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有名人
ガソリンスタンドがさらに崩れていく。
僕は無我夢中に走った。
「あ、あの…」
後ろで声がする。
「もう大丈夫じゃないですか?」
振り返ってみると、ガソリンスタンドはかなり遠くのほうにあった。
二人を助けたい一心で気づかなかった様だ。
「あ、ごめん」
何故か謝ってしまった。
「ううん、大丈夫だよ。助けてくれてありがと。あのままじゃ私、ぺちゃんこになってるとこだったよ。」
彼女は僕に素晴らしく、あまりにも綺麗な笑顔でそう言った。
「え…あ、うん。ケギャも無いようでよかったよ。」
一方僕は、最近人とコミュニケーションをとっていなかったせいか緊張して噛んでしまった。
「ふふ…あれ?もしかして、龍城くん?」
「え?あ、うん。そうだよ。」
言ってなかったが、実は僕も学校ではそれなりに有名人なのだ。
といっても、彼女のような理由で有名な訳ではない。
なら、何故かというと、僕は…
「あの、入学初日に大喧嘩したって噂の遼寧 龍城君?!」
そう、僕は転校所に喧嘩したのだ。
まぁ ほとんど殴られていただけなのだが…