【第1章】第3話 教えてギル先生
道中、ギルは色んな事をティアに説明をした。
宇宙空間に放り出されたあの落下地点の真下には、
紅と蒼のわっか状のゲートがあった事。
それらは無限マークのようにくっ付いて隣り合わせで存在しており、
罪人たちがどちらのゲートに落ちるかによって、
どちらの縄張りに入るかが決まる事。
ゲートの枠外に落ちた者は本当に死に至る事。
ゲートに入った人間が落ちる場所は、
縄張りの中でもどの場所かが決まっているため、
定期的に落ちてきた人間を自分たちの縄張りに引き込むために回収しに行く事。
ギルは本日その回収当番だったようだ。
「今回はティア以外には蒼に落ちたヤツはいなかった。
……少し不利になったかもしれねぇな。」
申し訳なさそうに俯くティアに、ハッと気付き慌てて訂正する。
「悪ぃ、ティアが足手まといとかそういう意味で言ったんじゃないから。気にするな。」
大丈夫、と微笑むティアにホッとする。
「……ゲートに落ちた人間は1人1つ能力を手に入れるみたいでな。
ティアも恐らくあるはずだから、まず拠点に到着したらそれを調べる。」
「能力?」
「ああ。漫画とかアニメとかにあるような魔法だったり、
あるいは身体能力が上がったり、とか様々だけどな。
必ず何かが付与される事が判明されてる。
それは紅のヤツらもだ。」
ティアは自分の両方の手のひらを見つめるが何も起こらなかった。
うーん、と唸りながらギルの方に向き直る。
「ギルにもあるの?どんな能力?」
ギルはまたははっと笑って目を細めながら右手人差し指を唇に当てる。
音にならない声で、こう言った。
〈ひ・み・つ〉
手首の宝石がキラリと光った。
残念そうにするティアはふと思い出したかのようにギルに質問する。
「そう言えばその宝石は縄張りの人間って証拠みたいな感じで付けてるの?」
ティアが聞くと、よく分かったなとまた笑った。
「能力を調べた後に蒼のメンバーだという証として埋め込むんだ。
埋め込んだら取り外しは出来ない。……紅のヤツらもそうしてるみたいだ。」
でも、と続けて話す。
「ティアは地球に戻るだろ?埋め込まれたら外せない。
だからこれつけろ。」
黒いパンツのポケットから何かを取り出すとティアに放り投げる。
慌てて手を出し受け取ったティアが見たものは、
「……手袋?」
両手分の黒い革の手袋で、右手袋には青い宝石が1つ甲の部分に埋め込まれていた。
「埋め込めないほど手が損傷してるヤツや、
アレルギーのヤツもいるからそいつのための手袋だ。
だからティアはアレルギーって事にするんだぞ、いいな?」
分かった、とティアが頷くとまたギルはニッコリと笑って返す。
「他にも何かわかんねぇ事があったら俺に聞け。
……蒼でも他のヤツは信用すんなよ。」
罪人だからな、と付け加えて、またギルは前に進む。
ティアは貰った手袋をはめてギルの後へとまた続いた。
遠くに砂の街が見えてきたのを視界におさめながら…―――
.