どれいしょうにん、なく!!
「おうおう、そこ
のお二人さん!」
せっかく気持ちよく歩い
てたら、妨害が入った!
「ここを通りたければ、私を
倒してからにしな!!」
若い女剣士が
通せんぼしてた!
「なんか、道に出て
から 人によく会うね……」
「まあ、人が歩く道を通っ
てるから、そりゃ、ね」
「……飛ばないの?」
サクッと鳥になって、
サクッと辿り着きたい。
5分で終わる、行きっ
ぱなしの私の物語!!
「いや、戻れなく
なっちゃう……」
……ああそっか、鳥になったら
食べれる私が減っちゃうのか。
―――それはいけない。
「食べれるのは、大きい
方がいいですもんね??」
「あなた、なにか大きな
勘違いしてない?」
「用事がないなら、
立ち去るがよい!!」
「私たち、山の向こう
に行きたいんですけど」
「では、勝負あるのみだ……ッ!」
「なにこの人(ころす?)」
「いやまて(話そう!)」
話すのがめんどくさくて時間がもったい
なかったので、サクッと殺して前に
進もうとしたら、ソフィアさん
に止められた!
「(人を殺して無かったことにしようとする
のは、リンちゃんの悪い癖だよ!?)」
「(えー??)」
みんな死んでしまえば、もっと
世界は平和に成るのにっ!?
そしたらソフィアに指で指を
つんつんされた!
これ! 心を掻き乱されて良くない!
ぐるぐる、こんらんに 耐えてると、
ソフィアに勝手に話を進められる。
うー!
「我々はただの通行人、剣を
持つものとは勝負にならんよ」
「うむ……、たしかに」
あれー? 意外とアっけなく
引き下がってくれるー??
「では、捕まえよう。者ども、
一騎打ちは勝利だ!」
「あれ……?」
「しまった……?」
ソフィアねえさんのおかげで、
見事捕まってしまいました!
「ごめんごめん」
「!」
謝ってきたけど、
そんなお姉さんは
知らんぷりです!
======
檻に囚われ、
鑑定される。
「いや、この子は
売り物にならんな」
裸の私を看ていた おじいさんは
服を返してくれ、結論を出す。
傍らの青年騎士はなぜか
始終絶句してた。
「なぜですか? 人間子供なら
高値が付くでしょうに」
と青年は言いつつも、なんだか理由
は薄々分かってるみたいだった。
おじいさんはチラと私を視界に挟み、
騎士の青年を引っ張り私から離れ
石造りの部屋の片隅で話し込む。
◇ ◇ ◇
「あの子の傷、見てみたか? 全身アザと生傷。
左腕は骨折が癒着して、左手も動かない。
片目片耳も ほぼ使えてまいて。これでは
農作業どころか売春もできまいよ」
「まあ、あの体では売春させても
確実に客、引きますからね。
では呪物素材としては?」
「魂も上手いこと必要なところは抜かれてる
これでは2年と生きられまいて」
「仕方ないですね、穴豚くらいしか使い
ようがないですね、開放しましょう!」
「うむ、1年穴豚で寿命迎
えるのも、酷じゃろて」
「報われない者たちの希望をできるだけ
叶えてやるのも、我らの仕事の内じゃろう」
◇ ◇ ◇
どうやら私のことを話してるみたいだけれど、
遠くで途切れ途切れにしか聞こえない。
なんだか大人の会話をしている??
あ、二人とも帰ってきた!
檻の私に おじいさんはズイと顔を近づけ。
「おぬし、どこの村から
来た? 家はどこじゃ?」
「私はマチルダ=リンネ」
「リンネ? まさか……ッ
リンネ家のものか??」
「うわー、うわー!」
(興奮した青年騎士を、
ジイが殴って黙らせる)
「え、ええ……」
「はっ! あまりの出来事
に気が動転してしまった!」
「まだまだ 修行が足りん!」
おじいさん達の食いつきが凄かったので、
ちょっと引いてしまう。リンネ家、
そんなに有名だったんだー??
「ああ、あの呪物作りはここから!」
「あの出来はさすがだが、実際に
過程を見てしまうとエゲツねーな」
自分が取り返しの付かないことをして
しまったのではないかと不安に駆られる。
「兄弟姉妹は居るのか?」
「私が最後の一人、家出した」
「そっか……」「そうか……」
二人してモッソリ黙り込む。
無理やり家に戻されてしまう
のではないかと、堪らなく焦る。
「お願いです、家には戻さないでください
お手伝いでもお料理でも お相手でも
何でもしますから……っッ!!」
必死に頼み込む。たぶん家に戻されたら、
ヒトブタの刑が待っているんだろう。
兄の一人はそれをヤラれてた。
腕と足半分切られて、自分の
指とか食べさせられる。
私は半年飼われて
潰されるんだ!
きっと!
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「そんなこと、する
ハズないとも!!」
「うおおぉーん!!」
おじいさんは、何故か泣き出してしまう。
青年騎士も貰い泣きしてる。
……なに? この展開。
意外すぎる!!
