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小説家、箕原啓の調査〜因習の村と呪われた夏の記録〜  作者: レブラン


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最終話


 病室でのベッドの上に置いてあるノートパソコンで打ち鳴らしていた。


「よし、これであと少しで完成だ」

「おじさん終わりそうなの?」


 千鶴は覗き込むように見てきた。

 

「ああ、九割方完成だ。あともう少しで終わるよ」

「早いね。あれからまだ三日ぐらいでしょ? もしかして寝ずにしていたの?」

「まあ……あれだ、今回の件でネタが尽きなかったからね。俺自身体験したのも大きいかと」


 あのあと御堂峰議員に出版社へと連絡してもらい、今回の件含め対応してもらった。

 流石に議員相手である以上無碍(むげ)な反応は出来ず、即座に折り返しの電話がかかってきた。

 担当者もすぐさまここに来るらしいが、まあ慌ただしかったというべきか。

 俺の要望は全てとはいかないがある程度は受け入れてくれた、コネ得とはまさにこのこと。

 他の二人、教授は大学に戻り休講していた講義の再開や、今回の件についてまとめた論文など色々と忙しくなるらしいし。端山さんはすぐさま東京に戻りこの一ヶ月間仕事の休止理由での記者会見と芸能界復帰の取材などあるそうだ。けど御堂峰議員が約束していた大仕事が舞い込んでくるとマネージャの人が云ってたらしいから、俺達に連絡すら少なくなりそうだ。

 「そうだ」そういうと俺は思い出したように千鶴に問いただす。


「そういえば祭りの件どうなった?」

「祭は再開する予定だよ。日にちはまだわからないけど近いうちにって。おじさんが皆に話してくれたおかげだよ」

「まあ俺の発言が受け入れられたのはありがたいが」

「そりゃ、救ってくれたヒーローなんだから」


 二十八日に代表者が集められ今後の方針をどうするかを話している最中に俺も参加させてもらった。

 まだ病院なのでビデオ通話を使い、向こうとのやりとりをした。

 祭りは今後二度としないという方向へと決まろうとしていた所、俺はあえて決行することへと勧めた。

 田舎である以上祭は必須だろうが、やり方を変えるべきと。そして今まではお憑き様に称えるものから隠岐村、横小見町へと人の住む場所での発展を望む祭へと移行すべきではないかと。流石にあの生贄の代わりとして使う人形の類は、またお憑き様のようなのを降臨させる可能性があるので廃止をせざるを得なかったのは仕方がないが。と意見を述べた。

 俺の発言はその場に居た全員に納得を得られ、その方向へと話は進んだ。

 しかしあくまであの祭りはお憑き様を崇め奉るものだから、それを取り除く事で本当にお憑き様がいなくなったかは定かではない。

 落雷が落ちたお憑き様の大元となった巨木も近いうちに完全に取り除かれるし。

 まあそんな事を今考えても仕方がないか。 

 俺はピタリと指を止め画面を千鶴に見せた。


推敲すいこうしないといけない部分は多いが見る?」

「うーん……いいや。今はまだみない」

「そうなのか?」

「うん、あたしおじさんの小説ファンだし、今見ちゃうと楽しみが減っちゃう」

「ははっ、そういってもらえるとファン日和に尽きるよ」


 本当に嬉しそうにしてるな。

 失望されないように完成度を上げないとな。

 千鶴はベッドに座ると耳打ちをしてきた。


「けど、内容は少し知りたいかも」


 俺は内心笑ってしまう。

 まあ内容というかあらすじみたいなものは云っていいか。


「そうだな。主人公は青年なんだが、昔住んでいた村を両親の仕事の都合で引っ越していき。ある年を境に村に戻ってくる。その時に出会うのが幼馴染であった村の神社に住む巫女の少女。村は特殊な風習があり、そこで起きる奇怪な事件の数々。といった感じかな」

「へえ。もしかしてその幼馴染ってあたし」

「ああ、主人公は端山さんモデルにしてるよ。丁度適任だし、この事を当の本人に伝えた所少し困ってた部分はあるけど了承は得たよ」

「おじさんは登場しないの?」

「流石に俺は主人公って柄じゃないから、登場してもねって感じだからな」

「あたしは別にそれでも良かったのに。ぶぅー」

「まあ世の中そういったのは多いがやっぱ王道あたりが一番受けがいいからしゃーない部分はあるさ」


 千鶴はベッドから離れ勢いよく立ち上がる。


「おじさん、小説完成して退院したらどこか遊びに行こうよ。夏休みだし」

「ああ、いいぞ。それに祭りのほうも一緒に回るって約束したしな」

「うんっ!」


 嬉しそうな表情の千鶴。その笑顔に俺も思わず笑顔を見せる。

 暑さが続く太陽の光、空に浮かぶ積乱雲せきらんう、セミの鳴く声。

 まだまだ夏はこれからか。

 その前に早めに仕上げないとな。

 俺は指を動かし始めた。

 小説を完成させるために。


まずは最後までお読みいただきまことにありがとうございます。

知ってる人はお久しぶりです。

今回新作にいたった経緯としまして、前回のジャンルががファンタジー長編だから今回は短編で別ジャンルに挑戦してみようと考えました。


前回別作品は三人称だったのに対して今回は一人称で挑戦してみたいなと。


肝心な内容ですが元々ほのぼのホラー物でもと考えていたのですが、執筆していくうちにどんどんガチホラーぽくなってしまった所です。お憑き様も幼い子供辺りにしようかと思ってたら全く別物に

どうせなら物語としても一番初めではなく、続編ありきでいいかと。

作品としても元々4部構成とすればこの作品は2部目ぐらいかなと考えました。そうすることでヒロインである丹波千鶴の高感度を最初から高くしていくほうが進みやすいだろうなという点もあったからですね。

まあ何にしろ、今回の作品をまともに完成を迎えることが出来たのにほっとしました。


それではまた次回作にて。


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