第40話:あけおめことよろ
「あけましておめでとうこざいます!」
「あけおめことよろー」
「よろしくさー!」
年明け早々ハイビスカス少女隊の3人は桃山中学校の校門前へと集まっていた。
新年。
さっそく集まってやることと言えばもちろん――
「よーし。じゃあ普天間神宮行こう!」
初詣だ。
「その前にだな。今日はせせりーにお年玉を持ってきた」
「え? なになに!?」
「えーインチキー。たてはも欲しいわけさー!」
「まぁまぁ、たてはにはお菓子でもやるから」
「それならいいさー」
「んでだ。せせりー、鬼滅の刃ハマってるだろ。だからぬいぐるみをゲットしてきてやったぞ」
「えー、誰だろう。煉獄さんかな伊黒さんかな」
「これだ!」
「……え、誰、いや、見たことある気はするけど……えっと、誰だっけ」
「オレは鬼滅見てんからわからん。けど、ぬいぐるみになるくらいだから人気キャラなんだろ?」
「え、えっと……えぇ……誰コレェ…………」
「調べてみたけど村田だって」
「あー、糸使う鬼と戦った話で出てきたモブじゃん……」
「逆によく思い出せたな」
「そろそろ出発するばーよ!」
「そうだね。行こうか」
「おう!」
そして3人は校門前から離れ、徒歩で神社を目指した。
目的の場所はここから歩いてだと1時間はかかる。
「小学生の頃に歩いて行ったなぁ」
「十三祝いだな。小5の時だっけか」
「あー、なんか覚えがあるわけさ!!」
そして他愛のない雑談を繰り広げながらも足を進める。
サンサンマル沿いを真っ直ぐ進み、プラザハウスや警察署、イオンモールを通り過ぎて行った。
「ちょっと肌寒いな」
「ちょっと走ってみる?」
「はーえーごんごんはーえーごんごん♪」
「あ、たてはちゃん飛ばし過ぎ!!」
「追いかけるか……」
せせりの想定していた以上のスピードで駆け出したたてはをせせりとしじみは追いかける。
その時、ジャージ姿の2人組とすれ違った。
「あら、トレーニングですの?」
「3人がか。珍しいな」
「サクマドンナにふたお先輩!」
その2人組とはサクマドンナとふたお。
学校でもよく一緒にトレーニングしている姿が見られたが、どうやら新年早々も自己研鑽に努めているらしい。
「初詣に行こうってなったんですよ」
「普天間神宮に行くさー!!」
「なるほどな。丁度この先だし……あたしらも行くか?」
「いいですわね。ご一緒してもよろしくて?」
「うん、みんなで行こう!」
「よーし、みんなで走るばーよ!!」
「って待て、走るのは続行なのか?」
勢いよく言うたてはにしじみは思わずそう尋ねる。
そう、しじみは身体を動かすのが苦手なのだ。
「ふっ、わたくしについてこれますの?」
「ついて来れるか、じゃねえ。てめえの方こそ、ついてきやがれ!」
サクマドンナの一言に、どういう理由があるのかしじみは思わずそんなことを言ってしまう。
分かる人には分かるかもしれないが、オタクの宿命だね。
それから数分後。
「ぜぇ……ぜぇ……」
「しじみちゃんさっきの勢いはどこに行ったの?」
「さっきのは、つい、言わないといけない気がしたから……」
「あのシーンの士郎かっこいいよな」
「ふたお先輩ご理解あるんだ……」
5人で一緒に神社を目指す。
またしばらく進むとせせり達と同じように神社を目指しているであろう3人が目に入る。
しかもよく見ると、見覚えのある面子。
「あげは先生!」
「なる姉」
「マミンカ・マリンカさー!」
「「「あけましておめでとうございます」」」
「あんた達も初詣?」
あげはの言葉に一同は頷いた。
「そうなんだぁ。じゃあ一緒に行こうよ」
「そうですねぇ。みんなで行けば楽しいですからねぇ」
ミス・ファイアこと我那覇なるこの提案にマミンカ・マリンカ――比嘉まりかが同意する。
