不死の始まり⑤
前回と同じでスマホの方は横画面にすることを推奨します
一発目
ゴリッとした感触が側頭部に伝わってくる。髪の毛をかき分けて頭皮にあたるまでに。
手は緊張で震えだした。その度に頭に振動が伝わってくる。
呼吸も荒くなり、焦点もまともに合わなくなってっきた。
冷や汗は額から顎を伝ってとめどなく飛び出してゆく。
引き金に人差し指を当てるだけで死の恐怖が体を襲う。
『何をぐずぐずしているんです!さっさと打ちなさい!』
男が叫ぶ度に体が強張る。もう体の自由は指先しか聞かなかった。
その場から動くこともできず、銃を手放すことすらできない。
怖い…怖い…!
いくら不死の体を手にしたとはいえ、死ぬことの恐怖は無くならない。
早く打たなければと焦る気持ちと、死にたくない気持ちが胸の中でぶつかり合う。
ガタガタ震える足は止まらず人差し指でさえも動かなくなってきた。
その時である。
ダァンッ!
目の前の壁から黒い筒が飛び出し、眩い光を放つ。
目がくらみ、手を当てようとしたが、何も反応はない。
額から冷や汗ではない、温かい何かが垂れてきた。
何が…おきたの…?
そう思っている間に目の前が暗転した。
少女はその場に倒れた。うつ伏せのまま、全く動かない。
額からは赤黒い液体が漏れ出し、それは段々と広がっていく。
赤黒い円が広がりきり、もう、何も出てこなかった。
『実験体ノ死亡ヲ確認マシタ。コレヨリ復活マデノ時間ヲ計測シマス。』
無機質な声と共に少女の死亡宣告が行われた。
そして彼女が生き返るまでの、時間を計測している。
少女の体は以前と同じ様に青白い光に包まれていく。
まだ不死かどうかを信用していなかった研究員たちは目を見張ってその様子を観察している。
そんなこともしらない光はどんどん集まり、少女の元の体を作り出していく。
やがて、顔の凹凸や髪の毛、腕、足などが作り出され、一人の少女が現れた。
あれ…?私…死んでた…?
まだ、引き金は引いてないはず…?
「何が…起きたんですか…?」
『あなたが引き金を引かないからぁ
私が打ち殺してあげたんですよぉ!
ぐずぐずしてるとまた撃ち殺してあげますからねぇ…!
もちろん回数は減らないのでゲーム自体は終わりませんが』
あの人が殺したのに私が生きてるってことは…
やっぱり私は死なないんだ…
なら、もういっそのこと早く終わらせよう…
少女は復活している間に落とした銃を拾い上げ、側頭部へ。
そのままなんのためらいもなく。
ダァンッ!
『フッフッフ…最初からそうすればよかったんですよぉ…!』
まだまだゲームは始まったばかりであった。
久しぶりの死亡シーンでしたね(笑)