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片想い

作者: 慶名 安

 好きっていう思いを伝えたい。けど、振られるのが怖くて思いを伝えきれない。だから私は片想いのままでいるんだ。


 好きっていう思いを伝えたい。けど、いずれ彼のことを嫌いになってしまうかもしれないと思うと思いを伝えきれない。だから私は片想いのままでいるんだ。


 彼が私に「おはよう」って声をかけてくると、私はおもわずドキッとしてしまう。それだけで私は胸がいっぱいになる。


 休み時間、廊下で友達と笑いあってる彼を見ると、それだけで私は微笑ましい気持ちになる。


 授業中、彼がこっそり居眠りする姿を少し離れた席から眺めていた。そんな彼を見て可愛いなと思った。


 他の女の子が彼と話している。私よりも可愛くて人気のある女の子。その子も彼に気があるんじゃないかと思うと一歩身を引いてしまう。


 彼が私に声をかけてきた。内容はなんてことないごくごく普通の会話だけど、緊張し過ぎて上手く喋れなかった。そのせいであまり話が弾まなかった。


 最近、彼とあの子がやけに親しく話している。そんな彼女にちょっと嫉妬しながらもちょっとだけ羨ましくも思った。


 私のバイト先に偶然彼が来た。私は自分の働く姿を見られて恥ずかしくなった。けど、私が彼に接客しているとき、彼は「がんばれよ」と言ってくれた。その一言だけで私は嬉しかった。その日のバイト終わり、私は小さくガッツポーズをしながら帰って行った。


 席替えで彼の隣の席になった。嬉しいけど、その気持ちが彼にバレてしまわないかと思うとドキドキしてしまう。それからしばらくの間は気が気ではいられなかった。


 授業中、私は消しゴムを落としてしまいそれを取ろうとした。そのとき、彼が私の消しゴムを拾おうとして私と同じ体勢になっていた。すると、お互い同じ姿勢で目があった。彼の顔が近くに来ていて、私はドキリとした。段々自分の顔が赤くなっていくのが分かる。彼に気づかれていないだろうか?


 そんなことを考えていると彼はスッと私の消しゴムを拾い、私の手にソッと渡してきた。私は自分がボーッとしていることに気が付き、「ありがとう」と一言お礼を言うと、慌てて目を背けた。


 


 ある日の放課後、教室には私と彼の2人っきりだった。偶然彼と日直の日が重なり、教室の掃除をしていた。しかし、緊張し過ぎて中々話したい話題が出てこず、暫くの間無言の空気が流れた。


 けど、暫くして彼の方から私に話しかけてきた。いつも通り他愛のない話だったけれど、私は嬉しかった。いつも通り辿々しい喋り方だったけど、彼は嫌な顔を全く見せずちゃんと私の話も聞いてくれた。やっぱり彼は優しい人なんだと再認識した。そして、もっと彼のことを好きになった。


 そんな中、私はふと「あの子と付き合ってるの?」と彼に聞いてみた。それを口に出した途端、私はハッとなった。彼と話していて楽しくなってしまい、おもわず口走ってしまったのだ。前々から気にはなっていたが、聞くのが怖かった。けれど、言ってしまった矢先、聞かずにはいれなかった。そして彼は「うん」と頷いた。


 好きっていう思いを伝えたい。けど、彼には他に好きな子がいる。その子と両想いになったから私に入る余地はなかった。だから私は片想いのままでいるんだ。


 それでも私は彼のことが好きなんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一歩を踏み出さないと 叶う叶わないに関係なく、何も進展しないやつですね…… せめて、なんかアプローチをして、成就して欲しい! そもそも、想いを伝える前から 嫌いになるかも…とは、動いてから…
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