不死の始まり①
------------------------------轟音--------------------------------
「え? 何あれ? ヤバくない?」
「え? ヤバ! 死んでる!?」
この時間の駅は同じ高校から下校する人がたくさんいる。さらに勤務先から帰ってくる大人もよくいる。そのため駅のホームは事故が起きたので騒がしくなっていた。
目の前で人がはねられて腰が抜けている人、悲鳴をあげる人、動画を撮る人、様々な人がいる。
その人々をもっと驚かせたのが次の瞬間である。
電車に轢かれてグチャグチャになった死体が青白い光に包まれた。その光は何本もの細い線になっていく。細い線は1箇所に集まり、人型を形作っていった。
「おい、なんだあれ!?」
「誰か動画とれ!」
この光景は先程までざわついていたホームを、さらに混乱の渦に巻き込んでいった。
誰もが初めて見る光景であろう現象は1人の少女を作って終了した。電車に轢かれもすれば人間は確実に死ぬが少女は青白い光の束となって帰ってきた。
私...死んだ...よね?
なんで私まだ立ってるの?
もしかして...生き返った...の?
私はまだ自分は死んだと思って周りを見渡した。辺りはオレンジと紺色のグラデーションが綺麗な夕方の空とたくさんの人がいるホームだった。
天使もいなければ三途の川すら見当たらない。つまりまだ私は死んでいないという事だろうか?私は周りの人に自分が死んだかを聞いてみようとした。でも、生き返った事の事実から目を背けたのか、私の体は家に向かって走り出していた。
私は死んでるんだ。だからこれは夢なんだ。
夢だったら家までリアルまで再現されてないだろうからそのうち天国か、地獄か、どこかにつくかな。
そう考えて私は線路沿いを、僅かな希望と一緒に家に向かって走った。