毎年世界中で多くの死者を出している「DHMO」という物質について詳しく知ってほしい。そして、みんなもっと慎重に考えて行動してほしい。そう思って書いたエッセイ
この物質についての話は既に30年以上前から語られていますので、既知の方も多いと思います。既知の方は前半の警鐘の部分は読み飛ばしていただき、結論の部分だけお読みください。
また、このエッセイの結論は後半に書かれています。前半の一部分だけを読んで他人に伝えるのは厳に控えていただきますようお願い申し上げます。
皆さんはDihydorogen Monoxid(ジハイドロジェン・モノオキサイド 和名:一酸化二水素 ※以後DHMOと略す。)という物質を御存知だろうか。
DHMOは、人体に多大な影響を与える物質である。具体例を挙げる。
・固体の状態に長時間さらされると人体に深刻な損傷を与えることがある。
・液体の状態で摂取すると中毒症状を起こすことがある。
・この物質により毎年世界中で多数の死者が出ている。
・強い習慣性があり、常用者は摂取を止めると短時間で死に至る。
・がん等の悪性腫瘍から多量に検出される。また、DHMOを完全に取り除くとがん細胞は死滅する。
また、DHMOは、地球環境や人間の経済活動にも多大な影響を与えている。
・水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
・温室効果を引き起こす。
・台風や集中豪雨など自然災害に大きく関わっている。
・岩石や土壌の侵食を引き起こす。
・多くの素材の腐食を進行させる。
・電気事故の原因となる。
・自動車のブレーキの効果を低下させる。
ところが、その危険性にも関わらず、DHMOは全く規制のないまま、頻繁に用いられている。以下はその実例である。
・各国の軍事基地に多量に保管されている。
・工業用の溶媒、冷媒として用いられ、使用後DHMO自体は未処理のまま河川や海洋に投棄される。
・原子力発電所で用いられる。
・防火剤として用いられる。
・各種の残酷な動物実験に用いられる。
・防虫剤や除草剤の散布に用いられ、洗浄後も農産物にはDHMOが残留する。
・各種のジャンクフードや、その他の食品に添加されている。
この物質の危険性は既に30年以上前から語られており、規制を求める運動も起こっている。しかし、その運動が実を結んだことはいまだにない。
アメリカ、カリフォルニア州のアリソ・ビエホ市の議会では、担当者らがDHMO規制の決議を試みたが、採決すらされることは無かった。
フロリダ州のラジオ局が、水道管に存在するDHMOの危険性について放送したことがあったが、この放送の後、番組の司会者2人は謹慎処分になった。
ここまで書いたことは全て事実である。
様々な危険性があることを理解しているのに、各国の指導者たちは、その利便性等を重視するあまり、規制を論じることすらない。
みなさん、この危険なDHMOをこのまま野放しにしていて良いのだろうか? 規制を行う必要はないのだろうか? ぜひ一度考えていただきたい。
※思考を誘導することを避けるため、参考となる文献やサイトについて、ここでは触れないが、DHMOについての情報を入手することは容易である。このエッセイの全文をお読みいただいた後、是非「DHMO」で検索をかけていただきたい。多数の情報を入手できるはずだ。
ここまで読んで、皆さんはどういう答えを出しましたか?
その答えを聞く前に、そもそも「DHMO」って何なんでしょうか?
ヒントです。『和名:一酸化二水素』
酸素が1つと水素が2つ結びついた物質と言ったら……
「水」ですよねw
規制しようとした人。危なかったですねぇ。規制したら生きていけなくなったかもしれませんw
え?『事実』だとかウソをつくな?
いえいえ、書いたことは全て事実ですよ(誇張はしましたw)。
ここからは答え合わせです。
※ウソじゃないって証拠を書いただけですので、結論の前まで読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
・固体の状態に長時間さらされると人体に深刻な損傷を与えることがある。
→氷にずっと触っていたら凍傷になりますよね。
・液体の状態で摂取すると中毒症状を起こすことがある。
→『水中毒』というものが存在します。
・この物質により毎年世界中で多数の死者が出ている。
→毎年水難事故や洪水等による死者が多数出ています。痛ましいことです。
・強い習慣性があり、常用者は摂取を止めると短時間で死に至る。
→食物由来でも点滴でも摂取しなければ死にますよね。全員常用者なのは誇張ですが。
・がん等の悪性腫瘍から多量に検出される。また、この物質を取り除くとがん細胞は死滅する。
→人体の7割は水ですので、がん細胞に多量に含まれているのも間違いありません。
・水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
→酸性雨であれ普通の雨であれ、雨の主成分は水です。
・温室効果を引き起こす。
→大気の温室効果の5割は水蒸気によるものらしいですよ(本当)。
・台風や集中豪雨など自然災害に大きく関わっている。
→台風は全てではありませんが、集中豪雨は水がなければ起きない災害ですね。
・岩石や土壌の侵食を引き起こす。
→土砂崩れとか起きますし、水流で角が丸まった石を見たことはありませんか?
