さいきょう ちきゅう のろい、くらったよ!!
地球―――そこは、
希望の幻滅境……!
「うわー!」
どわわ天まで届こうとする
そうう巨大な朽ちた箱の建物が、
はわわ何十本も何百本も にょきき
地上から天に向かって、地を生え尽くす。
―――神に届かんと、神に反逆せんと、
―――重力に縛られ、それでもモガく。
……その地球人類の執念に、
圧倒され言葉が出てこない。
「うん、見事に
滅んでるね?」
こともなげにソフィ
が言い切った。
―――あんた自分の飼っ
てた生き物なんでしょ!
「……大事にしてたよ?
しかたないよ、これは事故なんだから。
また実験に失敗しちゃったね。ちゃんと
生き残り居たら、データ回収したいなっ?」
―――私は初めて、ソフィを怖いと感じた。
ソフィにとって……、この[ 地球 ]は、
[ 替えの効く、やり直しの出来る世界 ]。
といっても、けっして時間を戻せるわけでなく、
単純に[ 地の呪い ]を付けて、もう一度虹石
使って世界をイチから作るということなんだろう。
「うん、実験の成功には、一定数の
試行回数が必要だからね…っ??」
……なんとなく、ソフィの言い
たいことが分かってしまった。
ソフィアと違う、納得
できない想いを抱く。
「……ちょっと、索敵を
開始するよ……っ??」
ソフィは割り切ることが出来る人間だ。
身内だと認識したら ひたすらにバカみたいに甘いけど、
対等と みなさなければ、極端に態度を変える。
―――同じ、一生懸命生きてる生き物と
みなさず、ただ使いやすい・使い捨ての
ポイポイ道具か 道端のフミフミ
石ころとしてしか見てない。
……この前、力が戻ったソフィがハルン
聖王国の先遣隊を壊滅させた時に、
それは強く感じた。
「……優しさには、
限りがあるからね?
守りたいと決めた人以外は、
わたしは守れないし、守らない。
それだけの余裕は私の人生に無いし、
そもそも力を持たないのに、決めた
一人以外は守っちゃいけないんだ」
うーん、ソフィには充分に
力があるとおもうのだけれど。
……それこそ、この地球全ての
生きていた人たちが生きたいように
導いてあげられるくらいの力が。
「うーん、わたしは それに興味が持てないし、
興味が無いことに私は、努力ができない…!」
ソフィは苦笑いして索敵を続けながら、
何かを思い出していたようだった。
……うーん、まあそれは私も認める!
ソフィ、一瞬で飽きたものは、
義務でイヤイヤとか、
絶対やらなさそうだしー!
「うん、できないんだ……」
ちょっと落ち込んだふうのソフィ。
あれ? よっぽど出来ないこと
があるっていうんだろうか。
悪気はないんだろうけど、ソフィアの性質なんだろうけど、
こうして神に打ち捨てられ、最強の呪いをかけ続けられた
地球に生まれて住んでた人たちに、私はひどく同情する。
「うぬぬ!」
◇
……それって、たまたま私は小屋とリンネ村を
私の意思で出ることが出来たけれど、地球の人
たちは、こんなにも地上から、地の呪いから
離れたくて、努力して、空の向こうに飛び
立とうと何百年も何千年も努力し続けて、
「うん…!」
それでも結局、ソフィが伝えた魔術・魔法を
放棄してしまったという1点の失敗によって、
「ほわわ!」
―――地の呪いから逃れるという その夢は、
こうして永遠に叶えられなかったんだから。
……あとソフィ、うっさい!
「ええん!」
地球から離れられれば、地の呪いからも
いったん逃れられて、それで私みたいに
ソフィとか愛して(??)大事にしてく
れる人にも出会えたかもしれないのに??
「えへへー?♪」
◇
ちょっと 辺りを歩き回ってみる
けど、景色は大して変わらない。
巨大な白い黒い、
ハコハコハコ!
わたしは その地球民の呪い
から逃れたいという執念と、
―――そして地球民が最初から最後
まで意識し続けた[ 重さ ]によって、
最後は結局 あっけなく文明が崩壊させ
られた あまりの理不尽さに、
軽く吐き気を覚える。
あれ……この箱に
住んでた人たち??
「……これって、ものすごい数の
人間が住んでたんじゃないの??」
「うーん、地球全体だと、ピークで100億?
