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第35話:エイジ・オブ・ミリエ 後編

「ビックワンに行きなさい」

ネジェストの言葉に従い、ビックワンを目指すハイビスカス少女隊の3人。

とは言え、どこもかしこもジョカスタ、ジョカスタ、ジョカスタ。

「たちの悪い世紀末映画みたいだね……」

「この前みんなで見た映画がこんな感じだったな」

「B級だったさー」

なんて言いながらも断続的に襲ってくるジョカスタへの対処で大変だ。

「みんな! 援護に来たわよ!」

燃え上がる炎がジョカスタを焼き尽くす。

「ミス・ファイアさん!」

「マミンカから聞いたわ。何でも逆転の手があるって」

「マミンカ・マリンカが!? 何で?」

「分からないけど……でもあなた達を助けるようにこの辺りのスーパーヒロイン達に声をかけてるみたい」

それはネジェストが先にマミンカ・マリンカへと「逆転のカギ」について話したからだが、この4人は預かり知らない。

「とにかく、サクマドンナーちゃんが囮をしてくれている。警戒が手薄な内に早く!」

「あいえなー、サクマドンナーが!?」

「2人とも、行くよ!」

「おう!」

「諒解さー!」

走りながらしじみはネットワークで情報を収集する。

スーパーヒロイン同士のネットワークでは、サクマドンナーによる「切り札がある」という書き込み。

ミス・ファイアの言葉から考えるとそれは恐らく嘘。

そして同時に、例えスーパーヒロイン同士のコミュニティのようにセキュリティが強固なところだろうと全てが筒抜けになっているということが分かる。

現実もネットも全てを掌握していく数の暴力。

それがミリエを手中に収めたジョカスタ達の強さだった。

そこから逆転するための切り札――それは。

「タイムマシン!?」

ビックワンに辿り着いた3人に与那国のおばーは言った。

タイムマシンという最後の切り札を使って解決策を探す。

それがハイビスカス少女隊に課せられた使命だということを。

「タイムマシンってもしかして……デロリアンですか?」

「一番気になるところソコか?」

「デロリアンもあるよぉ」

「だあるばー!?」

「持ってこようね」

おばーがそういいながら店の奥から取ってきたのは――

挿絵(By みてみん)