・多くの素材の腐食を進行させる。
→水に触れていると錆びたり腐ったりするのが速くなりますよね。
・電気事故の原因となる。
→濡れた手でコンセントをいじったら感電することがありますよね。
・自動車のブレーキの効果を低下させる。
→雨の日は滑って制動距離が伸びます。
・各国の軍事基地に多量に保管されている。
→保管されていないところがあるなら逆に知りたいです。
・工業用の溶媒、冷媒として用いられ、使用後DHMO自体は未処理のまま河川や海洋に投棄される。
→いろいろ便利使いされています。あと、ただの水なら流しても問題ありません。
※何か別の物質が含まれている場合は別ですよ。
・原子力発電所で用いられる。
→冷却水等の用途で多量に使われています。
・防火剤として用いられる。
→火に水をかけて消しますし、水に濡れた状態だと火がつかないので、和紙の鍋とかも存在します。
・各種の残酷な動物実験に用いられる。
→普通の動物実験でも使われています。そして、使わない方が残酷かもしれません。
・防虫剤や除草剤の散布に用いられ、洗浄後も農産物にDHMOが残留する。
→農薬は大体水で薄めて撒きます。そして、水ですからゼロにする方が難しいです。
・各種のジャンクフードや、その他の食品に添加されている。
→上と一緒です。ゼロにする方が難しいです。
アメリカ、カリフォルニア州のアリソ・ビエホ市の議会では、担当者らがDHMO規制の決議を試みたが、採決すらされることは無かった。
→『インターネット上でDHMOの危険性をもっともらしく訴えるウェブサイトが数多く作成され、2003年にカリフォルニア州のアリソ・ビエホ市の議会で、ウェブサイトのジョークを真に受けた担当者らがDHMO規制の決議を試みたが、DHMOがジョークと判明して採決は中止された。』出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
また、フロリダ州のラジオ局が、水道管に存在するDHMOの危険性について放送したことがあったが、この放送の後、番組の司会者2人は謹慎処分になった。
→『2013年にフロリダ州のラジオ局がエイプリルフールのジョーク企画で、水道管に満たされているDHMOの危険性について放送すると、水道局に問合せが殺到し、ラジオ局は謝罪して番組の司会者2人を謹慎処分した。』出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
信じてしまった人、お疲れ様でした。
知っていた人、途中で気付いた人。大変お待たせいたしました。
ここからが本題です。こんな大がかりなことをしてしまいましたが、決して皆さんをおちょくりたかったわけではありません。
世の中にはいろいろな情報があふれていますが、そこに書いてあることが事実だから、実験等のデータが示されているからといって、全てを鵜呑みにして良いわけではないということを知っていただきたかったのです。
例えば、各国・各地域の研究機関では、無数の研究者たちが日々研究に明け暮れています。そして、次々と興味深い「新説」を発表しています。ネットの発達によって、我々がそれらの情報に触れる機会も増えました。
その様々な説を読むことは意義深いものだと考えます。ただ、読んで感銘を受けたとしても、それを他の人に広める前に、本当に広めて良いものなのか、一度考えていただきたいのです。
そもそも「新説」とは何かというと、後々「定説」になる可能性をもった新しい考え方です。しかし、あくまで可能性があるだけであって、「定説」になれるかどうか、出された段階では定かではありません。
「新説」が出た。データが揃っている。信じたくなる気持ちはわかります。
ただ、少なくても根拠がなければ「新説」を出すことはできません。ですから『データが揃っている』というのは「新説」の最低限の条件なのです。そして、そこから他の研究者による再現実験等が行われて、初めてその説が「正しい」であろうと認定されるわけです。
つまり、どのような尤もらしい「新説」であっても、出た時点では、それが本当に正しかどうか、発表者を含め、誰にも断言できないのです。
新説の誤りについては、『STAP細胞』事件を思い出す方も多いでしょう。発表の時点では再生医療を劇的に進展させる可能性のある夢の新技術と思われた『STAP細胞』ですが、数ヶ月の間に次々と疑義が発覚。追実験にも成功せず、論文の共同執筆者の一人は自殺にまで追い込まれるという事態になりました。
この件については、悪意が有ったか無かったかなど細かい点に触れるつもりはありません。が、少なくとも、国内最高クラスの研究機関が大々的に発表した説でさえ、信憑性が確認できず撤回されたという事実は心に留めておくべきでしょう。
冒頭に例示したように、皆さんが慣れ親しんだ物質である「水」でさえ、多くの危険な側面を挙げることができます。
その上で、この「DHMO」の話のように、悪意をもって相手をミスリードしてやれば、当たり前のことを酷く危険なこととして捉えさせたり、大して価値のないものを大変貴重なものとして捉えさせたりすることも可能になります。
ご存じのこととは思いますが、ネット上には「新説」だけでなく、そこにも至らない疑似科学的な「珍説」もごろごろ転がっています。
しかも場合によっては、それらはあたかも真実であるかのような偽装さえ行われているのです。
心理学用語で「確証バイアス」という言葉があるそうです。自分が信じている、もしくは信じたいことを裏付ける情報だけを探し、不都合な情報を無視することです。
信じたい情報は心にすっと入ってくるでしょう。不都合な情報には耳を閉ざしたくなるでしょう。これは人間として当たり前の心理です。
信じることは自由です。ただ、それを他人に勧めるときには細心の注意を払っていただきたいのです。
あなたが信じたその情報は、あなたの耳に入ったときには既に悪意をもってねじ曲げられているかもしれないのです。その情報を精査もせずに他人に広げてしまったら、あなたがしている善意の裏で、大きな悪意が拡散していくことになる可能性もあるのですから。
「DHMO」については、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の記事と、20年ほど前に自分で書いたノート(講演会の記録と思われる)のメモを参考にしました。明らかな誤りがありましたら教えてください。