表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/283

むてきのわたし、たおれる!!

 ちゅんちゅん。

 は!

 

「ここは天国かっ……!」

「お! 起きたか、3日

 も眠ってたんだぞ?」

 

 ソフィアお姉さんの声が響く。

 そっか、お姉さんも天国に来たのか。

 まー優しかったから、当然かな??

 

「気持ちは嬉しいが、

 残念ながら ここは

 まだ地上だぞ?」

 

 美味しい匂いが鼻を突く。

 食事を いただいた

 天国だった!

 


「マチが寝てる間、できる

 だけ体、整えといたからな」

 

 そういえばいつもの

 痛みを感じないな。

 なんか調子いい♪

 

「おぉ! 左腕が動く

 ようになってる!!」

「今気づいたか」


 お姉さんが何やら

 ニヤニヤしてる。

 けど、いまなら

 ゆるせる!!


「なんか食べやすいと思った」

 

 折れたまま固まってしまったので、

 もう諦めてしまっていたのです。

 

「すげー、すげー!」


 やっぱり左手

 使えると便利♪



「両手でモノが掴める!

 魔法って、楽しい!」

「そ、そうか……まあ、使った

 のは魔術の範疇なのだがな」

「魔法使い様って、すごいねー!!」


 思わぬ奇跡に、つい

 テンションが上がってしまう。


「でも、こんな代金、

 わたし払えないよ?」

 

 もうわたしはわたしを差し出してしまった

ので、他にあげられるものは残っていない。


「まあ、出世払いかな?」

「シュッセ バライ?」

「偉い大人になったら

 返すってことさ!」


 それって、何年も待ってて

 くれるってことだよね?


「そうそう嬢ちゃん、

 しっかりたっぷり

 恩返ししてやんなよ」

 

 いつの間にか騎士の

 お兄さんがニカッと立ってた。

 奴隷商人の仲間たちも揃ってる。



「(できない)」


 小声で速攻で拒否する。

 返せないものは、約束しない。

 どうせわたしは山を越えるまでの命なんだから。

 

「そっか、なら

 私からの贈り物だ!」

 

 持ち構えてたのに、たれなかった。

 前に生意気だとたれた時に、

 左耳は聞こえなくなってしまった。

 流石に耳までは治っていなかったけれど、

 そこまで求めるのは贅沢ってものなんだろう。


「ありがと……」

 

 てかみんなして心配そうな顔

 して黙って私を見つめるの、

 ちょっと止めて欲しい!

 だいぶ不安になる。

 


「これはワシから

 の贈り物じゃ」

 

 サイズがピッタリの

 新しい革の靴をくれた。

 てか おじいさんはなんで

 私のサイズ分かったんだろう??


「あっ! それは!」


 女剣士さんは何かに

 気付いたみたいだった。


「いいんじゃ、どうせワシが大事に持ってても

 もう使うことのないモノじゃ」

「ありがとう」

「もう、靴ヒモ結べないの?」


 お姉さんが代わりに結んで

 お手本を見せてくれる。

 必死に見て覚える。

 おぼえた!


 嬉しい、これで岩で足を切って

 血まみれにしないで済む。

 生まれて初めて履いた靴は、

 優しい感じがした!



「僕からはこのよく切れる

 魔法のナイフをあげよう!」

「あっ? それは!」


 女剣士さんは何かに

 気付いたみたいだった。

 よく気づく女剣士さんだ!


「いいんだ、僕にはもう必要のないものだ」

「ありがとう」


 なんか、不思議な

 模様が描いてあった。

 

「ほう、アーダデル・アーコ・イーリスの祝福を受けておるのか」

「さすが魔術師、ひと目でそれを見抜くか」


 お姉さんが呟くと、

 おじいさんは感心てした。


「じゃ、行きますか」

「うん」

「おー!」

 

 そうして、お姉さんと私と女剣士さんの

 3人は、険しい山道に足を踏み入れた。


 私達の夢が叶うまで、あと少し。

 待っててね妹、私も もうすぐ

 そっちに行けるよ??



 

======




「はあはあ……」


 てくてく、

 歩き続ける。


 山道は険しく急で、

 すぐに息が上がってしまう。

 

「無理しなくていいぞ

 無茶できない体なんだ

 治療で血も失ってる」

 

 お姉さんは優しく

 声を掛けてくれる。

 

「らいひょうふらよ?」

「うはぁ……」

「だめっぽい……」


 ろれつが回らないまでも、なんとか返事を返す。

 さっきから貰った魔法のナイフがキンキン光ってるんだけど、

 なんか使うチャンスってことなんだろうか??

 

「うわあ……虹色アーコ・小剣イーリス

 ガンガンに光っちゃってるよ……」

「なんか……気分がいい……?」

「それ、感じちゃ危険だから!」



「ガオー」


 このタイミングで

 狼みたいな人みたいな

 怪物モンストロが出てくる。

 

「ガオー」「ガオー」

「ちっ、囲まれた!」

「一気にカタ付けるよ」


 がんはれー。

 熱にうなされたように頭が熱い。

 気づくと、虹の小剣ナイフを抜いてた。


「うっはっ……ッ」


 吐血と共に、どう動けばいいのか

 視界が光って教えてくれる。

 その通りに体を滑らし、

 軽くたふたふ踊る。


 

「ギャン!」「ギャン!」

「すっご……」

「ここまで相性

 がいいとはな」

 

 気付くと、戦いは終わってた。

 血と横たわる十数体の狼人ワルフ

 ―――高揚感は消え、私は気を失った。

 



======



 

「ん……」 


 洞窟の天井、焚き火で

 揺らめく巨大な嬉しい影。

 ……わたしをよろこばせる?


 慌ててその喜びを、心の

 奥底に しまい込む!