「……自転車じゃん!!」

車体に「でろりあん」と書かれた3人乗りの(タンデム)自転車だった。

「こんなん昔ハウステンボスで乗ったな……」

「でーじ楽しそう!」

「これで時間をさかのぼれるんだね……」

「これも持っていきなさいね」

「これは……?」

おばーから手渡されたのは腕時計のようなものだった。

不意にその文字盤から光が放たれると、1人の少女の姿が浮かび上がる。

「ミリエちゃん!?」

『緊急事態対処用プログラムのミリエ2です。皆さんをサポートします』

「うん、行こう!」


3年前のビックワン。

物陰に隠れながら店舗の様子を眺める。

『今から10分後、勢理客ジッチャクサイカによるプロトジョカスタの設計図盗難が発生します』

「勢理客サイカって?」

「ブレインディザスターの本名だろ」

『その通りです。この際、プロトジョカスタが起動され勢理客サイカの確保に向かうのですが失敗してしまいます』

「つまり、それを止めれば問題解決ってワケさー!!」

「だね。やるよ!」

「ちょっと待て。ジョカスタの設計図を盗まれるのがオレ達の時代に続く正史なんだろ?」

『はい』

「なら、もしここで設計図が盗まれるのを阻止したら何か――バタフライエフェクトとか起きないのか?」

「バタフライエフェクトってなんだばー?」

「蝶の羽ばたきが嵐になる。ほんの些細な事でも過去を変えれば未来が大きく変わる可能性があるってことだ」

「ブレインディザスターから設計図を取り上げるだけだよ? だったらブレインディザスターがミリエちゃんの量産型を作れなくなるだけじゃないの……?」

「ミリエなら何か計算とかできないのか?」

『私は緊急事態用のサポートプログラムです。そこまで膨大な計算能力はありません』

「大丈夫大丈夫! あ、ビックワンから物音が!!」

『時間です』

強く開け放たれたビックワンの扉。

そして飛び出してきたのは奇妙な鉄仮面を被り白衣を纏った女性。

「この頃からメット被ってたのか……」

「そんなこと言ってる場合じゃないよ。ハイビスカス少女隊、出動!!」

物陰から飛び出し、一気にブレインディザスターへと距離を詰める。

「そこまでだ! 設計図は返してもらう!!」

「なぁに、あなた達!?」

「タイムパトロールだ!!」

「タイムレンジャーだ!! うわ、ジョーク被った!」

「時間泥棒さー」

「よくわからないけど、スーパーヒロインってワケだね」

ブレインディザスターは口元を歪めるが引く構えは見せない。

右脚へ力を込めるように踏ん張ると、急加速した。

それはブレインディザスターが開発した脚力強化アーマーによるもの。

「ツィーチュカなら十分に捕まえられるぞ!」

「当然だよ! だってわたしは――シューティングスター!!」

「意味わからんわけさ」

意味はよくわからないが、せせりも一気に跳躍。

ブレインディザスターへと距離を詰め――

「取り――戻したぁ!!」

設計図を取り返す。

「チッ」

「ツィーチュカ、ブレインディザスターも!!」

「逃走用パッケージ、あなたにあげるよ」

更にブレインディザスターの腕を掴もうと手を伸ばしたせせり。

その腕に何かが取り付けられる。

瞬間、機器から激しい衝撃。

それはせせりを攻撃するためのものじゃない。

本来はブレインディザスターが逃走する為に使おうとしていたジェットパック。

それをせせりに付けた、ということは――

「うわっ、吹き飛ばされるぅ!!」

せせりはきりもみしながら地面へと墜落した。

「きゃっ」

その時上がった悲鳴。

それは当然、せせりのものじゃない。

「わ、大丈夫!?」

そこには驚いた表情を浮かべている金髪の女の子の姿が。

目の前の地面には薄い本が数冊散らばっている。

「ごめんね、わたしが驚かせちゃったから!」

せせりはすぐに散らばった本を集めると、女の子へと返した。

「あ、ありがとうございます……」

「ううん、わたしが悪いから」

「ありがとうございます」

女の子は重ねてお礼を言うと本の入ったトートバックを手に逃げるように走り去った。

「大丈夫か!?」

「うん、ブレインディザスターは逃がした、けど」

「設計図取り返せただけじょーとーさー!」

「アナタ、タチは……?」

そこでブレインディザスターを追いかけるために起動されたのだろう。

ミリエ――プロトジョカスタが駆けてきた。

「ミリエちゃん! これ、取り返したからね! ちゃんとおばーのところに持っていくんだよ!」

「ミリエ……?」

「それじゃあ帰ろう!」

「おう!」

「行くさー」


現在。

燃え盛る炎。

瓦礫が積み重なった廃墟の中、1人のスーパーヒロインが空を見上げていた。

「絶対に赦しませんわ。堕悪美里江ダークミリエ……!」

挿絵(By みてみん)

