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第27話:ハイビスカス少女隊、ディスアッセンブルド!?

挿絵(By みてみん)

「もー、こんなの信用問題だよね!」

「別にいーだろ。この程度のことで……」

「この程度!? あーもう、しじみちゃんとはわかり合えない! 解散だよ解散!」

「どーしたばー?」

ハイビスカス少女隊の待機部屋から聞こえて来るせせりとしじみの声。

遅れてやってきたたてはは事態を飲み込めずにいた。

「しじみちゃんがね、わたしの買ってきた限定お菓子を勝手に食べちゃったんだよ!」

「あいえなー」

「お菓子なんてまた買えばいいだろ? 限定ったってまだ買えるやつだし」

「わたしは! 今! この時! 食べたかったの! それが分からないなんて――もう絶交だよ!」

「勝手にしろ。お菓子程度でうだうだと……」

「もう知らない!!!」

せせりは叫び声を上げ、待機部屋を出ていく。

「さすがに謝った方がいいと思うばーよ」

「お菓子程度であんなに熱くなるこたぁねーだろ」

「食べ物の恨みはこわいっていうさ」

「まぁ……悪かったとは思ってるけど」

「ならお菓子を買って謝ってくるさー」

「……」

その後、お菓子を買いせせりの元へと向かったしじみだったが……。

「いらない! 今は食べたい気分じゃないし」

「食べたくなるまで置いとけばいいだろ」

「別にいいもん! どうせまたしじみちゃんが食べちゃうんだし」

「食べねーよ!」

「食べたじゃん!」

「だから悪かったって言ってるだろ!」

「何その言い方!!」

「そっちこそなんだよ!! だったら名前でも書いとけ!!」

「紙に書いて貼ってたもん!!」

「貼られてなかった!!」

「貼ってた!!!」

「ということでケンカしてるワケさ」

「だからせせりちゃんの姿が見えないんですね」

「ふぅん、心配だね」

「全く――くだらないことでケンカをしていますのね」

「まぁ、その内仲直りしますよねー」

なんて気楽なすずめ。

「お菓子の恨みって怖いんだねぇ。覚えておこう」

むしろこの状況を楽しんでそうですらあるネフィラ。

「はぁ」

呆れてため息を吐くサクマドンナと反応も三者三様だ。

「ケンカは勝手ですけどヒロイン活動に支障はなくて?」

ただサクマドンナの懸念はそれだった。

すずめとネフィラに聞かれないよう、しじみの耳元で問いかける。

「大丈夫だろ……タブン」

そういうしじみだったが……。

「「ハイビスカス少女隊、参上!!」」

「来たわねハイビスカス少女隊! …………あら?」

いつも通りの出撃。

イタズラ3人娘の前に現れたハイビスカス少女隊を見てネジェストは首を傾げた。

挿絵(By みてみん)

「ツィーチュカはどうしたのかしら?」

「別にいーだろ。いないもんは仕方ないぜ」

「……ケンカでもしました?」

ネジェストの的確な一言にしじみは肩を震わせる。

「あー、これはしちゃってるねぇ」

「でーじなとん……」

ネスミスルにプシェジターもどこか心配そうに呟いた。

「いいんだよ別に! 1人居ようが居まいが変わらねーだろ!」

「ダメです。ハイビスカス少女隊はツィーチュカ、ミスレシュカ、ベジェトルカの3人揃ってこそ……そのチームワークが売りでしょうに!」

「お前らに何がわかるんだよ」

「あなた達が4月にハイビスカス少女隊となってから1番たくさん刃を交えているのは私達です。だからよくわかるわ」

「オレだって仲直りしようとは思ってるけど……」

「そこまでだ!!」

不意に響いた謎の声に、その場の5人は周囲を見回す。

「ツィーチュカか!?」

「否! わたしは謎のスーパーヒロイン!!」

さっと飛び出してきたその姿はダンボールで作ったような手製のコスチュームを纏っていた。

「激レアヒロイン! SSR(エスエスアール)!!!」

よく見ると、ダンボールの下にハイビスカスアーマーを着ているのがわかる。

そう、言うまでもなく彼女の正体はSeSeRi(せせり)だった。

挿絵(By みてみん)