 鍵をかける!!

 ガチャ☆

 


「気付いたか!

 ちゃんとカラダは動くか?」

 

 お姉さんが傍に来て

 起きるのを手伝ってくれる。

 口の中に血が残ってる。


「のど乾いてないか?」 


 革袋を口元に寄せてくれる。

 ごくごく、冷たく体を冷や

 してくれるのが心地よい。

 

「ありがと……ぅ」

「お腹空いてないか」


 木の小鉢に、湯立った狼鍋を差し出してくれる。

 ……なんでだか、お腹は減ってなかった。

 今はムリして食べたくない。 


「ん…お腹すいたら

 食べるね……??」

 

 ……なんでだか、洞窟の

 外で呼ばれてる気がした。


 

「ちょっと、

 外出て来る」

「そっか…!」


 てっきり止められると思ってたのに、

 なんでだかソフィアさんは許してくれた。

 手元が寂しくて、虹色アーコ・小剣イーリスを追い求める。

 



======




「ああ、もう夜なんだ……」


 ここ数日ほとんど昼間は眠ってばかりだったので、

 ずっと夜に生きてるような錯覚さえ覚えてしまう。

 夜で、双子半月しか空からの明かりは差していないのに、

 岩場の盆地は所々、月じゃない明かりが覗き込んでいた。

 

「おいで……?」


 わたしは明かり達を手招きして呼び寄せる。

 私にまとわりついて、じゃれついてくる。

 ……危険な感じは全くしなかった。

 

「ここが欲しいの?」


 虹色アーコ・小剣イーリスをかざすと、激しく弱く

 刀身と ひょんひょん交わり、

 ずっずと力を交換し合う。

 ずっと大事にしてた石も

 じゃかじゃかしてる。

 

 ここ数日、家を出てからの

 出来事を思い返してみる。

 

 殺されかけることが無くなった、

 殴り蹴られることが無くなった、

 優しい言葉をたくさん掛けてくれる、

 優しい行為をたくさん教えてくれる。

 

 じゃあ、私は何を返せているんだろう??

 ソフィアお姉さんは【 しゅっせばらい 】で

 ずっと待っててくれるって言ってくれた。

 


 でも出来れば、山の向こうの景色を妹と見たら、

 私はすぐにお姉さんに殺してもらって食べて欲しい。

 

 この明かりの玉に教えてもらったのだけれど、

 私は次の冬ギリギリしか もう生きられない。

 さっきの闘いで季節1つ分

 の命を使ってしまった。



*・゜゜・* : . 。..。.:*・゜

 秋冬春秋冬★ ⇒ 冬春秋冬★

・* :.。. .。.: *・゜゜・*.



 あと残り4つだ。

 ……いや、最後の冬は、使ったあと

 ギリギリ時間が残るか残らないかだから、

 安全に使える命は、残り3つなのかー。


 でも、この山を越える

 には充分かなとおもう。

 

「あのオトコたちのこと、

 私は言えないな……」


 

 私を犯そうとしたオトコたちは

 何もしなくても5年か10年の命だった。

 あの調子で「ウインドスラッシュ!」とか

 連発してたなら、私といい勝負だったんだろう。


 お姉さんが私を頼って、私の背中で

 小さく告白した言葉を思い出す。


『失っちゃった、全部

 無くしちゃったよぅ……』


 そうお姉さんは確かに言っていた。

 ……それって、どういうことなんだろう?

 ―――お姉さんが泣くのは、お姉さんが

 大事なものを全部失ってしまったから?


 

『よいではないか!

 人肌に飢えておったのじゃ!!』

 

 初めて会った時、そんなこと言って

 私の頬にずっと すりすりしてきた。

 

「ずっと、虎で居た

 んだろうなー」

 

 魔法のことはよく分かんないけど、それでも

 あのなんでも出来るソフィアさんが

 何にも出来なかったことが、

 あったって事みたいだ。



 多分、普段歩ける私が、夜はオトコから逃げ

 られなかったのと、同じ感じなんだろうか?

 たぶん。一回は逃げ出せはするけれど

 捕まったら殺されかけるしー。



「次逃げたら、

 お前を穴豚にする」


 って代わりに兄が目の前で穴豚にされてしまったから、

 もう逃げ出すことは けっして出来なくなった。

 私だけ上手く逃げれても、もう一人の兄か

 かわいい妹が穴豚にされることになったし

 ―――それは絶対イヤだったしー。


 ……じゃあ、おねーちゃん

 辛かったんだろうな。

 ……てか、おねーちゃん、

 いま幸せなんだろうか?

 


『今日は幸せだよ?

 お腹いっぱい食べれて、

 こうしてあっためてもらってる』

 

 そう返事した私を黙って抱き締めてた

 ソフィアさんは、いったいどんな

 気持ちだったんだろ?


 にこにこしてたけど、大人は本心を隠すからな―。

 とたんに、ソフィアちゃんが私に素直になって

 余裕なく目の前で泣いてくれたことが

 思い出されて、にやにやする。


 そいえばわたし、ソフィアちゃんを慰めたんだよなー。

 逆に思いっきり慰められてた気もするけど、

 ……あれはノーカンなのだ!

 

 生まれて初めて受けた くすぐったいソフィアの

 [ 尊敬リスペクト ]は、わたしをこうして

 しっかりと大地に立たせてくれている。



「……もしかして、ソフィアさんは

 まだ逃げられないでいるのかな?」

 

 なんだかふいに、そんな

 ことをおもってしまった。

 ……もしかして、ソフィアさんの力に

 なれる鍵は、ここにあるのかもしれない?



 ちょっとヒントを手に入れて、

 お姉さんの待つ洞窟

 にノコノコ戻る。

スペイン語


虹色精霊(rainbow fairy)_Hada del arco iris

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