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短編小説 私の知り合いの●●シリーズ

短編小説 不思議ちゃんの正体

作者: 猫田蛍雪

 私の知り合いには、大学でオカルトを研究しているなつみという女性がいる。

 アニメや小説の影響を受けているのか、確かではないが、彼女の言動は、いつも不思議である。


 大熊が、皆から意見を出すように求めたとき、なつみが手を挙げた。

 そして、立ち上がり、意味深な言葉を述べた。

「いいかしら、このなかに宇宙人や未来人・・・・・・ 」

 最後まで言おうとした時に、志熊警部が、なつみの口をふさいだ。

「きっと長い会議で疲れたのね 」

 ネコバーは、なつみの体調を気遣う。

「そうだな。何かのライトノベルのネタということは分かるが、この場でモノマネはふさわしくないな」

 大熊もネコバーに加勢するような言葉をかけた。

 結局、なつみはドロップアウトして、島の重要な会議が続行されるのであった。


「ククク、我が名は堕天使(だてんし)なつみ」

「いつも通りみたいですね」

 診察を終えたかめさんが、安心したように言った。

 私は、驚いて聞き返した。

「これが、いつも通りですか? 」

「ああ、なつみは大学のオカルト研究所の所長ですからね」

「どんな研究所なのですか? 」

「それは、彼女に聞きなさい。一応、ビタミン剤は出しておきましたので」

 かめさんは、カルテを書き終えて、次の患者を呼んだ。

「なつみちゃん、また会議でやらかしたの? 」

 ロボットの人体は心配そうにききました。

 すると、なつみは予想通りに不思議な答え方をした。

「大丈夫、場を和ませようとしただけよ」

「そうね。島の議会は誰も意見を出さないからいい薬になったのではないかしら」

「そう。私がこの島を支配している裏役場の長」

 人体となつみの会話が、成立していることに私は驚いた。

「ククク、人体は分かってくれてうれしいわ」

 私は、結界や魔術書などなつみの分からない話を聞き流しながら、アパートまで送った。

「ご苦労、我が下部! 」

「それは、光栄です・・・・・・ 」

 今日の私の仕事はこうして終わった。

 帰り際に、ゆうきが経営しているおでん屋へ向かった。


「どうも、渋川さん」

「おお!ゆうきは、自分から進んでボランティアに参加していて偉いよ」

 この島の人口は少なく、島民で仕事を分担して行わないといけない状況なのである。

「どうも、どうも!渋川よ! 」

 仕事終わりに、志熊警部も寄ったらしいです。

「そう言えば、今日もラジオの仕事があるのではないか? 」

 志熊警部は、働き過ぎのゆうきを気遣って帰るように言った。

「そうですね。いつも通りの仕事と思いますが・・・・・・ 」

「若い者が働き過ぎなのはよくないことだ。だから、屋台をお前のアパートへ返しておこう」

「そうですか。ならば、後は頼みましたよ」

 ゆうきはそう言い、ラジオ局へ行った。


「さて、邪魔者はいなくなったことだし、話しますか・・・・・・ 」

 志熊警部は、渋川のほうを見て言った。

「そうですね。まずは、出身からどうぞ」

「私は戦時中、秘密警察をしていた」

「俺は、軍事工場で戦闘機の設計をしていた」

「今は、どんな仕事をしているのだ?スパイ活動か? 」

 志熊警部は鋭い質問をした。

「スパイというよりも、国の治安を影で監視し見守る役割だな。お前はどうなんだ? 」

「私もこの島の安全を守る仕事をしている・・・・・・ 」

「先日、大熊に聞いたぞ」

 渋川は鋭い答えを返した。

「あの大熊も怪しいぞ・・・・・・ 」

「くまさんは、そんな人間ではない」

 渋川は、きっぱりと言った。

「そうか。武装化にはあの派閥が邪魔でね」

「お前らのやろうとしていることは、公安の監視対象になるぞ」

「説得力がないな。この島で、公安はお前一人だけだろう」

 志熊警部は、笑いながら言った。

「いいや。私の仲間は、大勢いるぞ」

 志熊警部と渋川が、そんな秘密の話をしていると・・・・・・ 。

「どうも。渋川さん、志熊警部」

 二人の会話は終了した。

「おお!君か、元気でやっているか? 」

「それでは、私は先に帰るよ」

 志熊警部は、そのように言い残し、テクテクと去った。


「何か、重要な情報をつかめましたか? 」

 渋川に、ビンジュースを注ぎながら聞いた。

「国の治安を脅かすだけでなく、くまさんのことも敵視していたぞ」

「そうでしょうね。この間は、国数に行ったら、つまみ出されましたからね」

「パソコン通信で情報を送っているのならば、暗号をかえたほうがいいかもしれんな」

「パソコン通信のソフトといい、管理局といい、どれも博士の監視下にありますからね」

「いいか、今は味方になるかもしれないが、長い目で見ると、敵になるぞ」

「こうなると、大熊の派閥も危うくなりますね」