って、観測魔法は表示してるねー??
なに? 100億ってー……!?」
ソフィも混乱してる!
……てかあんた、虎になる前は ちょくちょく
地球に出入りしてたんじゃないかよ??
「いやー、やけに人多いとは思ってたけど、
せいぜい10万か100万くらいだと思ってた!」
そしてこの自称神、ソフィの
ゆるゆるザル認識である……っ!!
正直、こんな あまあまじゃ
ソフィの管理した世界、
いつかは滅んでしまうのも仕方ないの
かな―とはおもう、かわいそうだけど。
ほんと、生き物の世話苦手すぎ!
忘れるとかあり得ないから……ッ!
「あ、索敵結果出た!
―――近イチ! 遠2!
……なんか居るねっ??」
……は?
近い、1??
「うん、この位置だと、
私たちの真後ろかなー??」
「「…えっ?」」
二人して おそる
おそる振り返る、
―――そこに立って、薄い
笑いを浮かべていたのは……。
◇
《わたくしは魔王さまの、つねに
おそばに控えておりますっ!》
にこ♪
うわああああああああ!!
ひしょー、ぜんぜんー!
気づかなかったよう!!
「脅威だわー、ノーマークだったとは言え、
私とリンに全く気付かれないで、この
距離まで迫れるなんて…ッ!」
―――びっくりして
おののいてるソフィ。
……ひしょーの存在感が、
薄すぎるんだよ…っ??
まあたぶん、ひしょの お仕事に
影響ない部分は、あえて
出ないようにしてるんだね?
プロ意識が高いんだねー??
《ええ、でしゃばりすぎないのは、
秘書の当然の努めですからッ!♪》
「うん…? 一人多かったの??
解除指定2にしてたんだけど、
ひぃの扱いどうなってんだ……?
あ! わたしが ひぃを認識したから、
地の呪いの回避指定に失敗した!!
気をつけて……ッ!!!!!
地の呪い、来るよ……ッ!!」
えっ……?
どーすればいいの?
重さが来るって、どういうことなの??
―――気をつけようがないので困って、
ソフィの緊張した こえ、ひさびさ
に聞いたかも しんないなーとか、
そんな のんきなこと考えてると、
バチンッ!!
私に『 重さ 』が のしかかり、
とたんに地面に叩きつけられる。
……ッ!?
ああ、これが[ 重さ ] の呪いか。
あまりにカラダが重くなりすぎて、
魂が沈む、指先さえも動かない。
オモイ オモイ オモイ オモイ
オモイ オモイ オモイ オモイ
オモイ オモイ オイモ オモイ
オモイ オモイ オモイ オモイ
イタイ、ツライ、コワイ。
―――圧倒的オモさ、重さ。
◇
ググググググ
ググググ!!
ものすごく強いキツい圧が、
私にギチチチ掛かり続ける。
……正直、ソフィの話を聞いて、重い重いだろうとは
思っては居たけれど、せいぜいが どーにか
踏ん張れば耐えられる程度で、
「ちょっと辛いかな?」
ぐらいがずっと続くのだと思ってた。
……まったくもって、甘く見ていた。
ソフィの考える、
[ あたいの つくった
さいきょーの のろい!! ]
なんて、せいぜいが私の娘のリンネ家 手作り呪い人形♪
程度の強さかと思ってたのに、これはまったく、次元が違う。
さすがは神的立場、私は ちょっと、ナメていたみたいだ。
まるまる ほんっと、[ 神の呪い ]って まんまで。
―――最強に設定されてるってのも納得で、
ソフィは この世界で神の扱いってのも、
いま初めて…、
魂が理解した。
……まあ、その創った本人は、私の隣で一緒に
[ 地の呪い ]を食らって立ち上がれもしないで、
光失った瞳で精神攻撃を受け続けてる
ワケなんですがー??
―――いやいや、ソフィ、
それ冗談にならないからね??
◇
ヒシシ……っ♪
ムシャムシャ??
私の心を何者かが食べようとする
気配を感じて、存在を認識して、
―――逆に喰らおうと
する、取り込もうとする。
―――わたしは、地球人類を滅ぼ
した、最強度の[ 地の呪い ]へ、
リンネ家当主へと もたらされた魔王の
力を全力で使い、対抗を開始した!!