「この子達と一緒に行ったら屋台の食べ物とか奢らされるじゃない」
「えー、安いのにするからー!」
「ほら、奢ってもらう気マンマンじゃない」
「お年玉代わりだと思えばね」
「そうですよ。みんないつも頑張っていますからねぇ」
「それはそうだけど」
むぅと口を尖がらせるあげはを連れて一同は神社を目指して進んでいく。
気付けば人数も8人と結構な数になっていた。
そして神社にもかなり近づいてきている。
目の前には下り坂。
そのずっと先には屋台があるのが見えた。
参拝客目当てで出された屋台だろう。
つまり神社はもうそこということだ。
「ローソン寄ってく?」
「それより帰りにエンダー寄ろうぜ」
「行く行くー!」
「勝手に盛り上がってるけどお金払うのあたしよね?」
その時コンビニから出てきた少女とせせりの目が合う。
「あ、せせりちゃん」
「すずめちゃんじゃん!」
そう、そこにいたのはすずめ。
どうやら家族と一緒に初詣に行く途中だったらしく、その前にコンビニに寄ったのだと言う。
「みんなで初詣ですか! 私も一緒に行っていいですか?」
「いいけど、お父さんお母さんいるんだよね」
「友だちと一緒に行くって言えば大丈夫ですよ!」
「ずーめーがいいってならいいんじゃねーか?」
「だからよー」
さらに1人増えて9人。
そして神社ももうすぐそこだ。
鳥居を潜り、お手水で手を清め、賽銭へ小銭を放り投げる。
ある者はお願い事をし、またある者は今年の抱負を胸に刻み、そしてまたある者は帰りに寄るエンダーで何を食べようか考えていた。
「おみくじ引こう!」
せせりの一言でおみくじ売り場に向かう一同。
「おはようございます。ミナさんおソロいで」
「ミリエじゃん」
「何してるばー?」
何してるも何も、その佇まいを見れば一目瞭然だった。
白と赤で彩られた装甲。
そしておみくじ売り場に立っているということは……。
「お手伝いしてるんだぁ」
「はい。チイキコウケンというものです」
「おみくじちょーだい」
「300エンです」
「そうだ、この後エンダー行くんだけどミリエちゃんも来ない?」
「手伝い中だろうが」
「オソらくカマわないかと。ワタシはカッテにいるだけなので」
「それはそれでどうなんだ?」
「それじゃあ行こう! の前に――おみくじの結果どうだった?」
「わーは吉さー」
「私もですねー」
「わー、ふつー。しじみちゃんは?」
「大吉」
「は? 八百長じゃないの?」
「んなワケねーだろ。せせりーはどうなんだよ」
「…………ミリエちゃん、もう1枚」
「とりあえず大吉じゃないことはわかった」
「大吉を寄こしなさい!!!!!!」
「おみくじってそういうもんじゃねーから」
「全く、騒がしいですわね」
「そういうサクマドンナは!? 大凶!?」
「大吉ですわ」
「ぐぬぬ……」
「まっ、ここで大吉を引くってことは1年の運を先に使ったって考えもできるからな?」
「……つまり勝つのは小吉ってことだね!!」
「急に元気になったな」
「ちゃんと書かれていることも読みましょうね~」
「マミンカ・マリンカなんかお母さんみたい」
「マミンカだからな」
「しじみ、お守りも買うよね?」
「そうだ。あたしも車用のやつ買わないと。マリンカも買うわよね?」
「はい。行きましょうか」
なんて話をしているときに鳴り響いたマミンカ・マリンカのスマホ。
「あら……例の3人組の出現情報ですわ」
「「「は?」」」
「こういうときくらい休めばいいのに」
「っていうかこういう時だから休んでいい?」
「さすがにわじわじーするわけさー」
「そうもいかないでしょ。ハイビスカス少女隊、出撃よ」
「……ぶっ飛ばそうか」
「遠慮無用だな」
「だある」
その後、いつもにも増して殺意マシマシな3人にイタズラ3人娘はいつものやり取りも省略でボコられたとか。