「ツィーチュカ、何やってんだよ!」

「わたしは激レアヒロインSSR! 悪の3人組はぁ――わたしがたおす!」

バーベナストレートを振り回し、3人娘の元へと突撃するせせり。

「この最高レアな強さ! ハイビスカス少女隊なんていなくてもオキナワ市の平和はまもれるもんね!」

「んだとてめー! こっちだってな1人いないくらいならそんな変わらねーんだよ!」

「嘘だ!」

「本当だ! そっちこそ1人で平気とか嘘だ!」

「本当だもん!」

イタズラ3人娘と戦いながらもケンカは止まらない。

正直、イタズラ3人娘との戦いは二の次。

本命はせせりとしじみの口論となっていた。

「全くもう! 仕方ないわね――撤退するわよ!」

埒のあかない2人に業を煮やしたネジェストは撤退を宣言すると、その場を去っていった。

「これぞSSRの力!」

「いーや、オレらが強かったからだね」

「もーいい加減にしてほしいわけさー」

「「ふん!」」

解散した後、しじみは項垂れていた。

「意地を張りすぎだばーよ」

「それはせせりーも一緒だし……」

「だあるけど……そんな顔するぐらいなら我慢した方がいいと思うわけさ」

「わかるけど……」

しじみは手に持った1枚の紙きれをぎゅっと握りしめる。

「行くか……」

「行くばー?」

「まぁ、悪いやつらじゃないしな」

その手に持った紙にはただ一言、ネジェストからの伝言が記されていた。

"明日の放課後、いつもの場所で"と。

モモヤマ第2公園。

「いたいた。なんだよ呼び出して」

「あんなハイビスカス少女隊は見ていられないわ。仲直りに力を貸してあげようかと思ったの」

「親切だな」

「ふふっ、好敵手が腑抜けになってしまうのは嫌ですからね」

相談の結果、せせりと仲直りするための方法が決定した。

そして後日。

「「ハイビスカス少女隊、参上!」」

「来たわねハイビスカス少女隊!! ……ちゃんと上手くやるのですよ」

「わかってる」

「ツィーチュカに腹を立てないようにだけ気を付ければいいわけさ」

「わかってるって」

「では行きますわよ! みなさいこの新型兵器!! ウィアーザチャンピオンを!!」

ネジェストの呼びかけで現れたのは3mほどの人型ロボットだった。

丸っこい胴体に妙に細い四肢。

ただ、手足はやたら巨大だ。

「コイツに苦戦すればいいんだな?」

「ですが、この子の性能はなかなかでしてよ」

「上等!!」

そして戦いが始まる。

ネジェストの言う通り、ウィアーザーザチャンピオンと名付けられたそのロボットは強力なパンチ技を繰り広げてきた。

手を抜いては戦えなさそうだが、ヘタに本気を出してしまって倒してしまっても計画がパーになる。

「気にすることはないわ。なんたってウィアーザチャンピオンは無敵なのだから!」

「そうかなぁ……」

とは言え、戦いごたえのある相手だったのは確かだった。

そしてそこに現れた――

「激レアヒロインSSR参上! 苦戦してるようだね? この最強のSSR様が力を貸してあげよう!」

やたら上から目線のせせりにしじみは内心イラっとするが、なんとか抑えて言った。

「頼む! ツィーチュカの力が必要なんだ! ツィーチュカがいないと勝てない!」

しじみの必死に絞り出した言葉でせせりの表情に明らかな驚きが浮かぶ。

「わ、わたしはSSRだけど――そーいうなら、仕方ないなぁ! 力を貸してあげよう!」

「頼む! 早くしてくれないと――負けそうッ」

絶え間なく打ち付けてくるロボットの拳打。

「しにやっけー! でーじ強いやっさー!!」

「ツィーチュカー! 頼むー!!」

「そ、そこまで言われちゃ――仕方ないねぇ! 行くよ、バーベナストレート!!」

「胴を攻撃しても頭を攻撃しても全然効かない!! どーすれば勝てるんだー!?」

「それなら――四肢をぶった斬ればいいんだよ! わたしに任せて。斬撃は――得意だからね!!」

せせりは一気に加速を付けると、ロボットの放った拳を回避しながらその上に飛び乗り、更に跳躍。

「太陽の!!」

まるでその言葉を表すように、太陽を背にして一気にロボットへと切りかかる。

「フレアシャーベット!!!」

上空から吹き降ろす一陣の風、そして斬撃。

その一撃は一気にロボットの右腕と右脚を切り落とした。

「ミスレシュカ!」

「ああ」

「ベジェトルカ!」

「しゃー!」

「行くよ、三連撃! ハイビスカストライアタック!!」

「なんだその技?」

「ノリで合わせて!!」

せせりの背後から放たれるしじみの幻想弾。

それはせせりの姿を陰として、さらにせせりのギリギリを狙った援護射撃。

そしてせせりのバーベナストレートの一撃に、上空から挟み撃つたてはの拳による一撃。

3人の連携が見事に決まり――ロボット・ウィアーザチャンピオンは爆炎を上げ機能を停止した。

「ふっ、覚えてなさい!!」

どこか満足したような笑顔を浮かべるとネジェスト、ネスミスル、プシェジターの3人はその場を後にする。

「正義は勝つ! それじゃあわたしは次の悪を探しに旅に出る!」

「ツィーチュカ! 戻ってくるよな? ハイビスカス少女隊に!」

「わたしはSSR! わたしの戦いは終わることはない!! けれど、ツィーチュカはきっと戻ってきてくれるでしょう! それじゃあサラバ!!」

「……ったく、カッコつけやがって」

ため息をつきながらも、しじみの表情には笑顔が浮かんでいた。

「これでハイビスカス少女隊も問題ないわね」

撤退した後、イタズラ3人娘も安堵のため息をついていた。

しかし――

「ずいぶん楽しそうなことをしていたね」

嫌な声に3人は顔をしかめる。

そこに姿を現したのはスーパーヴィラネス・ゲイザーだった。

「せっかくボクが用意してあげたロボットをあんな茶番で使い潰すなんて」

「茶番? 何のことかしら」

「まぁ良いけど。きっと今回の出来事であの3人の絆はまた強くなるだろうね」

「ハイビスカス少女隊のことはあなたには関係ないことじゃなくて?」

「フフフ。まぁ、良いことだよ。仲がいいってことはね」

「……あの2人のケンカ、まさかあなたが原因なのでは」

「ボクはちょっと名前の書かれた紙を捨てただけ。そんな些細なことでケンカするなんて思いもしなかったよ」

「白々しいわ」

「かもね」

「あなたの目的は――何なの?」

「仲よくしたいだけだよ。みんなと、ね」

不敵に笑うゲイザー。

その真の目的はまだ知れない。


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