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非日常な保護猫カフェの日常  作者: せん猫
紬編
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お客様?

 今日も開店と同時にドアベルが鳴る。入って来たのは女性。


「こんにちは。いらっしゃいませ」


「こんにちは。あ、いた。先日は助けていただきありがとうございました」


 彼女が言うには以前、倒れているところを助けたというのだが。


「ごめんなさい、ええと……」


「私の名前はナナと申します。人のように見えると思いますが魔力で動く "魔法生命体" なのです。少し前に街外れにある廃棄場で倒れていたところをあなたに助けられました。すぐに帰られてしまったので周りの方に保護猫カフェの方だとお聞きしたのでお礼をと思い訪問いたしました」


 そういえば少し前に要らなくなったキャットタワーを捨てに行ったときに倒れていた人がいたので介抱したことがあった。すぐに起きたので周りの方に任せてお店へ帰ったことを思い出す。


「ごめんなさい思い出しました。あれから体調は大丈夫ですか? どこか痛かったりしない? あ、魔法生命体……? なら痛くはないのかな? 調子の悪いところはないですか?」


 心配そうにするが彼女は笑顔を見せた。


「はい、おかげさまで。本当にありがとうございます。それで……もし迷惑でなければお礼をさせてもらえないでしょうか?」


「そんなお礼だなんて気にしないでください」


「いえ。そういうわけにはいかないんですが……。ご迷惑ですかね……?」


「そうですね……。うーん。そうだ。猫ちゃんはお好きですか?」


 彼女はきょとんとしていたけどすぐに笑みを浮かべると。


「もちろんです。猫ちゃん大好きなんです」


「ではお時間のあるときに遊びにきてください。それで大丈夫です」


「それだけで……。わかりました。ありがとうございます。……私、廃棄されあそこにいました。ですので行く宛もなくいつも暇ですので毎日きてしまってもよろしいでしょうか?……あ、でも私はお金がないんでした。ごめんなさい」


 そんなことを聞いてしまったら放っておけない。ちょうど裏の自宅に空き部屋はある。しばらく考えて。


「でしたらうちで働きませんか? うちのお店で働ける人材を探していたところなんですよ。住む場所がなければ裏にある私の家に空いている部屋もあるので」


「本当ですか! ぜひともお願いいたします!」


 急な話だったけど彼女は快く承諾した。


 その日は自宅を案内してゆっくりしてもらった。明日から頑張ってもらおう。


 ナナさんの仕事ぶりはとても良い。接客もすぐ慣れて、調理場にいるスタッフともすぐ仲良くなった。もちろん猫たちとも。


 ちなみにナナという名前は製造番号が7番だからだそう。


「猫ちゃんたちかわいいー癒やされますねぇ」


 ナナさんは休憩時間になるといつものように猫エリアへ行く。猫たちも懐いてなでられるたびにゴロゴロと喉を鳴らしている。

 その様子をカウンター越しに見守りながらコーヒーを飲むのが日常になっていた。表情も柔らかくなり働いてもらえて本当によかった。こう見ると人と何も変わらない。すごい技術だと思う。


 ★登場人物


 ナナ:魔法生命体。保護猫カフェアルバイト。見た目は人と変わらない。

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