知らない場所
やっとスタートラインで現状確認
ピチョン
「うわっ冷て!!」
俺は顔に冷たいなにかが当たって目が覚めた。
「なんだよ、って……」
周りを見渡すと草が見えた、いや、ただの草じゃない。
背丈が半分位あって、俺の周り囲むように、隠すように草が生えている。
周りには木、木、木……風が吹き葉っぱが揺れる、木々の間や葉っぱから光が漏れている。
湿った空気、蒸し暑い空気が一斉に俺を刺激してきた。
「あっつ……冷たいのは水だけで空気は夏だぜ……つうかさっきまで深夜の俺の部屋にいたよな、PCに催眠ソフトでも積んであって幻覚でも見てんのか?ハハハ……いやんなわけねーじゃんこの空気が幻覚?暑さまで幻覚とかありえね〜。じゃあ誘拐か、誘拐……え、マジ?」
今さらながら俺、気づいたら良いのか悪いのかわからないけど気づいてしまったようだ。
「え――!?マジかよ!?俺誘拐されちまったのか!?だれか〜!冗談だろ冗談?嘘だっていってくれよ!!」
……うん、とりあえず騒いでみたけどだれも反応しないのか。
「つまり拉致監禁でなく拉致ってどっかに捨てられたか、やれやれ」
俺は立ち上がって服を軽くほろった。
昔からよく親父の社員とやらに[独断で]山に捨てられたり森に捨てられたり拉致られたり監禁されたり……殺し殺されは無かったけど普通じゃかんがえらんねー生活おくったからこんくらいじゃなぁ……とりあえず夜から朝ってことは半日経過かな?
そうやって自分の状況、状態を理解するために動き始める。
「まずは周りと状態の確認だな」
俺は手頃な木の上に登ろうとしたが……
「そういや道具ねーじゃん、道具もなしに木に登るとか今のなにがあるかわかんねぇ状態じゃヤバイか?」
うん、これはいったん保留、荷物確認だな。
「さてさて、いまんところ食った記憶があるもんは腹ん中にギャルビーのポテチ一袋分にチョコバー二本、サイダー1.5リットルと寝る前の水……時間と腹的に満足に動けるのは2日?いやこの暑さなら1日と半分?寝るのはどうだろ、まぁ移動経路はおいおいっと……さて周りは〜?」
衣服のポケットを漁ったり周りの草をどかしたりして以下のものを発見した。
・薄い青色の古いタイプのガラケ
・小さなリュックサック
・俺のサイフ【銭とキャッシュカード】
・チョコバー【半分】
・電池式の携帯ゲーム機【中身はエロゲ】
「お、ガラケあんじゃん!!でも俺の使ってんのと違うな。電源は〜つくな、よしよし」
電源をつけてみるとパスワード画面になった。
「パスワードか……適当に【4545】っと」
ケータイの電源は落ちた。
「そりゃそうだよな、こんなパスワードにしてるわけねぇよな。まぁいいやほかは……っと……」
しかし絶望的に食料関係がない。
まずチョコバーお前はいるがエロゲ、てめえはこの状況下ではやらねぇいらねぇ。
サイフもこんな森じゃ重石にしかならねぇし。でも。
「このリュックサック、なんだこれ?草んなか、俺の足元に転がってたけど……中身はっと」
俺は中身を足元に広げてみる。
・クリップで纏められた数枚の紙の束
・新品のサバイバルナイフ
・壊れた番号ボタンがついた無線機?
・缶詰め×10+水×5+替えの服5着
・ブレスレット
「食料問題は若干解決、次に無線機」
カチカチ弄るけどうんてもすんとも言わない。
「紙を読んでみるか」
紙にはこう書いてあった。
【ブレスレットをつけてください、ブレスレットに10秒間だけあなた様のケータイのパスワードが表示されます。詳細はケータイでご確認くださいませ】
「ほうほう、んじゃ着けますか」
ブレスレットを手首につける、すると
「いって!!」
ブレスレットから肉に食い込むように刃が内部から出たようで……めちゃくちゃ痛かったがなぜかすぐに痛みは和らいでいった。
「いったいなんだよこれ……は、あ、やば画面!!」
ギリギリみるのが間に合ってパスワードを覚えることに成功した。
「ふ―、危ない危ない、さて……ブレスレットは〜……いてて、かなり深く食い込んでんなこれ、でも腕を動かすのに不自由はしないし痛くもない、外そうとすると痛いくれぇか、緑色の画面だが……なんだかな?ケータイを開けますかね」
そして俺はケータイにパスワードを打ち込む。
ケータイ画面にクロスしたチェーンと南京錠がかけられた扉の画像が出現しすぐに南京錠は外れ、内側からチェーンは爆発、扉が開いていった。
「ずいぶんゲームみたいな演出だな」
そして画面からはこんな文字が現れた。
【ようこそ、殺人遊戯の世界へ】
次回も説明会