第29話:ハイ隊の楽しいパトロール
「それでは皆さん! 今日も頑張って行きましょうー!」
「すずめちゃん気合入ってるね……」
「とゆーか眼鏡かけてるさー!」
「マネージャーに就任したからにはそれらしい格好をしないといけないじゃないですか!」
「それで眼鏡か……安直だな」
「みらちゃんはよろこぶだろうね」
ハイビスカス少女隊の待機部屋。
せせり達3人がハイビスカス少女隊だということがすずめにバレた前回。
その後すずめをマネージャーとすることでなんとか事態を収めたのだった。
「それで出撃は!?」
「ない。何かあればタブレットに着信が来るはずだが」
「パトロールとかは!?」
「特にないね。行きたいところないし」
「特訓とかは!?」
「わーは特訓大好きさー!」
「それじゃあ特訓しましょう!!」
「特訓回は前やったしなぁ」
「2回目はなぁ?」
すずめの言葉にせせりとしじみはイマイチ乗り気じゃない。
「何度も何度も特訓回されても飽きるじゃん?」
「とか言いつつ、身体動かすのか面倒なだけですよね」
的確なすずめの一言にせせりもしじみも肩を震わせる。
「ダメですよそんなんじゃあ! スーパーヒロインとしての自覚を持っていきましょう!」
「うわー、やだー、今日はお外出たくなーい!」
「オレもー、まさいー」
「こりゃだめさー」
「この人たちっていつもこんな……いつもこんなですね!!」
すずめがこの部屋に入り浸るようになってから気づけばそれなりに長い期間となっていた。
だからこの3人――というか特にせせりとしじみの態度には慣れたものだ。
彼女たちがスーパーヒロインだと知らなければそれも許すことができたのだが……。
「いくらなんでもモチベ低すぎじゃないですかー!」
「敵が出たら素早く出撃してかっこよく倒すからいいもん」
「休める時は休もうぜ。今日はそういう日」
「今日"も"じゃないんですか?」
「これでも週一で出撃あるしねー。学校の勉強もあるしねー」
「学業とヒロインの両立は大変なんだぜ」
「それはそうかもしれませんけど……」
そういう大変さはすずめには分からないことだ。
だからそう言う2人に思わず納得してしまいそうになるすずめ。
「でもサクマドンナはでーじがんばってるさー。うり、今日もパトロールに出てるって言うさ」
「やっぱり私たちもパトロールいきましょう!」
「たてはちゃん、裏切る気なの!?」
「まさか背後から刺されるなんてな……」
「わーは身体動かすのしに好きさー!」
「知ってたー」
なんてモチベーションがやたらと低い中、パトロール(と言う名の散策)にでる4人。
「でも見てよ! この平和な空気。わたしたちの出る幕なんてどこにもないよ」
なんて言いながら、大仰に両手を広げたせせりの背後に雷が落ちる。
「くっ、わたくしの電撃が効かないなんて!」
「雷使いか……興味無いんだよなぁ……」
「炎使い狩りのスロウプオフニェ――噂に違わない頑丈さですわね」
そう、かつてミス・ファイアと激闘を繰り広げた(?)火炎使いのヴィラネス、スロウプオフニェ。
以前のスーパーヴィラネス脱獄事件からどういう経緯かサクマドンナーと戦闘を繰り広げていた。
「ですが火炎耐性がやたら高いだけ――食らうのですわ!!」
サクマドンナーがぶん投げたサクマハンマーの一撃がスロウプオフニェの顔面にぶち当たる。
「いったいなぁ……けど、この程度で……」
突如、スロウプオフニェは身体のバランスを崩して倒れた。
「か、身体が……っ」
「わたくしがただの脳筋だとでも思ったのかしら?」
サクマドンナーが放った一撃。
ハンマーに纏った電撃がスロウプオフニェの脳から出る電気信号を狂わせ、身体から自由を奪っていた。
「丈夫な身体だというのなら、それ以上のダメージを与えるまで。1発でダメなら10発! 10発でダメなら100発!!」
サクマハンマーの連打でスロウプオフニェをボコるサクマドンナーを尻目にせせりは言葉を絞り出す。
「アレは今サクマドンナーが解決したから……」
「そうですけど、パトロールに出てれば共闘だってできましたよね」
「1人でも解決できてるから……」
なんて出来事がありながらもパトロールは続く。
モモヤマ第2公園前。
「あれ? あの3人って……」
スズメが気付いたのは公園の滑り台に腰掛け、何やら談笑しているイタズラ3人娘の姿だった。
「あの3人って……ハイビスカス少女隊が専門で戦ってるヴィラネスですよね?」
「あ、本当だ。何してるんだろ?」
「やっつけなくていいんですか?」
「やっつけるって言ってもな。悪い事はしてないしな」
「だからよー」
「まぁ、悪い事考えてるとは思うけどね」
「悪い事考えてるなら止めないとダメじゃないですかー!!」
「いや、悪い事してないのに急に攻撃したらダメだろ。例え悪い事考えてるとしてもな」
「日本はそういう国じゃないからね」
「そうですけど……」
「あの様子なら今日は悪い事はしないよ。次行こう次」
「言ってることは間違ってないと思うんですけどなんか釈然としませんね……」
そして足を進め、今度は市営の公園に辿り着く。
「ふん、この程度かブーゲンビレア!!」
「いい加減にしなさい! 一体いつまで駄々をこね続けるのかしら!?」
なんだか聞き覚えのある声。
そして周囲を取り囲む複数の人型ロボット。
そこではブーゲンビレアの3人とスーパーヴィラネスDr.ドリームが戦いを繰り広げていた。
「この世界は力こそが全て! 私は全てを手に入れてみせる!!」
「あれはなんとかしなくていいんですか?」
「Dr.ドリームはナハ市のヴィラネスだから……」
「っていうかなんでオキナワ市にいるんだ。ナハに帰れ」
「あいえなー、なんかブーゲンビレアもDr.ドリームも光に包まれて消えたさー!」
「消えたならよし!」
「本当に"よし"なんですか!?」
「不思議なこともあるわけさー」
ブーゲンビレアとDr.ドリームの戦いの結末は絶対華麗ブーゲンビレア第29話を参照!!
※そんな作品は存在しません
「結局、何もなかったねぇ」
「そうですか……?」
気付けば学校の前まで戻ってきていた4人。
「少なくともパトロールをちゃんとしてれば力になれたりしたんじゃないんですか……?」
「違うよ! 今回はちょっと待機部屋でのんびり――作戦会議した後に出たからああいう事態に遭遇できただけなんだよ!」
「そうそう。まぁ確かにもうちょっと早く出てれば……ってのはあるかもしれないが、早く出過ぎても遭遇できなかったかもしれないだろ」
「はっしゃびよい。パトロールに出たくない強い意志を感じるわけさ」
「ハイビスカス少女隊ってスーパーヒロインですよね……」
「その代わり、何かあったらすぐ駆けつけてるし! 飛んで駆けつけてるし!」
「そうそう! 交代要員っていうのは何事にも大事だからな! みんながみんな精力的に動き過ぎて肝心の時にみんな力を使い果たしてるとかじゃあダメだしな!」
「めっちゃ早口でいってるわけさ」
「わかりました」
「わかってくれた!?」
「明日からマネージャーとしてビシバシ行かせてもらいます!!!!」