「俺たちに出来ることあったら、
なんでも協力するからな?!」
「私は、この山の向こうに行く夢があるの」
「行って、何かするのか……?」
「お姉さんに満足するまで食べてもらうの♪
お姉さんは私がもっと大きくなって食べ頃で
一番美味しいときまで待つっていうんだけど。
私は向こうに着いたら すぐに食べて欲しいの」
つい、希望を目の前でニンマリ潰される
可能性も考えず、正直に つと話してしまう。
「立派な……心掛けじゃ……」
「そうか……優しい人に
出会ったんだな……」
いやだから、大人に泣かれると困るんだって!
昨日初めて、大人も泣くんだって、ソフィアさんで知った。
本当にびっくりした―――今も ものすごく落ち着かない。
この涙もろい おじいさんとお兄さんを
ひとまず どうにかして欲しい!
たすけて、いもうとー☆
「話は聞いた! そういう
事情だったんだな!!」
私たちに勝負を挑んできた女剣士さんが
いつの間にかソフィアさんを連れて
近くに来ていた。また涙目だった!
「ごめん……
リン…ン…」
ソフィアさんは無事だったけれど、
なんだか私に済まなそうな表情浮かべてた。
いつもみたいにバカ笑い浮かべてて欲しいのに。
「誰がバカじゃ誰が!!」
いて、デコピンされた!
…!! なぜ分かったしぃ…!?
「仲いいんだな♪ まあ、
まずは泊まっていくといい」
クスクス忍び笑いしながら、女剣士
さんが部屋に案内してくれる。
「そんな仲じゃ…
ないのに…」
「!?」
ボソと言ったらソフィアさんがしょげてたので、
しゃーないので、案内される途中、ソフィア
さんの手をつないであげた!
「♪」
途端に春が訪れた
みたいな満開の笑顔!
ふふ! ちょろいぜ!?
私が言うのも何だけど、ちょっとこの人、
表裏なさすぎじゃないだろうか……?
「う…う…?」
ソフィアさんは嬉しさと 何か言いた
そうな表情がない混ぜになって、
結局 言いたいこと飲み込んで
私と手を繋いでること
選んだみたいだ!
「♪」
「……」
妹も よく私と手を繋ぎたがったこと思い出して、
ちょっと ぐちゃぐちゃ、複雑な気持ちになった。
ソフィアさんが抱き締めようと来てたので、
飛び蹴りで断固拒否しといた!!
「これはこれで……?」
よく分からないこと言ってたので、
ちょっと引いた。早くこの人殺すか、
殺そうとして返り討ちに遭いたい!!
―――約束守らなくて済むだけの裏切り
してくれれば、全て解決するのに。
……なかなか善人の振りして、ソフィア
さんは本性の しっぽを見せない。
そんなこと考えてると、物分り良さそな
柔らかい笑みを私に向けてきてて、余計イラつく。
「なに?」
「……湯浴みしよっか?」
「……ん?」
ぱしゃぱしゃ♪
断る理由がなかったから、ソフィアさんに洗ってもらった。
ソフィアさんも、獲物は綺麗に洗ってある方が食べやすいって言うし!
「抱き締めてきたら
噛み付くから!!」
「ん、わかってる……」
ビックリするほど
何もなかった!!
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「ふーふー!」
「マチルダちゃん
もっと食いねえ!」
夕食で歓迎された。
どうやらこの人達は奴隷商人で
このあたりで人狩りをしているらしい。
「意外と自由なんだ」
「まーなんだ、王国も連邦もこの辺りには
なかなか手出ししづらいからね」
丁寧に答えてくれる青年騎士は、
この奴隷商人たちの一番偉い人。
……あの男三人組も捕まって
しまえば良かったのに。
「そう言えば昨日、旅の若者グループが
何者かに殺される事件があってですな?」
ぐはっ…!
「ほう、前途有望な若者が!?
なんとも痛ましい……!!」
こらソフィアさん、私を
ガン見するの止めなさい!
「こわい……」
「だいじょうぶ!」
「ワシらは味方じゃぞい!!」
ふはは! 形勢はこちら
に傾いているようだ!!
「ところでリンドヴェルさんは、あの
伝説の魔法使いと同じ名前なのですな?」
口に含んだワインを吹き出す
ソフィアさん。あー、もったいない。
「ソフィア=リンドヴェルといえば私も
幼い頃によく祖母にお話をねだったぞ?」
「僕もよく聞かされましたね。世界滅亡の
危機をたった一人で救った人類の救世主。
だから僕も英雄になりたかったんだよなー」
青年騎士は目をキラキラ輝かせてる。
銀色魔女は目をドロドロ淀ませてる。
「ええ……有名みたいですね」
「きっとご両親があやかって
つけたのですじゃな??」
「まあ、そんなとこ
でしょうか……」
……なんか、あやしい!