3人は様変わりしたオキナワ市の姿を見て呆気にとられていた。

「わたし達が過去に行く前よりも酷くなってるよね……」

「ああ。この状態――ここ最近の戦いでこうなったって感じじゃねーな」

「つまりどーいうことだばー?」

『バタフライエフェクトですね。理由は不明ですが私達の時間遡行(そこう)による影響でジョカスタ型の暴走が早まったとしか』

「なんで!? ブレインディザスターは設計図を手に入れられなかったはず。それならミリエちゃんだって暴走するはずは――」

『人類種ハッケン。人類種ハッケン』

不意に奇妙な声が響き渡る。

亡霊のように空を踊りながら、骨のような人型ロボットが文字通り目を光らせてハイビスカス少女隊の3人を取り囲んだ。

「これは!?」

「ジョカスタ――じゃねーぞ!」

「攻撃してくるさー!」

襲ってくる謎のロボットを迎撃する3人だが、1体を倒す間に新たなロボットが2体は増える。

「ミスレシュカ、何か一気に吹き飛ばせる技あったでしょ! 笑止千万みたいな!」

「千射万箭な! こういう街中で使うのは気が引けるけど――」

「瓦礫しかないばーよ!」

「だな! 行くぜ、千射――」

その時、突如として空から落ちた雷撃。

それは数多のロボット達を吹き飛ばした。

「こちらへ!」

声と共に小さな雷が走り、ハイビスカス少女隊を導く。

「行こう!」

瓦礫の下をくぐり抜けたその先に広場のような空間があった。

そしてそこで待っていたのは1人の少女。

雑に伸びた髪の毛に険しい目つき。

片目には眼帯を付け、大きな斧を手にしている。

「もしかして、サクマドンナー?」

声をかけたせせりの姿を見てサクマドンナーは片目を大きく見開いた。

「ハイビスカス少女隊……? 死んだはずじゃ」

「おい、殺されたぞ」

「でーじよ」

「そこで止まって名を名乗りなさい」

「ツィーチュカ、島袋せせり」

「ミスレシュカ。普天間しじみだ」

「ベジェトルカ! 山内たては!」

「やはりハイビスカス少女隊……いえ、アナタ達はジョカスタが暴走した際の戦闘で死んでいる。わたくしはそう聞いてますわ」

「死んでないよ! タイムマシンで過去に行ってただけなんだからね!」

「タイムマシン……?」

「ちょっと待てサクマドンナー。ジョカスタが暴走したのっていつだ? 今朝に事件が起きたにしては荒れすぎというか」

「だからよー。しにボロボロなわけさ」

「タイムマシン……わかったわ。ジョカスタの暴走は4ヶ月前、ミリエが転入してきたその日ですわ」

「ブレインディザスターとはじめて戦った日だよね」

「そう。ジョカスタ・ミリエはブレインディザスターのハッキングを受け、悪のガイノイド堕悪美里江へと変貌してしまったのですわ」

「バカな。オレ達の時はミリエにブレインディザスターのハッキングは効かなかったはずだぜ」

「つまりどーゆうことだばー?」

「過去を変えた所為で別の問題が起きたってことだ」

「ええ、取り返しのつかないほどにね」

サクマドンナーの瞳に映るのは強い憎悪の色。

「スーパーヒロイン達は壊滅。張本人のブレインディザスターも堕悪美里江に処分され世界はヴィジョン達が闊歩する機械の王国へと変わり果てたわ」

「ヴィジョンって?」

「さっき襲ってきたロボットだろ」

「ほかのヒロインはいないばー?」

「多くは連絡も取れなくて生死は不明よ。とは言えミス・ファイアも戦死した以上、それ以外のヒロイン達も……」

「なる姉が……死んだ?」

「ええ。わたくし達はライカム周辺を拠点に抵抗勢力を集めていたの。ですけど先日、ヴィジョンの襲撃を受けましたわ。ミス・ファイアが囮になっている間に無事逃げられましたが……あの人は、もう」

それはもう壮絶な戦いだったという。

ミス・ファイア以外にもその時一緒にいたマミンカ・マリンカや無糖ライダー。

そしてヴィラネスだが協力していたストロンゲストやフープ・ザ・ループらは全員散り散りに。

サクマドンナーは少数の一般人達と共に逃亡生活を続けているという。

「そんなことがあったんだね……」

「まだだ。オレ達が過去に遡って今を変える。もう一度やるんだ」

「今度はどーするばー?」

「ミリエが転入してきた日に戻ろう。そこでどうしてミリエがブレインディザスターに操られたのかを調べるんだ」

そう決意した瞬間、強烈な爆風が吹き荒れた。

「チッ、嗅ぎ付けてきましたわ!!」

「ヴィジョンが!?」

「いいえ、この爆風――堕悪美里江!!」

瓦礫に穴が穿たれ、灰色の空が露わになる。

そしてその空を駆ける、黒く鋭い1体の機影。

挿絵(By みてみん)

