熱血。
選 手(18歳、男) 穏やかな性格。
「私、スポーツ選手にインタビューしてみたいんですけど」
「練習してみますか?」
「ええ。じゃあ私インタビュアーやりますんで」
「僕は百メートル走の選手をやりましょう」
インタビュアー「百メートル走、世界大会金メダルおめでとうございます」
選 手「ありがとうございます」
インタビュアー「強かったですね。今年は負け知らずでここまできました」
選 手「いや、そんなことないです」
インタビュアー「え? 負けましたっけ? いつ?」
選 手「このあいだ、学校の運動会で」
インタビュアー「学校で負けた? 世界一なのに?」
選 手「ええ、僕、学校ではずっと四番手なんです」
インタビュアー「はあ?」
選 手「僕より速いのが三人いましてね」
インタビュアー「ご冗談を」
選 手「ほんとですって」
インタビュアー「じゃあ、なんでその三人は大会に出てこないんですか?」
選 手「彼らは陸上部じゃないんです」
インタビュアー「そんなの問題じゃないでしょ。なんか他の理由があるんじゃないですか?」
選 手「一番速い生徒は、乗り物酔いがひどくて」
インタビュアー「はあ?」
選 手「僕ら瀬戸内の島育ちなんですが、気持ち悪い思いをしてまで、わざわざ島から出たくはないと彼は言ってるんです」
インタビュアー「そんな理由であなた」
選 手「船も飛行機も、ヘリコプターもダメでして」
インタビュアー「だったら橋を架けましょうよ」
選 手「橋も揺れるからダメですよ」
インタビュアー「なんかいい方法ないかなあ」
選 手「海を埋め立てて、道を作ってくれれば大丈夫だと思います」
インタビュアー「そうしましょう。陸連にお願いしてみます」
選 手「ありがとうございます」
インタビュアー「二番手は?」
選 手「スタートのピストル音が苦手で」
インタビュアー「はあ?」
選 手「パーンという音で、びっくりしてひっくり返っちゃうんです」
インタビュアー「そんな理由で?」
選 手「学校ではヨーイドンの掛け声でスタート合図をしてくれるから大丈夫なんですが、国際大会では無理でしょ」
インタビュアー「国際大会もスタートは掛け声にしましょう。世界陸連に交渉してみますよ」
選 手「ありがとうございます」
インタビュアー「三番手は?」
選 手「人見知りなんです」
インタビュアー「はあ?」
選 手「島民以外がいると、あがっちゃうんです。緊張で体がガッチガチに」
インタビュアー「だったら、その島に大会自体を呼んできちゃいましょう」
選 手「観客入れずにできますか?」
インタビュアー「ついでに運営スタッフも島民だけにしましょう」
選 手「でも、各国からやってくる選手たちとは会わないわけにいかないですよね」
インタビュアー「馬が使う遮眼帯をつけて走らせてもらいましょう」
選 手「ところで、四番手の僕は大会に出れるのでしょうか?」
インタビュアー「さあ、忙しくなるぞー」
インタビュアーが帰っていく。
選 手「ちょっと、僕は?」
選手が追いかけていく。
読んでくださり、ありがとうございました。