おとこたちと おねえさん??
「グルル!」
私を庇うように、仲間の獣は前に
出て がしがしオトコたちを威嚇する。
「お! サーペントじゃん
ちょうとキバ欲しかったんだよね―」
父より若い男は、軽い調子で
私の獣を物色する。
「ウインド=
スラッシュ!」
形のない緑色のモノで
バッサリ切りつけられる。
ドクドク。
「きゅう~ん!」
白くてふかふかだった毛並みは、
赤くてビッショリになってしまう。
「一発で弱気かよ
マヂ受ける!」
「ジワジワいたぶるマーくん、
ハンパねー鬼畜!!」
大事な人を傷つけられ、
私は視界が真っ赤に成る。
「ウインド=スラッシュ!」
「ウインド=スラッシュ!」
わたしの大事な獣を何回も攻撃する。
私が この獣を庇おうと前に出ようとしても、
しっぽ に抱きすくめられて、動けないでいる。
この憎き
しっぽめ!!
ドサッ!
「あっ…あ……」
力が緩んだ時には、
私の初めての仲間は、
あっけなく殺されてしまいました。
カー!
「…なに、してんの??」
恐れはなくて、
怒りしか無かった。
カチンッ!
「せっかく助けてやったのに
ナニその口の利き方!」
「ナマイキー!」
「てか若い女かと期待したら、
まだメスガキかよ。俺パスだわー」
私を色目でゲヘヘと見るオトコたちと、
ひとり あきらかに萎えた感じのオトコ。
―――体格差も人数差もあったけれど、
恐れるべきだとは思わなかった。
「2人で回しちゃう
けど、いいのか~?」
「俺はパイオツのでかーい
ネエちゃんがいいの!」
「俺もいいや。ちょうど妹が
これくらい なんだよな…」
「うわ出た! シスコン発言!!」
ゲラゲラ男の甲高い笑い声が、たまらなく癪に障る。
視界が真っ赤を超えて真っ白に染め上げられる。
……ただただ この怒りを
最も効果的にブツケたかった。
「まー、ここ数ヶ月女に
飢えてたんだし、……いいだろ??」
前に進み出た男は、ゲヒた笑みで私を上から下までベタベタ見て舐め回し、
私は鳥肌が立つ。男は私と仲間たちを交互に見交わし、
「しゃーねーな、見張っててやるよ」
「ホント、物好きだな。
とっとと済ませちまえよ!」
仲間の了解
を取る。
「やめ…」
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すまんすまんと、仲間2人を警戒に立たせ、
男は私を捩じ上げ、暗い森へ連れ込む。
――これで道からは死角になった。
「まー、蚊にでも刺された
と思ってガマンしとけや」
私を剥き、男のヒトの象徴を取り出す。
オっきくなってる、相変わらず不気味。
「こんぐらいのガキが一番
泣きわめいて楽しーんだよな!」
木に押し付け、アレを
後ろから入れようとする。
(ずいぶんと 乱暴だね)
「使い終わったら奴隷に売れるし、一石二鳥だなっ!!
……にしても静かすぎねーか?? 分かってねえのか?」
1、2の3!
スパッ。
上手く切れた感覚。
よかった、成功だ!
振り向くと男の象徴を失った男が、
股間から血を垂らし、真っ白い顔
をして何かの固まりを持ってた。
前かがみになってたので、
ナイフを喉笛に突き上げ
悲鳴を出させないで殺す。
乱暴に取られた服は、
破けてしまっていた。
こいつは食う価値ない。
コイツは妹と一緒にさせる価値ない。
―――考えるだけで おこがましい。
荒げた息を整える。
だいじょうぶ、私は出来る。
約束を叶えるまでは、
ぜったいにしねない。
なぜだか、無意識に握ってた石が淡く光っている。
……なんだろ? なんだか力が満たされてくような??
どうすれば最小限の力で敵を倒せるか。
―――イメージが流れ込んでくる。
「おーい、
お楽しみか―??」
仲間の一人が森に
分け入ってきたので、
「おっとと!」
よろけたタイミングで男の体重を使って
立てたナイフの上に倒れさせる。
「ウ!」
……なんか上手く決まった。
それが2人目の男の
最期の言葉だった。
3人目は居眠りを首に一発。全体重を
掛けたら、血飛沫あげてドンと倒れた。
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「ごめんね」
白い獣のもとに戻って謝る。
私が食べられるはずだったのにね。
私が殺されるはずだったのにね。
「私が美味しくなったら
食べられる予定だったのに」
「いったい何を言っているのじゃ??」
「ひゃいっ!!」
突然真後ろから声が掛けられ、
驚いて飛び退く。
目の前に居たのは、古風な白い魔女。
「あれ?」
いつの間にか白い獣の
カラダは消え去っていた。
誰この きれいな女の人??
「どなたですか??」
「ワシじゃワシ!!」
胸の前で手首を曲げ
ゴロゴロ獣の真似をする。
「あっ!」
どうやら、白い獣は
元は人間だったらしい??
「うむ、助かったぞい!」
……一体何にだろう?
助けられたのは私の方なのに。
展開に頭が追いつかないまま、
白いお姉さんに にこやかな笑顔で、
血まみれな私は抱きつかれるのでした。