「まさかアレが――堕悪美里江か!?」

「そうよ」

「ミサイルが飛んでくるさー!」

たてはの叫び声の通り、堕悪美里江はミサイルを撃ち放つ。

さっきの爆風もこの攻撃によるものだ。

「ハイビスカス少女隊、アナタ達は行きなさい」

「でも――」

「ここで体力を浪費する意味はないわ。時間はどれだけ巻き戻せてもここでアナタ達が倒れてはそれもできなくなるもの」

「ツィーチュカ、行こう。タイムマシンに乗るんだ!」

「…………タイムマシン?」

しじみが跨るタンデム自転車を見てサクマドンナーは目を細めた。

「言いたいことは分かるばーよ」

「行くよ。待っててねサクマドンナー! 絶対こんな事は起こさせないから!!」

「……任せましたわよハイビスカス少女隊。任せて、いいのですよね?」

「任せて!!」

今の今になってどこか心配そうなサクマドンナーを他所に自転車でろりあんは過去へと跳んだ。

「…………本物でしたのね」


4か月前。

「危ないじゃないかミリエ……」

周囲に巻き起こる煙の中から1人のヴィラネスが姿を現す。

それはミリエとブレインディザスターの戦いの幕開けとなった。

「確かこの後、ブレインディザスターがミリエちゃんをハッキングするんだよね」

「ああ。まずはその様子を確認しよう」

ブレインディザスターの能力により、ハイビスカスアーマーが動きを鈍くする。

その間にブレインディザスターはミリエへのハッキングを開始した。

沈黙するミリエにブレインディザスターは呼びかける。

「さぁ、僕のところにおいで! ミリエ!」

「ブレインディザスター.netに……セツゾクします」

ミリエの目の色が変わった。

それは明らかにブレインディザスターのハッキングが成功したことを示している。

そして、過去のハイビスカス少女隊に向き直ると右腕を向けた。

「思ったけど、ここで過去のわたし達が死んだらやばいんじゃない……?」

「いや、それは大丈夫だろう。だって現在にはもう死んでたはずだがオレ達は生きてるし」

「そんなこと考えてる場合じゃないわけさ!」

「よね……どうする!? 助けに行く!?」

「サクマドンナーにも言われただろ。オレ達が出ても意味はないって。それよりも考えるんだ。オレ達の時と今この時、何が違うのかを」

しじみはそう呟きながら自身のアーマーの記録を遡る。

"改変前"とそして今の違いを探すために。

「だある! そういえばミーリーは何かのサイトに接続してたわけさ!」

「何かのサイトって……?」

「あった! 同人販売サイト.netだ!!」

「同人……? それが何か関係あるの??」

「それは分からないが……オレ達の時はブレインディザスター.netじゃなくて同人販売サイトに接続したことでハッキングを免れてるんだ!!」

「っていうか同人販売サイトって何なの?」

「同人誌だよ同人誌! そういう"薄い本"の通販やデジタル販売ができるサイトだ。ミリエはおねショタ本出してるサークルが推しなんだ」

「おねショタってなんだばー?」

「薄い本……え、もしかして!!」

しじみの言葉にせせりは何か心当たりがあった。

それはブレインディザスターによる設計図の盗難を阻止した時のことだ。

「ミリエちゃん! ミリエちゃんが同人誌と出会ったのって」

『勢理客サイカを追跡する際にぶつかった少女の持っていた本が同人誌だったようです』

せせりの質問にミリエ2が淡々と答えた。

「やっぱり! わたしがぶつかった金髪の女の子……あの子が持っていた本が同人誌だったんだ!」

「どういうわけだばー?」

「なるほどな。本当ならあそこでミリエはおねショタ本と出会うはずだった。だがツィーチュカがぶつかったからミリエはおねショタ本と出会わなかったってことか……」

「うん、過去に戻ろう。ミリエちゃんと同人誌を出会わせないと!!」


再び3年前。

「そういえばさっき戻ったわたし達と会っちゃったりしないのかな?」

『問題ありません。与那国氏の開発したタイムマシンには特別な仕掛けが施されています』

「便利な設定だな」

ということで再びブレインディザスターによる設計図奪取をやり直すことになる。

だが今回は少しやり方を変えていく。

ビックワンから逃げ出すブレインディザスター。

その後を追う為にプロトジョカスタが起動された。

ブレインディザスターを追いかけるプロトジョカスタ。

更にその後からハイビスカス少女隊の3人は追いかける。

「きゃっ」

少女の悲鳴が上がり、ミリエと少女がぶつかった。

その所為で設計図の奪還は失敗するが、ミリエは少女が落とした同人誌を拾うことでミリエと同人誌は出会うことになる。