「そうさ。一応、私は博士の派閥として、活動しているが、やつらの闇はかなり深い」

「いつからこのようになったのですか? 」

「そうだな。なつみが詳しいかもしれないな」

「彼女が? 」

「ええ、彼女はオカルト研究所の所長でもある。同時に、我々の仲間だ」

 私は複雑な派閥の関係に、混乱しながらも話をきいた。

 そして、屋台をゆうきのアパートに返した後に、私たちは別れた。


「渋川に昨日、きいたのですが・・・・・・ 」

 私が聞こうとすると・・・・・・ 。

「ククク、詳しくは研究室で・・・・・・ 」

 いつも通り不思議な言い方で、なつみは私を研究室へ案内した。

 そして、研究室に入ったとたん、カギをかけて口調が一変した。

「あなたは、大熊の派閥ね。渋川からきいているわ」

「普通に話せるのですね」

 なつみが、普通通りに話していることに感心した。

「このように、オカルト好きな少女を演じることで、目立たないでしょう」

 なつみは、堂々と、にこやかに言った。

「君は気がついていないのかもしれないけども、別の意味で目立っている・・・・・・ 」

「そうかしら? 」

 私の発言に、なつみの頭にはクエスチョンマークが浮かんだ。

 この子は天然なのか?

「今のも天然の子を演じることで目立たないのよ」

 なつみはそのように言ったが、私は納得いかなかった。

「お前は、本当に公安の人間か? 」

「ええ、公安の不思議ちゃんと呼ばれているわ」

「なるほどね・・・・・・ 」

 なつみが、どんな人間かはっきりと分かった。

「それよりも、今日は何をききたいの? 」

「そうですね。博士の派閥についてですね」

 なつみは、深刻そうな顔をした。

「今、渋川が派閥の一人として潜り込んでいるわ」

「そうですよね。しかし、相手には裏の組織がいるのに気づかれないのですか? 」

 私は懸念をなつみにきいた。

「そうね。渋川がそんなヘマをしないとは思うけども、見つかるのは時間の問題ね・・・・・・ 」

 なつみが言うとおり、相手側の派閥に見つかるのは時間の問題であり、いつ行動に出るかが大きな課題であった。

「この問題を後回しにする訳にもいかないのは、言うまでもないけども、一番の懸念は・・・・・・ 」

 なつみはそう言い、私を見た。

「そんな、あなたは何者なの? 」

「私は、最近来たばかりの移住者です」

「そう?くまさんが、私たちのことを教えたのは分かるわ。けれども、くまさんは簡単に公安の情報なんか教えないはずよ」

 なつみの鋭い目は私を見ていた。

「私もこの孤島でのんびりと過ごしたと思い、移住してきました。しかし、この島が・・・・・・ 」

 私は困った顔をした。

 それを見た、なつみは天井を見上げて言った。

「この島が、独裁者によって支配されていること、犯罪の拠点となっていること。あなたは絶望したわけね」

「ええ、だから大熊さんの手助けをして、この島の現状を変えたいと思ったのです」

 私は、偽りのない自分の言葉で言った。

「立派ね。普通ならば、仕事であるとかの損益のために動く人が多いけども、あなたみたいな強い思いをもった人ならば、きっとこの島の現状を変えることができるかもしれないわ」

 そして、なつみは机の引き出しからリストを出した。

「いい、くれぐれもこの人たちに関わるときは注意して接すること」

 リストには、要注意人物の名前が書かれており、その中には普段から仲良く接している人物の名もあり驚いた。



 ---- リスト ----

 野口(オリンピック選手)(所属不明)

 ミス・アリア(小説家)(内戦で避難)

 ネコバー(旅館経営者)(大熊の派閥・実質ナンバー2)


 以下省略

 ----リスト 終わり----



 私は、気になったことをきいた。

「ネコバーさんが、どうして要注意人物なのですか? 」

「私も要注意人物であることに疑問があるわ。けれども、ある仲間が危険人物だというの」

「ある仲間とは誰ですか? 」

「もう亡くなったから言うけども、小熊が言っていたわ」

「小熊さんが?彼も公安の人間なのですか? 」

「いいえ、彼は地元の情報を知っている人間として情報提供をする役割だったの」

 私は、驚きを抑えつつ、なつみにきいた。

「理由は何ですか? 」

「それが、あまりにも彼女の人間のネットワークが広くて、それが理由で、裏の組織と繋がっているのではないかと疑っていたわ」

 様々な人からネコバーの人脈の広いときいていたが、それが逆に疑われてしまっているとはネコバーがかわいそうになった。

「とにかく、これらの要注意人物は頭にたたき込んで、情報収集すること。それから、安易に情報を話さないことね」

 なつみは、口に指をあててみせた。

「分かりました」

 私はオカルト研究所を出た。

 そして、この島で人と話す時は、安易に話せないと感じた。


 終わり







 


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