ハイビスカス少女隊の仕事はこれからだ。

ミリエが逃がしたブレインディザスターを追いかけ、そして、

「設計図を奪い取る!!」

「なぁに、あなた達!?」

「それはさっき聞いたぜ!!」

「だからよー!」

「設計図はもらったよ!」

「チッ、逃走用パッケージ……!」

「ジェット噴射とかさせないから!」

「スパーク」

設計図こそ取り返せたが、ブレインディザスターが放った強烈な閃光に目を焼かれ、またしも逃がしてしまった。

「とはいえ、最低限の任務は完了か……」

「うん、未来に帰ろう!」

これが吉と出るか凶と出るか。

緊張の面持ちでまた現在へとたどり着いた。


現在。

そこではもうすでに戦いが始まっていた。

空を駆けるのは――

「ヴィジョン!? もしかして変えられなかった?」

「いや、確かに飛んでるのはヴィジョンだが建物が崩壊してない!」

「スーパーヒロインも戦ってるさー!!」

たてはの言う通り、遠くから雷鳴や炎の光が見える。

「ミナさん、ドコへイっていたのですか」

「ミリエちゃん!!」

そしてミリエもブレインディザスターの手に落ちていない。

「ミリエ、今はどういう状況だ!?」

「ブレインディザスターがヴィジョンとヨばれるヒトガタヘイキをシヨウしシュウゲキをかけてきました。ワタシたちはゲイゲキチュウです」

「ミリエ……相変わらずつれないなぁ」

「ブレインディザスター!!」

ヴィジョン達を侍らせ、ミリエを追いかけてきたブレインディザスター。

やはりその兵数はかなりの脅威だ。

「ジョカスタの設計図は手に入れられなかったはずなのに!」

「設計図ぅ? ゲイザーが協力してくれてねぇ。ボクに設計図を提供してくれたよ」

「ゲイザーって正体不明のスーパーヴィラネスか……」

「過去を変えても結局こうなるばー?」

「でもミリエちゃんが味方なんだ! 心強いよ!」

「ですが、ワタシにはブレインディザスターを……いえ、ヴィジョンをトめるテだてはありません」

「大丈夫だ。手ならある!」

ミリエの言葉にしじみは自信満々に言った。

「アイツら――ヴィジョンは基本的にミリエと同じようなものだと考えていいんだな?」

「はい。ブレインディザスターのハイカではありますが、キホンセッケイはワタシとキョウツウのハズです」

「ヴィジョン達と同期することだってできるよな」

「カノウです。が、カノウセイとしてはワタシがトりコまれるカノウセイがタカいです」

「わかってる。けど、ほんのちょっとだけでもミリエが制御を奪うことはできるはずだ」

それは改変前にミリエが行った「プランB」のことだ。

ミリエ自身を全ジョカスタの中枢とすることで、ミリエを破壊することでその他全ての動きを止めるという最終手段。

「イッシュンしかモちません。そのアイダにジカイさせるなどはさすがにフカノウ」

「分かってる。そこでプランCだ」

「AとBは――?」

「それはいい。全てのヴィジョンにミリエ最推しの同人誌をダウンロードしてやれ!」

「ドウジンシを、ですか……?」

「ああ。一番好きなおねショタ本をだ!」

それに意味があるのミリエは理解できなかった。

しかし、熱心なしじみの表情と声、そしてそれを見守るせせりとたてはの真剣な表情に決心する。

「プランC、ジッコウしましょう」

ミリエは自らのセキュリティを解除し、ヴィジョン達を一身に受け止める。

その虚無に取り込まれそうになりながらも、必死で抵抗し、そしてしじみに言われた通り同人誌を全てのヴィジョンへ――送り付けた。

「そんなことをして何の意味があるのかな?」

そう嘲るブレインディザスターだが、すぐに口元の笑みは消え去ることとなる。

次々と動きを止めるヴィジョン達。

『同人販売サイト.netにセツゾク』

『同人販売サイト.netにセツゾク』

『同人販売サイト.netにセツゾク』

「どういうことだコレは!?」

「おねショタのトウトさにCPU(ココロ)をウたれたのでしょう」

「バカな! ブレインディザスター.netに接続しろ! するんだ!」

「それはありえません。ハカイしかウまないアナタのやりカタではシンカンをマちノゾむヴィジョンたちをシタガえるコトはできません」

「ということで、一件落着――だよね」

「ああ。ブレインディザスターをぶっ飛ばしたらな」

「ミーリー、やっちゃうさー!!」

「ブレインディザスター、おカクゴを」

挿絵(By みてみん)

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